『ナワリヌイ』緊急着陸、毒殺未遂。今そこにある危機

ナワリヌイ(2022)
Navalny

監督:ダニエル・ロアー
出演:アレクセイ・ナワリヌイ、ユリヤ・ナワリヌイ、マリア・ペヴチク、クリスト・グローゼフ、レオニード・ボルコフetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

CPH:DOXでオンライン上映されていたものの観逃していた『ナワリヌイ』がまさかの爆速日本緊急公開された。アレクセイ・ナワリヌイ毒殺未遂事件に関しては全く知らなかったのですが、新宿ピカデリーに行くと満席近い人で埋まっており関心が高いドキュメンタリーだとうかがえた。ドキュメンタリー映画に強い友人がめちゃくちゃオススメしていたので今回観たのですが、ユーモラスで恐ろしいドキュメンタリーであった。

『ナワリヌイ』概要

ロシア反体制派のカリスマ、アレクセイ・ナワリヌイを追ったドキュメンタリー。プーチン政権への批判で国内外から注目を集め、若年層を中心とする反体制派から支持を集める政治活動家ナワリヌイ。政権にとって最大の敵と見なされた彼は不当な逮捕を繰り返され、巨大な力に追い詰められていく。そして2020年8月、ナワリヌイは移動中の飛行機内で何者かに毒物を盛られ、昏睡状態に陥る。ベルリンの病院に避難し奇跡的に一命を取り留めた彼は、自ら調査チームを結成して真相究明に乗り出す。「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」のダニエル・ロアーが監督を務め、暗殺未遂事件直後からナワリヌイや家族、調査チームに密着。事件の裏に潜む勢力を驚きの手法で暴いていくナワリヌイの姿を捉え、ロシア政府の暗部に切り込んでいく。サンダンス映画祭2022でシークレット作品として上映され、観客賞とフェスティバル・フェイバリット賞をダブル受賞した。

映画.comより引用

緊急着陸、毒殺未遂。今そこにある危機

アレクセイ・ナワリヌイにカメラが向けられる。「退屈な追悼映画ではない。」とユーモラスな語り口で壮絶な情報戦の火蓋が切って落とされる。ロシア反体制派のアレクセイ・ナワリヌイはプーチン政権を倒し、民主主義を取り戻そうとしている。強大凶悪なプーチン政権を倒すためなら手段を選ばない。ナショナリストやヒトラーを礼賛する人の集会にも顔を出す。それに対して、重要なのは団結だ。プーチン政権を打倒し民主主義を勝ち取るためには、彼らの力も必要だと語る。そんな彼は、飛行機内で何者かに毒を盛られ緊急着陸する。一命を取り止め、ドイツに避難した彼はチームを形成しインターネットと15万ドルにも及ぶ資金を投入して犯人を特定しようとする。やがて明らかになる、毒薬工場や、組織ぐるみでの暗殺計画。チームは一丸となって、素性を偽り電話で突撃し、当事者から証拠を引き出そうとする。

ナワリヌイサイドのアグレッシブな情報取得方法の数々にハラハラドキドキさせられると共に、この映画を観ている我々も危ないのではと不安になってくる衝撃映像の数々に胸が締め付けられる。そしてナワリヌイがインフルエンサーもといバズリヌスとして影響力を持てば、プーチン政権はそう簡単に手出しできないだろうという目論見を片っ端から破壊していく暴力を前にすると、今の社会においてもはや民主主義は終焉を遂げ、力持つ者の暴力により市民が蹂躙されてしまっているんだなと悲しくなった。

そして、それでも腐敗に対して抗議の声を上げ続けなければ蹂躙され続ける地獄の世界に私は涙した。

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※映画.comより画像引用