『SING/シング:ネクストステージ』相変わらずムーンは酷い

SING/シング:ネクストステージ(2021)
SING2

監督:ガース・ジェニングス
出演:マシュー・マコノヒー、リース・ウィザースプーン、スカーレット・ヨハンソン、ボノetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

VTuberの方とアニメ映画について話す。一応、トークで話す映画については決めていたが、今年観逃した作品も観ておく必要があると感じたので『SING/シング:ネクストステージ』を観ました。前作におけるバスター・ムーンの行動が非常に不快に感じたので不安でしたが、今回は冷静に観ることができました。

『SING/シング:ネクストステージ』あらすじ

「ミニオンズ」のイルミネーション・エンターテインメントが手がけ、誰もが知る名曲やヒットソングを満載して描いたミュージカルコメディアニメ「SING シング」の続編。コアラのバスター・ムーンが再建に成功した「ニュー・ムーン・シアター」は地元で人気となり、連日満席の活気にあふれていた。しかし、バスターには、世界的なエンタテインメントの中心地レッド・ショア・シティにあるクリスタル・タワー・シアターで新しいショーを披露するという、さらなる夢があった。そのためには、クリスタル・エンターテインメント社の冷酷な経営者ジミーのオーディションに通過しなければならない。どうすればジミーの気を引くことができるか考えたバスターと仲間たちは、伝説のロック歌手で、今は隠遁生活を送っているクレイ・キャロウェイを自分たちのショーに出演させることを思いつくが……。声優にはマシュー・マコノヒー、スカーレット・ヨハンソン、タロン・エガートン、リース・ウィザースプーンら前作同様の豪華キャストが集い、伝説のロック歌手、ライオンのクレイ役は「U2」のボノが務めた。日本語吹き替え版もバスター役の内村光良をはじめ、坂本真綾、斎藤司、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥、大地真央、田中真弓と変わらず、クレイ役で「B’z」の稲葉浩志が声優初挑戦した。

映画.comより引用

相変わらずムーンは酷い


バスター・ムーンの厚顔無恥さ、結果成功していればどんなに迷惑をかけても大丈夫でしょと開き直る精神の不快さは今回も健全であり、パトロンになり得る客が公演の途中で帰ろうものなら全力で引き留めたり、アサインすら済んでいない大物歌手を招致できる前提で話し、オーディションに合格するなど、凄惨な状況が続く。ただ、先日書いた『エルヴィス』の感想を踏まえるとこれはアメリカン・ドリームの映画であると分かる。『エルヴィス』ではプレスリーを搾取した大佐が延々と開き直っている。成功のためなら、搾取も肯定できる立ち位置でいる。そしてこれは、欧州から夢を見て新天地のアメリカへ渡り、先住民を蹂躙しながらアメリカを作ってきた歴史と繋がる。バスター・ムーンも同様に、仲間にどれだけ迷惑かけようとも、危険な目に遭わせようともスペクタクルが成功すれば良いスタンスを取っている。仲間を成功のための道具としか見なしていないような振る舞いはアメリカン・ドリームの裏にある闇と言える。

イルミネーション社はディズニー/ピクサーとは違い、共感と外れた位置から人間味あるドラマを描こうとしている。『ミニオンズ』シリーズにおける悪党目線から友情を描くプロット同様、『シング』2部作も成功のためのグロテスクなまでの犠牲。不快指数高まるストーリーテリングを描きながら、人間のある側面を捉えようとしている。

さて、物語はこのように恐ろしいのだが、それを中和するため、今回はライブパフォーマンスに力を入れている。バズビー・バークレーに対する解像度が他のミュージカル映画に比べ高く、真上から捉えるショットはもちろん、『泥酔夢』における役者が下方向に向いたカメラに向かって突っ込んでくるショットの逆、つまり地面に向かって落ちてくるブタを上向きのカメラが捉えるショットがあったり、膨大なキャラクターを横に並べたり、ツリーにしたりしている。単純に真上からのショットを擦らない演出に惹き込まれた。

バズビー・バークレー演出好きな私は前作より楽しめたと言えよう。

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※映画.comより画像引用

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