【Netflix】『アメリカン・ファクトリー』2010年代の《ボディ・スナッチャー》

アメリカン・ファクトリー(2019)
American Factory

監督:スティーブン・ボーグナー、ジュリア・ライヒェルト

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

先日、米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞のショートリストが発表された。そこにNetflix作品にして、ノミネート最有力とささやかれている『アメリカン・ファクトリー』がありました。これが実に怖いホラー映画でした。

『アメリカン・ファクトリー』あらすじ


オハイオ州で閉鎖されていた工場が中国企業により再開され、地域の期待が高まったのも束の間。米中文化の衝突により、再びアメリカンドリームが打ち砕かれる。
Netflixサイトより引用

2010年代の《ボディ・スナッチャー》

資本主義が行き過ぎ、現代では《新自由主義》がまかり通っている。高校の授業でも習うこの単語の実態はどうなっているのか?それは社会人になりようやく実態が明るみに出るようになった。例えば、Amazonに目を向けると。CEOのジェフ・ベゾスは世界一の金持ちにもかかわらす、劣悪な労働が話題となり数々の潜入レポが出版されている。それを読むに、如何にして責任を他者や労働者に押し付け、租税を回避するのかに力を入れていた。つまり、吝嗇を極め利益率をあげることで世界一の金持ちになったのだ。こうした戦略に、最初は相手を思いやっているように見せかけて、依存関係を築いた途端牙を向くパターンがある。ウーバーの賃金低下問題がその例であるが、本作はアメリカの工場で起きた事例に目を向けている。

オハイオ州で閉鎖した工場を中国企業が買い取った。労働者を全て呼び戻すとして、片田舎の労働者たちは喜ぶ。中国企業側としてはアメリカ進出の一歩を、現地人としては雇用が再度生まれるというWin-winの関係から最初は前向きであった。しかし、現地人はその企業の不気味さに違和感を抱き始める。中国人たちは、精神論で団結している。宴会では、ビジネス用語を多用したプロパガンダが披露されたり、控え室では中国礼賛と思われる映像が流れている。休憩室も一部は作業場として取り壊されるらしい。

そしてカメラは中国人陣営に向けられる。すると、如何にして彼らを使っていくのかが語られているのだが、明らかに悪の組織のような面構えだ。如何に彼らを低賃金、長時間労働で使っていくのかを考え、精神論を染み込ませる戦術を考えているのです。それがやがて労働組合運動を過激化させ、対立を生み出す。そうなった時には、中国企業はしっかりとアメリカに根を張っているので、容易にアンチを解雇できるようになっているのだ。どうですか?そこらへんのホラー映画より怖いでしょう。ある意味現代の『ボディ・スナッチャー』である。

だからこそ、我々は突然浮上した甘い蜜を警戒しなければならない。ブンブンはウーバーが日本普及することを大いに警戒している。

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