【Netflix】『夢追い人』一筋は果てしなく長い

夢追い人(2020)
The Disciple

監督:チャイタニヤ・タームハネー
出演:アディティア・モダック、アルン・ドラヴィド、スミトラ・バーヴェ、ディーピカ・ビデ・バグワット、キラン・ヤドンヨパヴィットetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第77回ヴェネツィア国際映画祭にて脚本賞を受賞した『夢追い人』がNetflixに来ていたので観ました。近年、踊らないインド映画が国際的な場で注目されるようになってきた。チャイタニヤ・タームハネーのサタジット・レイのような趣きある本作は普遍的な人生の惑いを捉えていました。

『夢追い人』あらすじ

大きな犠牲、わき上がる疑念、そして終わらない鍛錬の道。青年の夢は古典音楽をきわめること。だが人は、果てしなく遠い夢をいつまで追い続けられるのか。

Netflixより引用

一筋は果てしなく長い

インドの古典音楽をマスターすることに人生を捧げているシャラッド(アディティア・モダック)は就活などはせず、ひたすら師匠の下に古典音楽の道を突き進む。だが、プロの道は果てし無く遠い。その永遠に続くような時をスローモーションと、何気ない日常を数珠繋ぎにすることで観客にも絶望感を与えながら突き進む。

古典音楽は古臭く、老人しか聴かない。テレビでは同世代の若者がスターダムを駆け上がっていく。チャラい音楽なんてと蔑視を向けながら、修行に励むが中々成果が出ない。

本作の面白いところは、物語の中心に音楽のアーカイブに関する議論があるてんだ。シャラッドは古典音楽のCDを販売している。老人しか聴かない音楽もCDを通じて誰しもが触れられることを描いている。この手の映画では原理主義に陥りがちなのだが、朽ちゆく音楽の中で比較的音楽のアーカイブに関して寛容なのが意外だ。

そして、老いた音楽評論家とあらゆる手法を通じて貪欲に音楽を貪り食う若者とのマウント合戦やUSBにアーカイブ化された音楽といった場面を通じて、思わぬ形の希望を描いている。

例え成功しなくても、音楽を継承することはできる希望をテクノロジーと絡めて描いている点21世紀のサタジット・レイ映画と言えよう。とはいっても、少々単調で長くて退屈してしまったのは否めない。

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