オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020)
My Octopus Teacher
監督:Pippa Ehrlich,ジェームズ・リード
出演:クレイグ・フォスター
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされているNetflixドキュメンタリー『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』を観ました。Netfflixは劇映画よりもドキュメンタリーが面白く、『イカロス』や『ブラジル-消えゆく民主主義-』、『アメリカン・ファクトリー』といった興味深い作品が配信されている。今回は、タコとの純愛ドキュメンタリーということで観てみました。
『オクトパスの神秘: 海の賢者は語る』概要
南アフリカの海中に生息するタコに魅(み)せられた映像作家。タコとのふれ合いを通して特別なきずなを築く中、海の神秘に重ねて人生を見つめ直す。
※Netfflixより引用
タコvsサメ世紀の戦い
人生に疲れた男クレイグ・フォスターは精神を癒す為、南アフリカの海に毎日潜ることにする。彼の眼前には見たこともないような美しさが広がっており、彼は海の神秘に取り憑かれていく。
そんな中、彼はタコと出会う。殻を全身に身につけて防御したり、獲物を仕留める為に巧妙な技を駆使するタコに魅了された彼は、タコとコミュニケーションを取り始める。ただ、間合いが非常に難しく、中々思うように対話ができない。しかし、やがて彼の手にタコが触れコンタクトを取り始めた。これにより二人は友情や愛情を超えた関係に発展していく。
本作は人間関係に疲れた男が、タコを通じて再び対話の感覚を取り戻していく過程を追ったニッチなドキュメンタリーである。クレイグ・フォスターの距離感が非常に好感が持てる。タコがヒトデ軍団に襲撃されたり、タコに襲われたりしても決して助けようとしないところである。自然の出来事に対して人間が手を下さない、最低限のルールを守りつつタコと対話をしていくのでネイチャードキュメンタリーとして観応えがあります。
そしてなんといっても、タコとサメ世紀の戦いが観られるところが熱い。
殻を身に纏い球状に変化してサメの噛みつき攻撃を避ける。これでは劣勢かと思っていたら、サメの背中に球体ごとのしかかり、精神攻撃を仕掛ける。この腕力vs知性の戦いは格闘技を観ているような気分になります。
流石にアカデミー賞受賞まではいかないとは思いますが一見の価値ある作品と言えよう。
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