『La Cordillera de los sueños』パトリシオ・グスマン山から故郷へ

La Cordillera de los sueños(2029)
The Cordillera of Dreams

監督:パトリシオ・グスマン

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

チリの闘い』、『光のノスタルジア』、『真珠のボタン』と一貫してチリの歴史を扱っている巨匠パトリシオ・グスマンの新作『La Cordillera de los sueños』を観ました。

『La Cordillera de los sueños』あらすじ


Patricio Guzmán left Chile more than 40 years ago when the military dictatorship took over the government. However, he never stopped thinking about a country, a culture and a place on the map.
訳:パトリシオ・グズマンは40年以上前、軍事独裁政権になってからチリを離れた。しかし、彼は国、文化、地図上の場所について考えることをやめなかった。
IMDbより引用

パトリシオ・グスマン山から故郷へ

ジェームズ・ベニングは『DESERET』の中で美しいユタ州の風景をバックにナレーションを重ねることでその土地の歴史を立体的に魅せようとした。その技法をパトリシオ・グスマンは『光のノスタルジア』、『真珠のボタン』でモノにした。空の『光のノスタルジア』、海の『真珠のボタン』を耽美的映像の中に暴力の歴史を忍ばせることで、時間の深みを強調させていた。そんな彼は今度は山からチリを紐解いていく。アンデス山脈をドローン撮影で捉える。そのままドローンは彼が幼少期過ごしたサンティアゴの家に向かう。家は廃墟となっており、屋根がなくなっていた。1970年代にキューバへ亡命し、スペイン、フランスと転々としてようやく故郷へ帰ってくる。『オデュッセイア』的カタルシスをそのショットに与えると共に、チリの歴史を当事者という主観的視点から逃れ、俯瞰してみる客観的視点で紐解こうという力強い意思を感じさせる。

またアンデス山脈は、ピノチェット政権時代、虐殺の埋葬地としてはほとんど使われなかったことから、時間を保存する存在として捉え、その山の神秘から自分や人々の失われてしまった記憶を呼び戻そうとしている。それは同じくチリの歴史の記憶をアーカイヴしているPablo Salasとの和解へと繋がっていく。これはパトリシオ・グスマンの遺言状のような作品だ。チリの歴史と向き合ってきた彼が、自分の人生を山を迂回して振り返っていく。その中で、同じチリの歴史を捉えようとしてきたアーティストを過小評価してきた自分に対して反省をしている。

山と歴史との関連性を見出しにくい作品でありながら、山と切り離すことはできない。凡庸な自然ドキュメンタリーの風貌で綴られる彼のメッセージは、妙に心に残るものがありました。

日本公開は来年のようです。

※youtubeより画像引用

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