【映画館】キューバの映画館でエジプト映画を観てきた件(Cine YaraとCine La Rampaレビュー)チェ・ブンブンのティーマ

1 EL CAIRO(2010) 678(2010)
- 1.1 キューバではエンドロールは観る?観ない?
2 最後に…
3 おまけ:アップリンクがまさかの観光施設に!
4 チェ・ブンブンの世界の映画館訪問記一覧

EL CAIRO(2010)
678(2010)

監督:Mohamed Diab
出演:Nelly Karim, Bushra, Maged El-Kidwani etc

※スペイン語字幕で観たので採点はしません。

本作は2010年に作られた社会派ドラマで、エジプトの男尊女卑が如何に酷いのかを群像劇で描いています。とにかくやたらと、女性たちがひったくりやスリ、ナンパに遭いまくります。そして本作はエジプト版『狼よさらば』、あるいは『天使の復讐』と言えよう。一人の女性が、ワザワザ満員バスに乗り込み、スリ犯の急所をナイフでブスりと刺すではありませんか！なかなかアグレッシブな展開に驚かされます。しかも、「わたし、悲劇の女なの」と華奢で常にビクビク怯えているのに、容赦なく男のタマを討ち取っていくのです。

また、監督はかなりの映画好きなんだろう。スリの描写はロベール・ブレッソンの『スリ』を意識したカメラワークになっている。そして、スタジアムで女性と刑事とが対決する場面は明らかに黒澤明の『野良犬』を意識している。

映画の中では男尊女卑社会を破壊できると言わんばかりの演出が過剰すぎる気もする。余計なショットも多いが、社会派ドラマとして、またエンタテインメントとして面白い作品でした。

キューバではエンドロールは観る?観ない?

日本では、時たま、「エンドロールで席を立つ人は映画好き失格」みたいな内容でTwitterが荒れる。しかしながら、エンドロールに厳しいのは日本ぐらい。今まで10ヶ国30箇所程の映画館を回ったが、割とエンドロールで立つ人は多いです。何なら、エンドロールになった途端、場内が明るくなり、清掃員が「はよ出てけ」と言わんばかりに観客を追い出すところも多い(海外のシネコンだと割と追い払われます)。個人的には、他の観客の邪魔にならなければ別にエンドロールで退場してもいいと思う(スマホをいじるのはやめてね)。

Cine La Rampaは、エンドロール退場方式でした。エンドロールになると明かりが付き、清掃員が清掃を始めます。「はよ出てけ」という無言の圧力を受け、ブンブンは劇場を後にしました。

最後に…

如何でしたでしょうか?今回、キューバの映画館に潜入してみたのですが、まるでツァイ・ミンリャンの『楽日』で台湾の閉館間際の映画館に紛れ込んだ日本人のような気分でした。どこか、昔懐かしい。ブンブンが映画にハマる前、シネコンが流行る前の時代に親に連れて行ってもらった映画館の面影を感じずには要られませんでした。世界の映画館巡りは本当に面白いので、映画好きは是非挑戦してみてください♬

おまけ:アップリンクがまさかの観光施設に!

CNNトラべルが選ぶ「世界で最も楽しめる映画館１０」にも６番目で選ばれたアップリンク、日本映画の英語字幕付き上映とか積極的にやっていこう、観光気分で邦画を外国人に見てもらうのもありだな、これは。https://t.co/taSWBWFDWN

https://t.co/LaT7yZJnIG

— 浅井隆 ASAI Takashi (@asaitakashi) 2018年8月25日

渋谷アップリンクに最近外国人がよく訪れるらしい。どういうことかと思ったら、CNNトラベルのコラム《10 of the world’s most enjoyable movie theaters

》で渋谷アップリンクが紹介されたとのこと。今、映画好きの外国人にとって渋谷アップリンクは熱い観光スポットになっているんだとか。そういえば、最近映画館で結構外国人を見かけるようになった。それも、如何にも《旅行者》という風貌の外国人が。映画館も、インバウンドビジネスとして有効な時代になってきている。日本では、ここ数年《絶叫上映》、《応援上映》、《野外上映》といった特殊上映や、映画ファンの集いといった映画のオフ会などが流行っている。これを上手く利用することで、観光業界は潤い、日本の新たな魅力を世界に発信できることができるのでは?と思いました。