『星を追う子ども』そのイケおじ、イカれている

星を追う子ども(2011)

監督:新海誠
出演:金元寿子、入野自由、井上和彦、竹内順子、折笠富美子、島本須美、大木民夫、日高里菜、伊藤かな、恵浜田賢二etc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

『すずめの戸締まり』を観る日に、朝4時から新海誠過去作『星を追う子ども』を観た。これが異常な作品であるとともに、新海誠映画を「落下」の観点から観る上で重要な作品となっていた。

『星を追う子ども』あらすじ

「ほしのこえ」「雲のむこう、約束の場所」など繊細な心理描写と緻密な映像美で知られるアニメーション作家・新海誠が、「秒速5センチメートル」以来5年ぶりに手がけたオリジナル長編作。少女アスナが父の形見の鉱石ラジオで聞いた不思議な音楽をきっかけに、大冒険へと旅立つ姿を描くジュブナイルアニメ。美術監督の丹治匠、音楽の天門ら新海作品を支えるおなじみのスタッフが集う。

映画.comより引用

そのイケおじ、イカれている

新海誠映画において、「落下」は重要な意味を持つ。『君の名は。』では隕石の落下が立花瀧と宮水三葉の絆を強固にし、引き裂く役割として機能している。『天気の子』では森嶋帆高と天野陽菜が天空で落下し合う。それがトリガーとなり、東京は水没するに至る。「落下」による甚大な影響は不可逆的なものとして描かれる傾向がある。さて、『星を追う子ども』はひたすら「落下」し続ける作品だ。怪物と対峙。現実の破片の落下、怪物の落下と続き、渡瀬明日菜は助けてくれた少年シュンと共に落下する。これを通じて、異界の扉が開かれ、彼女はもはや知らなかった状態には戻れなくなる。

映画はイケメンの新任教師、森崎竜司が導き手となり、異界アガルタの深淵を目指すこととなる。『メイドインアビス』かと思しき、幾重にも層をなす地下世界は、さらなる元ネタともいえようダンテ「神曲」の世界を紡ぎ出す。明日菜と竜司は下の層を目指す中で、憎しみの眼差しや怪物と対峙し、恐怖しながらも欲望を満たすために果てしない旅へと出る。

しかし、映画が後半に差し掛かると様子がおかしくなってくる。竜司が欲望暴走マシーンとして銃を乱射しながら、イケイケどんどん下を目指し始めるのだ。そしてウェルギリウスポジションだったはずの彼は、ベアトリーチェと化す明日菜によって救われる。だが、救っていいものかと疑いたくなるような欲望の醜態を晒して、放置された状態で映画は終わってしまうのだ。

ダンテ「神曲」の構図は『すずめの戸締まり』に直結するものがあり面白いのだが、内容は狂いに狂った作品であった。

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※映画.comより画像引用