【 #死ぬまでに観たい映画1001本 】『ヒズ・ガール・フライデー』脚本電光石火

ヒズ・ガール・フライデー(1940)
HIS GIRL FRIDAY

監督:ハワード・ホークス
出演:ケイリー・グラント、ロザリンド・ラッセル、ラルフ・ベラミー、ジーン・ロックハートetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Twitterのフォロワーさんからハワード・ホークス映画の中で一番オススメと伺っている『ヒズ・ガール・フライデー』をようやく観ました。ベン・ヘクト、チャールズ・マッカーサーによる戯曲の映画化で『犯罪都市』、『フロント・ページ』とタイトルが変わって何度も映画化されている本作だが、ハワード・ホークス版は語りが凄まじいことになっているらしい。実際に観てみると、最近の2時間~3時間に収める為に早口で喋らせている映画を遥かに超える速度で観客に襲いかかる傑作であった。

『ヒズ・ガール・フライデー』あらすじ


敏腕女性記者ヒルディは上司であり元夫でもあるウォルターに堅実な保険業者ブルースと結婚すると報告する。ヒルディに未練を残すウォルターは、最後の仕事にと死刑が確定している警官殺しの冤罪事件の取材を無理矢理引き受けさせ、あの手この手で結婚を妨害しようとするが…。史上おそらく最も速いペースの喜劇映画と称されるスクリューボールコメディ。
映画.comより引用

脚本電光石火

ハワード・ホークスお得意の横移動から始まる本作は『暗黒街の顔役』や『三つ数えろ』とある程度ハワード・ホークスの癖を知ってから臨むと油断する。しかし、ケーリー・グラント演じるウォルター・バーンズがヒョイっとタバコをかつての恋人ヒルディ・ジョンソン(ロザリンド・ラッセル)に投げつけると勝負の始まりである。マウントの取り合いの中で、彼女が結婚を知るとなると、何とかして彼女の結婚を引き止めてあの時代のギラギラした取材をまた一緒にしたくなるバーンズ。その思いが先走り、関係ない老人を恋人と思い厚かましく語りかける。そして取り敢えずレストランに行く二人とジョンソンの恋人。言葉巧みに、彼女のボロを伝えて破局させようとするのだが、景気良く彼女の足蹴りが炸裂する。その蹴りがリズミカルに、店員にまで衝突し一進一退の攻防が繰り広げられる。本作は、いわば紙兎ロペで言う所の相手の言動の先をいきすぎて鬱陶しいニャンコイン野郎しか出てこない作品だ。しかし、その厚かましさを鍛錬させることで観るものを虜にする作品へと仕上がる。二人の痴話バトルの横に無造作に置かれる「死刑」という存在が、インパクトを出そうとしても周囲の個性にかき消される。スクープを横取り、誇張で出しぬこうする処刑場横のオフィスの連中は、銃弾がオフィスまで被弾しようと、特ダネだと思いこみ右から左へ右往左往する。そこに、颯爽とジョンソンが侵入しタイプライターを轟かせる軽やかさがアクセントとなり、処刑場から逃げ出した男のバレるかバレないかサスペンスが際立つ。銃を持ってオフィスへ侵入し、ジョンソンを脅迫する男を簡単にカウンターし、今度は味方につく。そして机の中に押し込む。そこへ次から次へとガヤが押し寄せる。挙動不審でじっとしていられない輩を前に、彼は生きて帰れるのだろうかと不安を抱くのだが、バレるかバレないかサスペンスすら破壊し、その男の存在が明るみに出た状態で言葉巧みに右左へと人を捌いていく。そんなバーンズとジョンゾンのコントのような手捌きがあるからこそ、何故バーンズがあそこまでジョンソンに拘るのかに説得力がある。本作は物語る気0、アーロン・ソーキンなんかとは比べ物にならないセリフ量で観客を圧倒する作品だが、その動きと理論的な破綻によってねじ伏せられる快感に満ち溢れた傑作であった。

※imdbより画像引用

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