【毎週インド映画3】『レインボー』シャー・ルク・カーンをたずねて三千里

レインボー(2015)
Dhanak(2015)

監督:ナゲーシュ・ククヌール
出演:クリシュ・チャブリア、ヘタル・ガダetc

評価:80点

今年はインド映画とポーランド映画に力を入れているブンブン。Netflixには日本未公開のインド映画が沢山あるのだが、俳優もタイトルも知らなければ海外評判すら分からなかったりする作品が多く毎回ミステリーツアーのように楽しんでいる。そんな中、大傑作を引き当てました。その名も『レインボー』だ。

『レインボー』あらすじ

盲目の少年チョトゥは毎朝、面倒見の良いパリと一緒に学校に通っている。そんな二人の楽しみは、おじさんに映画へ連れて行ってもらうこと。大スターのシャー・ルク・カーンに惚れている。パリは、シャー・ルク・カーンのドナー広告を見て思い立つ。彼にチョトゥの病気のことを伝えようと。そして毎日手紙を書いては郵便局に持っていくのだった。そんなある日、近所(とはいっても50km以上先)でシャー・ルク・カーンが映画の撮影に来るという噂を聞く。パリはチョトゥと共にシャー・ルク・カーンへ会いに行くことにするが…

ところでシャー・ルク・カーンって誰?

本作は、インドの大スターことシャー・ルク・カーンがマクガフィンとして使われている。しかし、日本では余程のインド映画ファンでないとあまり聞いたことのない名前だ。日本の場合、『ムトゥ 踊るマハラジャ』『ロボット』のラジニカーントの方が有名だ。ただ、実はネットフリックスのインド映画ラインナップをみると圧倒的にシャー・ルク・カーンの出演作が多い。これはどういったことか?
実は、シャー・ルク・カーンはラジニカーント以上に伝説の存在だったのだ。彼は1995年に公開された『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦〜花嫁は僕の胸に』で主演を務めた。この作品はインドで約20年以上ヒットした作品で、インド人の中で知らぬ者はいないほどの伝説的映画なのだ。(『死ぬまでに観たい映画1001本』には、『ムトゥ 踊るマハラジャ』は掲載されておらず、代わりに『シャー・ルク・カーンのDDLJラブゲット大作戦〜花嫁は僕の胸に』が載っていることから映画史的にも重要な扱いを受けている。)
日本でも最近、版権切れ間近による再上映で話題となった『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』で彼の活躍を拝むことができる。

この『レインボー』は有名人とは無縁な田舎に住む子どもが、ヒュー・ジャックマンのようなイケメン&優男&イケボイスの要素を持つシャー・ルク・カーンに一目拝もうと冒険に出るという内容なのだ。

山田洋次のような心がホッコリロードムービー

本作は、山田洋次好きなブンブンには堪らないものだった。確かに演出的におかしい部分もあったりする。イジメのシーンなんかはコミカルに描こうとするあまりに、「どういう状況になったらそうなるんだ?」とツッコミたくなる。なんだけれども、そんな粗も人情という温かさでどうでもよくなる。

パリは、盲目の少年チョトゥを守ろうという気持ちから、近寄って来る人に警戒心を抱く。道にヒッピーが倒れている。パリは、見なかったことにしようとするが、チョトゥは助けなあかん!とパリを引き止める。チョトゥの与えられるものは全て拒まず、困っている人には徹底的に与えるという姿勢にパリは困惑しつつも付き合う。そして、道中徳を積んでいくのだ。

この徳の高い旅が、しっかり後半で活かされていく。盲目だろうと、金がなかろうと、徳を積めば幸せがやってくる。癒しの音楽、汚れなき晴天を行脚する二人に元気をもらいました。

これは『男はつらいよ』シリーズや『十五才 学校IV

』好きに観て欲しいインド映画と言えよう。

おまけ

本作は子ども向け映画なのか、テレビ映画なのか、喫煙シーンがあると左下にSmoking is Injurious to Healthという警告文が表示される。劇中5,6回表示されたので驚きました。インドって喫煙シーンに厳しいのかなぁ?

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