【京都ヒストリカ映画祭】『モスキート』異国で迷子になる

モスキート(2020)
Mosquito

監督:ジョアン・ヌノ・ピント
出演:ジョアン・ヌネス・モンテイロ、ジョアン・ラガルト、フィリッペ・ドゥアルテetc

評価:80点

東京国際映画祭、東京フィルメックスの裏では京都ヒストリカ国際映画祭が開催されている。京都ヒストリカ国際映画祭と言えば、『ノベンバー』や『こころに剣士を』といった異次元の傑作を発掘している映画祭なので注目している。なんと今年は新型コロナウイルス蔓延もあってかオンライン会場が用意されていました。さてラインナップをみると、先駆者から時折出てくるタイトル『Mosquito』があるではないか。というわけでWhy not?早速観てみました。

『モスキート』あらすじ


第一次世界大戦下の1917年、若きポルトガル人の少年兵士ザカリアスはドイツの脅威から植民地を守るため、アフリカ・モザンビークの最前線に派遣された。祖国への忠誠を胸に偉大な冒険へと乗り出したザカリアスだが、マラリアに伏し、部隊から取り残され、遭難する。熱に浮かされて見る夢にいざなわれ、たった一人で見知らぬジャングルの中を彷徨い歩く。その末に、先住民の居住地に辿り着くが…。監督の祖父の実体験をもとに、見過ごされてきた戦争の記憶が現実と虚構を織り交ぜながら紡がれる。2020年ロッテルダム国際映画祭オープニング上映作品。
※京都ヒストリカ映画祭より引用

異国で迷子になる

大地を兵士が黒人連れて歩いている。目の前に大きな川が現れる。どうしましょう?と隊長の命令を待つと、「舟があるだろう?」と言い、黒人の上に跨り河を歩んでいくのだ。なんとも酷いオープニングから物語は始まる。

そんな部隊の一員である少年兵ザカリアス(João Nunes Monteiro)は意識高い系である。『炎628』のフリョーラ同様、勲章やらそういったものに目をキラキラさせながらいざモザンビークへ。しかし、マラリアにやられ部隊から取り残されてしまう。頼りの黒人の僕とも逸れてしまい、目的地も帰る場所も失った彼はひたすら迷宮のようなジャングルを歩くしかない。やがて彼は部族に捕まる。そしてヨーロッパの兵士が黒人にしていたように、彼も奴隷のようにモザンビークのコミュニティで扱われることとなる。

本作は戦争映画でありながら、シンプルなサバイバル映画であり、意識高い系がモノホンの地獄と対峙し、それをどのように克服するのかといったプロセスが魅力的な作品だ。倒れている人に近づくとプスッと影から矢が飛んできて、死体に刺さるといった不気味なショットが次々と押し寄せる。いつしか、観る方もこの迷宮の中に迷い込むそんな魅力に満ち溢れた作品でした。

※京都ヒストリカ映画祭より画像引用

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