【CPH:DOX2022】『BRAINWASHED』ニナ・メンケス女性映画史特講

BRAINWASHED: SEX-CAMERA-POWER(2022)

監督:ニナ・メンケス

評価:80点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

CPH:DOXにニナ・メンケス映画があった。ニナ・メンケスといえば『Queen of Diamonds』で知られる女性監督である。彼女が映画におけるジェンダー描写や映画業界の女性の扱いについて批判した講演型のドキュメンタリー『BRAINWASHED: SEX-CAMERA-POWER』を製作していたのだ。近年、日本でもハラスメントの告発が増えているだけに、本作で勉強をしてみました。

『BRAINWASHED: SEX-CAMERA-POWER』概要

How does the language of film shape our norms and attitudes? Not only to the films themselves, but also to the reality they represent? Nina Menkes is a filmmaker herself, and in a performative talk featuring over 175 clips from Hollywood classics and cult films, she deconstructs the many ways in which film creates hierarchies between gender, race and class. And often without anyone noticing. At a time when the role and influence of (film) art is up for review, ‘Brainwashed’ is an entertaining but thorough introduction to critical film theory and practice, so you actually understand what it’s all about. And perhaps discover that you can’t quite watch the same films in the same way anymore.
訳:映画の言葉は、私たちの規範や態度をどのように形成しているのでしょうか。映画そのものに対してだけでなく、映画が表現する現実に対しても?ニナ・メンケスは自らも映画監督であり、ハリウッドの名作やカルト映画からの175以上のクリップを使ったパフォーマティブなトークで、映画がジェンダー、人種、階級の間のヒエラルキーを作り出す多くの方法を解体していきます。そして、しばしば誰にも気づかれることなく。映画)芸術の役割と影響力が見直されている今、「洗脳」は映画批評の理論と実践を楽しくも徹底的に紹介し、それがどういうものかを実際に理解させてくれる。そしておそらく、同じ映画を同じように見ることができなくなったことを発見するだろう。

ニナ・メンケス女性映画史特講

ニナ・メンケスの講義から生まれたこのドキュメンタリーは我々が何気なく嗜んでいる映画、映画批評家が当然のように取り扱い賞賛する構図に対して批判している。『ファントム・スレッド』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』における男性の眼差しから言及し、映画における女性の性的搾取について語る。胸や尻がアップになり、その後女性の全身が映し出される。男性の、舐めるように観る女性像。覗き見の側面を、画の構図から理論的に説明していく。そして、映画史における女性監督の少なさ、ハリウッドにおいて94%もの女性映画人がハラスメント経験ある事実(これは母数やアンケートの方法について慎重に見る必要はあるが)から、見えない存在となってしまった問題を次々と明らかにしていく。

本作は大学の授業であれば半年かけて講義する内容を1回分の授業サイズに圧縮しているため、事象や映画史における重要な作品を並べているだけにも見られる。また、自分の作品を棚にあげすぎな印象も受ける。しかしながら、アリス・ギィ、ドロシー・アーズナーの時代から『WANDA ワンダ』や『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』、『ノマドランド』、『TITANE/チタン』までを語り、『Mektoub, My love』におけるアブデラティフ・ケシシュの性的虐待問題を指摘する点は女性映画史入門として重要と言える。

近年、映画製作に関するドキュメンタリーが度々話題となっているが、この映画は日本にとって必要な作品だと言えよう。

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※CPH:DOXより画像引用