【東京フィルメックス】『平静』私が平静でいられない

平静(2020)
The Calming

監督:ソン・ファン
出演:チー・シー、ユー・ジュ・イェ、Song Dijin、市山尚三etc

評価:10点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第21回東京フィルメックスで『平静』を観たのですが、私が平静でいられなくなるほど酷い映画であった。

『平静』あらすじ

『記憶が私を見る』で高い評価を受けたソン・ファンの監督第2作。東京から越後湯沢、香港へと旅するアーティストを主人公に、友人や家族との会話の中で自己の“平静”を取り戻してゆく女性を描く。チー・シー、渡辺真起子が出演。ベルリン映画祭で国際アートシネマ連盟賞を受賞。
※東京フィルメックスサイトより引用

私が平静でいられない

美術館でインスタレーションの準備を行う。主人公の女性はアーティストとして日本に来ている。まるで『DEMONLOVER デーモンラヴァー』の坂本安美のように市山尚三が日本の案内人として女性をおもてなす。トンネルを抜けるとそこは雪国であったかのように銀幕の世界が彼女の前に広がり、侘び寂び漂う日本の町を彷徨う。彼女はどうもスランプらしい。何か心に膿を宿している。中国へ帰り、映画の上映会がある。Q&Aでお客さんから、「なんで映画にしようとしたのか?美術館上映でいいのでは?」とチクチク刺さるコメントをもらい、それを曖昧で空虚な言葉で返すのだ。そして、彼女は癒しを求めて森を彷徨う。

小説家の島田雅彦は、物語における散歩の重要性を語っていた。アクションでありながら偶発性を装うことができる散歩は物語において面白い使い方ができる技法なのだが、本作では芸がない。河瀨直美映画のようなスピリチュアルさもなければ、アンゲラ・シャーネレクのようなミニマルな演出への繊細さもない。ただ雑に散歩が描かれているだけで、空白の時間を観客に委ねる。彼女は辛いんだよと言いたげに虚無な散歩のショットを繋ぐのだが、単なる演出力がないだけにしか見えない。観客に判断を全任せにする傲慢さしか感じられなかった。

この映画こそ美術館でかけるべき、いや失礼した。カフェかなんかの内輪だけの上映会で流すべきだったのではないだろうか。本作はベルリン映画祭で国際アートシネマ連盟賞を受賞している。ただ本祭のエンカウンター部門の審査員に市山尚三がいることから、どうも映画業界人に媚びている印象も受け、今回の東京フィルメックス最大の地雷作に感じました。

※映画.comより画像引用

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