『アナザーラウンド』マッツ・ミケルセンは酒でバイブスあげるドン!

アナザーラウンド
英題:Another Round
原題:Druk

監督:トマス・ヴィンターベア
出演:マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、ラース・ランゼ、Magnus Millang、マリア・ボネヴィーetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

カンヌ2020レーベルに選出され、批評家の2020年映画ベストにチラホラ名が挙がっているトマス・ヴィンターベア最新作のマッツ・ミケルセン呑んベぇ映画『Another Round』を観ました。ポスタービジュアルからは『スプリング・ブレイカーズ』や『荒野の千鳥足』の雰囲気が漂っていましたが、ドグマ系監督、あの『偽りなき者』のトマス・ヴィンターベアだけに辛辣なブラックコメディに仕上がっていました。

※日本公開は2021/9/3(金)邦題『アナザーラウンド』に決まりました。

『アナザーラウンド』あらすじ

Four friends, all high school teachers, test a theory that they will improve their lives by maintaining a constant level of alcohol in their blood.
訳:高校教師である4人の友人たちは、血中のアルコール濃度を一定に保つことで生活が改善されるという理論を試す。
imdbより引用

マッツ・ミケルセンは酒でバイブスあげるドン!

マッツ・ミケルセン演じる歴史教師Martinは、最近調子がよくない。自分の授業が果たして生徒に響いている感触がない。家庭もモヤモヤとしている。ある時、同僚と酒の席で、「血中アルコール濃度を0.05%にしておくと何事もうまくいく」という説を聞き、実践してみることにする。学校にお酒を隠しもち、背徳感に浸りつつ酒を呑む。すると、授業がうまくいきはじめる。抑圧された自分を解放するかのように大胆に授業を行い、生徒からの反応も勝ち取ったMartin。仲間たちも、意気揚々と授業をする。しかし、段々と、酒が効かなくなってきて、「もう少し入れようかな?」と思い始める。血中アルコール濃度が、o.1%、0.5%、0.7%と上がっていく。それと同時に身体に異変が生じてくる。スーパーで買い物をしようにも、呂律が回らなくなり倒れてしまう。学校では千鳥足で、事情を知らない先生を目の前に豪快に壁ドンしてしまうのだ。

本作が面白いところは、引き返すことができるポイントをいくつか用意しているところにある。例えば、サッカーの授業中、水を忘れた生徒が先生に「その水頂戴」と言い寄る場面がある。しかし、その中身はウォッカか何かである。また、学校の倉庫から酒が見つかり犯人探し的展開が始まったりする。あまりに危険な状態になっているにもかかわらず、背徳の蜜、成功体験の旨味を知ってしまった彼らはやめることができないのだ。

そしてある時を境に、白昼堂々浴びるように酒を呑み始めてしまうのである。本作は、依存症映画として秀逸である。一度、蜜の味を知ってしまい暴走すると歯止めが効かなくなってしまう。そして冒頭、ラストに狂気を配置することで、観る者ですらアルコール中毒の世界の魔力に惹きつけられそうになるのだ。ドグマ出身監督だけあって、ドキュメンタリータッチで荒唐無稽ながらも生々しく中毒から抜け出せない人を描く様に脱帽しました。

日本公開は多分するでしょう。

ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷あたりで観られそうな良作でした。

※varietyより画像引用

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