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【ネタバレ解説】『レディ・プレイヤー1』全情報科教員に告ぐ!本作を生徒に魅せるのだ!

【ネタバレ解説】『レディ・プレイヤー1』全情報科教員に告ぐ!本作を生徒に魅せるのだ!

レディ・プレイヤー1(2018)
Ready Player One(2018)


監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、
ベン・メンデルソーン、T・J・ミラー、
森崎ウィン、サイモン・ペグetc

評価:採点不能

WARNING:えっ!?『レディ・プレイヤー1』まだ観ていないのに、このページ読んでいるの?一生のお願いだから、今すぐこのページを閉じてくれ。そしてTwitterも町山智浩のラジオも一切触れずに映画館へ行って欲しい。この映画はあっと驚く魔法に満ちてます。その魔法を知ってから観てしまうと一生後悔する事態となりますので、今すぐこのページを閉じてください。もう一度言います。ネタバレから全力で逃げて!!!!!!!!

『レディ・プレイヤー1』あらすじ

時は2045年。スラム街に住むウェイドは、オアシスというVRゲームに熱中していた。開発者のハリデーがゲーム内に忍ばせた3つの鍵を手にした者は莫大な富を得るという隠し要素に挑んでいた。ある日、ようやく第一の鍵を手にしたウェイドだったが、大企業IOI社の人に狙われるようになり…

クロスオーバー映画の最高値

誰しもが幼少期に考えただろう、いろんなゲームのキャラクターや映画のキャラクターが共演するコンテンツ。1990年代後半から、それは徐々に実現されていった。ゲームでは、『大乱闘スマッシュブラザーズ』が生まれ、そこからクロスオーバーの波が押し寄せた。

映画の世界ではマーベル映画『アベンジャーズ』を皮切りに様々なクロスオーバーが実現されていった。例えば『シュガー・ラッシュ』や『ピクセル』のように、ゲームのキャラクターが一堂に集まった作品。『エクスペンダブルズ』シリーズのようにマッチョ系俳優を大集結させた作品。さらにはあのM・ナイト・シャマランまでもがある作品とある作品のクロスオーバー(これは『スプリット』を観て確かめてくれ)を企画した。

まさに21世紀前半はクロスオーバー黄金期と言えよう。そして….そのクロスオーバー映画の限界に挑戦したのがこのスピルバーグ最新作『レディ・プレイヤー1』だ。

デロリアン、金田バイク、ガンダムにアイアン・ジャイアントetc アニメ、映画、ゲーム、音楽全方向のオタクに向けて、スピルバーグが全力で版権獲得に挑み奇跡の大集結を果たした作品がこれだ!原作は、アーネスト・クラインの『ゲームウォーズ』。これが、オタク用語の塊みたいな作品だっただけに、企画当初、誰しもが「いくらスピルバーグとはいえ無理だろう」と思っていた。

ブンブンも正直、最初に予告編を観た際、「確かに史上最大のクロスオーバーを実現させた点は凄いが、中身って実写版『ソード・アート・オンライン』だよね。凡庸だよね」と思ってしまった。

駄菓子菓子、これはスピルバーグという《神》が生み出した全オタクに対する最高のプレゼントであった。

確かに、本作は同時期にスピルバーグが制作した(狂っているとしか言いようがないw)『ペンタゴン・ペーパーズ』と比べるとかなり歪だ。前半1時間は、個人的に不満な部分が多かった。特に第一の鍵が隠されているレースゲーム。逆走しないとクリアできない仕様に何年も誰一人気づかないという設定。これはゲーマーならすぐに「おかしい!」と思うだろう。逆走なんて誰しもがやることだ。そして、第二の鍵のイベントに行くまで、説明、説明、説明の連続で結構鈍重だと感じた。

しかしだ、第二の鍵のイベントから私の心は全身痺れた。なんたって、スタンリー・キューブリックの『シャイニング』の世界で主人公たちは鍵を探し出すのだから。それも『シャイニング』の世界を完璧に再現している。この時点で私の中では5億点の花火が打ち上がりました!

さて、この映画を観てどの観点からブログを書こうかと悩んだ。オマージュについて書こうかと思ったのだが、820円のパンフレットで既にがっつり描かれている(『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』やジョン・ヒューズ作品、『ウォー・ゲーム』からの引用などめちゃくちゃ細かいところまで網羅されている)。それに映画超人モンキーさんが丁寧に100個ぐらいのオマージュを解説している。

では、ブンブンは何を書くべきか?そう考えた時にふっとある想いが頭をよぎった。

「俺が情報科教師になっていたら、絶対にこの映画を授業で魅せる。テストにも出題するな」

本作は、ただのオタクを喜ばせるマニアポルノではなく、中高生に観て欲しい歴とした教育映画だ。ってことで、情報科の目線で本作を語っていきます。

ポイント1:パスワードは厳重に管理しよう

まず、何といってもこの作品最大の教訓は、パスワードを分かりやすい場所に書いておくなということに尽きる。オアシスを乗っ取ろうとするインターネット・プロバイダ会社IOIの狡猾な運営統括責任者ソレントは、IT企業の責任者でありながら重要なパスワードをVRマシンの横に貼り付けていた。これにってウェイドたちにハッキングされ、サイバー攻撃を受けてしまった。

確かに、あのパスワードは覚えづらいもの。ただいくら覚えづらくても、面倒くさくても、金庫に保管するなりやり方はあったはず。ISO27001の観点から最悪のパスワード運用だ。よく監査通ったね(いや、そもそもあんな独裁企業まともな監査を受けているはずがない)。

