1000 Mabrook(2009)
مبروك 1000‎,

監督:Ahmed Nader Galal
出演:Ahmed Helmy,Mahmoud Fishawi,Laila Ezz El-Arab,Sara Abdulrahman etc

0.1 評価:75点

1 『1000 Mabrook』あらすじ
2 クズってそう簡単に改心しないよね
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評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Che Bunbunが最も推している監督のひとりモハメド・ディアブ。彼は女性版『狼よさらば』こと『Cairo6,7,8』や壮絶なエジブトの騒乱を地獄巡りのように描く『護送車の中で(東京国際映画祭上映時タイトル:クラッシュ)』と意欲作を放っている。彼はエンターテイメント性と社会への問題提起のバランスが非常に良く、天才的なエジプトの監督だと思っている。そんな彼は軌道に乗っており、現在MCUドラマ『ムーンナイト』を手掛けている。さて、今回は彼が脚本に参加した『1000 Mabrook(1000のおめでとう)』を紹介する。

『1000 Mabrook』あらすじ

A guy lives the same day over and over and deals with the same events each time which changes the way he looks to his life.
訳:一人の男が同じ日を何度も過ごし、その度に同じ出来事に遭遇し、それが彼の人生に対する見方を変えていく。

※imdbより引用

クズってそう簡単に改心しないよね

ビシッと決めたスーツ姿の男の足元が映る。貧しそうな男の足を踏みつけ、ニヒルに歩み、そして会社につくとふんぞりかえる。彼の名はAhmed Galal(Ahmed Helmy)。利己的な男であり、会社の利益の為なら簡単に従業員を解雇してしまう。家族からの電話も、適当に聞いてあとは放置する。自分中心で生きている男だ。彼にはビッグイベントがある。そう結婚式だ。盛大に祝ってもらおうと意気揚々と結婚式場へ現れると、不運なことにトラックに轢かれてしまう。

彼は死んだのだろうか?

何故か生きています。でも何か、おかしい。今日と全く同じことを母親が話し始めるのだ。そうです、彼は結婚式当日に閉じ込められてしまったのだ。

本作はお察しの通りエジプト版『恋はデジャ・ブ』である。『恋はデジャ・ブ』の場合、ビル・マーレイ扮する男が段々と善人になっていく話であったが、こちらは違う。なかなか善人にならないのだ。よくよく現実を見れば、クズな人はそう簡単に改心しないものである。本作はそれを突き詰めており、Ahmedは深刻な事態に慌てふためくのだが、基本的には喧嘩腰で人に優しくするのはほんのひとつまみ程度である。そして段々と狂っていき、武器を持って暴れるようになる。これが、アベル・フェラーラ映画のウィレム・デフォーのように救いようがなさすぎて笑えます。良いクズ映画とは、人間が魅力的であるのに尽きるのですが、本作もその方程式に則っている。落語のように、いや『男はつらいよ』の寅さんのように韻を踏み、捲し立てながら人を言葉の術中に嵌めていく姿は『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のレオナルド・ディカプリオそのものである。

中々アフリカの大衆娯楽映画を観るのは難しいのですが、モハメド・ディアブ繋がりで観られたのは良かった。