【東京国際映画祭】『愛しい存在』ゆるふわミニシアター映画

愛しい存在(2020)
Sweet Thing

監督:アレクサンダー・ロックウェル
出演:ラナ・ロックウェル、ニコ・ロックウェル、ジャバリ・ワトキンスetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第33回東京国際映画祭で『イン・ザ・スープ』のアレクサンダー・ロックウェル最新作『愛しい存在』を観てきました。映画祭で観た映画評に追われているうちに12月となってしまいましたがここに短評を載せておく。

『愛しい存在』あらすじ


普段は優しいが酒を飲むと人が変わる父。幼い弟と辛い日々を過ごす少女ビリーは、家を出て行った母親に会いに行こうとするが…。社会の底辺で生き延びようと闘う姉弟の姿を、スタイリッシュなモノクロ画面で描く思春期映画。
※第33回東京国際映画祭サイトより引用

ゆるふわミニシアター映画

アル中の父は奇行ばっかり繰り返している。学校に通わず、路上をふらつきイタズラをしたり屑鉄や便器を売りつけ日銭を稼いでいる姉と弟。そんな一見崩壊している家族にもささやかな喜びはある。父は子どもたちの為にクリスマスプレゼントを用意するのだ。そんな一時もある日、父が路上で暴れて逮捕されてしまったことから一変する。母の家に送られた二人だったが、母の新しいパートナーがDVを繰り返す男だったのだ。DV夫から逃れるように、出会った少年と共に仲良くなるが、ある日そのDV夫との諍いの中でナイフを突き刺してしまい、逃避行が始まるのだ。自由を得た子どもは放浪し、あのアル中だが優しい父を追い求めていく。

白黒とカラーを巧みに使いこなすミュージックビデオ的演出と、ジム・ジャームッシュやケヴィン・スミスといったミニシアター時代のゆるふわ映画のベールであまりにも重すぎる話を希釈している。そこが受け入れられるかどうかが評価の分かれ目であろう。正直、あの内容をこの演出で描くのは2020年の価値基準ではあまりにも軽薄でしょうもない映画に見えるのだが、妙に80年代のゆるふわインディーズ映画の再現に拘った演出が心に刺さってしまったところもあり頭ごなしに批判することはできない。

なんだか好きと嫌いが渦巻くモヤモヤする映画であった。

各映画祭星評

【第33回東京国際映画祭星評】

燃ゆる女の肖像★★★★
ミッシング・リンク★★
荒れ地★★★
チンパンジー属★★★
エイブのキッチンストーリー★★
おらおらでひとりいぐも★★★★
新感染半島★★★
ノマドランド★
皮膚を売った男★★★★★
再会の奈良★★★
親愛なる同志たちへ★★★★
二月★★★★
ポゼッサー★★
アップル★
ノットゥルノ/夜★
デリート・ヒストリー★★
リトル・ガール★★★★
愛しい存在★★★

【第21回東京フィルメックス星評】

迂闊な犯罪★★★
イエローキャット★★★★
アスワン★★★
逃げた女★★★
風が吹けば★★
平静★
照射されたものたち★★★
D.I.★★★★★
天国にちがいない★★★★★
日子★★
消えゆく者たちの年代記★★★

【第12回京都ヒストリカ国際映画祭星評】

モスキート★★★★
魂は屈しない★★★
義理の姉妹★★★
荒野の少女グウェン★★★

※第33回東京国際映画祭サイトより画像引用

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