ポイント2:ネットの世界では本名は名乗るな

SNSは、様々な人と交流できる空間だ。学校や職場の周りに話が合う人がいなくても、SNSでは簡単に見つかるし繋がることができる。居心地が良く、本当にオアシスだ。しかし、SNSは一度炎上した途端、あなたの喉元に鋭利なナイフを突きつける怖い存在である。

いくら居心地がいいからって、余程の芸能人でない限り本名を名乗るべきではない。本名さえ知れば、簡単に家族構成や住所を突き止めることができます。実際にウェイドは、オアシス内のアバター・アルテミス(本名はサマンサ)に恋をし、うっかり自分の本名を名乗ってしまったことから、親をIOI社の人間に殺されてしまいました。

ポイント3:あなたの個人情報高いですよ

先日、Facebookからユーザー5000万人分の個人情報が抜き取られ、ドナルド・トランプの大統領選における広告戦略として使われていたことが発覚した。Googleもそうだが、タダで利用できるものには必ず裏があります。高性能な検索エンジン、SNSは基本的にあなたの検索情報や投稿内容を利用し広告戦略として使うことで発展しています。自分の行動ってお金になるの?と思うかもしれない。確かに、一つ一つの行動はお金にならない。ただ、何万人、何十万人者のデータを分析し、あなたと行動パターンの似ている人のデータを集約するとこれが絶大な威力を発揮する。例えば、何気なくサイトを見ていて、自分の好きなモノが広告として出てきたことはないだろうか?

ブンブンの場合、しょっちゅうAmazonからオススメ商品が提示されます。それが、サタジット・レイやパラジャーノフのDVDだったりと、「何で俺の趣味知っているの?」と思うものばかり紹介されます。

これは、大企業が膨大なデータベースから映画オタクの情報を分析し、ブンブンの行動を踏まえた上で提示した広告なのだ。だからこそ、IOIは個人情報を求める。そしてウェイドという金脈からは大金を払ってでも個人情報を抜き出そうとしたのだ。

ポイント4:ゲーム内の広告戦略

IOI社の目的は、オアシスを乗っ取り、ゲーム内の広告宣伝制限を解除することだった。ゲームやウェブサイトを開くと、追尾型の広告が表示されて鬱陶しいと思ったことはありませんか?Youtubeなんかだと、飛ばせないCMが挿入されたり、アンケートなんかさせられたりとウンザリさせられる時ありませんか?

企業は、何としてでも自分のブランド、新製品を人々の深層意識に植え付けようとします。今やテレビ番組は視聴率が取れない時代。録画機能によって、CMは飛ばされてしまう時代。だからこそ、企業は他の媒体に広告を打つに躍起になっている。

そして、それがビジネスとなる。ゲームやまとめサイトで追尾型の広告が多いのは何故か?それは広告を押すと開発者や管理者にお金が入る仕組みになっているのだ。今あなたがみているこのサイトも、広告を押すことによってブンブンにお金が入ります(俗にいうアフィリエイト)。

IOIはオアシスを乗っ取り、ゲーム内の広告宣伝制限を解除することで、広告ビジネスを拡大させ、自社製品を買うよう人々の心に植えつけたり、はたまた様々な企業と連携することで莫大な利益を生もうとしていました。

ただ、これはユーザーにとって迷惑千万。ウザイ広告にオアシスが汚染されてしまうこととなります。

ポイント5:仮想通貨の未来


最近、イケダハヤトがブロックチェーンを用いたゲームで仮想通貨のマイニングを行なっているが、その将来像がここにありました。ゲームで稼いだお金は、仮想通貨として使える。ウェイドは、第一の鍵を入手することによって得た膨大な仮想通貨で、超体感スーツを買っていました。

割と、『レディ・プレイヤー1』の世界って身近でしょ?

ポイント6:課金は計画的に

この作品では、オアシスにのめり込むことによって人生が破滅していく人が痛烈に描かれています。最強の武器を手に入れるために、課金しまくって借金をし、カイジの強制労働施設に入れられる場面が生々しく描かれます。

IOI社は、アメリカのカード会社のように、低所得者をカモとし徹底的に搾取する。金がなくなったら身体を搾取する。確かに現実ではステータスが低く、そのコンプレックスからゲームの中で強い自分になろうとするのはわかる。ただ、それで現実が破滅したら人生勿体無くない?

ポイント7:現実の人付き合いを大切に

最後に、スピルバーグは残された力を振り絞って、「仮想空間だけでなく、現実の付き合いも大切にしてくれ」と熱いメッセージを投げかける。確かに仮想空間は皆、理想の自分になれる。自分のコンプレックスを隠すことができる。ただ、それだけだと、現実世界はウェイドの住むスラム街のように虚無が支配する世界となってしまう。

スピルバーグはオタク代表として、全オタクに熱いメッセージを送った。これは、仮想と現実の付き合い方を見事に提示したシーンである。

最後に…

『レディ・プレイヤー1』を技術者の立場、情報科の立場として見ると、本当に2045年はああなっているんだなと感じさせられたし、ただのオタク映画ではないことも分かった。そして、この金脈はイースターエッグ探しのように無限の語り口がある。他の感想・解説も読んでみたいものだ。


↑パンフレットとデロリアンのプラモデルを衝動買いしましたよw

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