【カンヌ国際映画祭】『別れる決心』ヒッチコックの足元にも及ばない

別れる決心(2022)
原題:헤어질 결심
英題:Decision to Leave

監督:パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ、イ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ、パク・ヨンウetc

評価:30点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、日本でも話題となったパク・チャヌク『別れる決心』がAmazon Prime Videoに来たので観た。本作はよくヒッチコック映画みたいだと言われるが、実際に観て観ると上手くないヒッチコック映画だと感じた。

『』あらすじ

「オールド・ボーイ」「お嬢さん」のパク・チャヌク監督が、殺人事件を追う刑事とその容疑者である被害者の妻が対峙しながらもひかれあう姿を描いたサスペンスドラマ。

男性が山頂から転落死する事件が発生。事故ではなく殺人の可能性が高いと考える刑事ヘジュンは、被害者の妻であるミステリアスな女性ソレを疑うが、彼女にはアリバイがあった。取り調べを進めるうちに、いつしかヘジュンはソレにひかれ、ソレもまたヘジュンに特別な感情を抱くように。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに見えたが……。

「殺人の追憶」のパク・ヘイルがヘジュン、「ラスト、コーション」のタン・ウェイがソレを演じ、「新感染半島 ファイナル・ステージ」のイ・ジョンヒョン、「コインロッカーの女」のコ・ギョンピョが共演。2022年・第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。

映画.comより引用

ヒッチコックの足元にも及ばない

いわゆるファム・ファタールもので、独特な形をした岩山から転落死した男の妻に惹かれてしまう刑事を扱った作品である。確かに双眼鏡を使って見る/コントロールする側がいつの間にかコントロールされる側に立つギミックや、「俺は眠れないから捜査している」という台詞から一度入った沼から抜け出せなくなるあたりはヒッチコックを意識しているなと感じる。ただ、話のテンポが悪い意味で早い。パンパン場面を切り替えていくのだが、それが修羅場の宙吊り状態に紐づいていない。生きるか死ぬかの宙吊りをギリギリのところで回避するが、新たな修羅場が生まれる。それを追う/追われるの関係で描くのが面白いヒッチコック映画の特徴なのだが、キャラクターを駒のように動かすためだけにコロコロ場面転換しているように見えてしまい、それが退屈さにつながってしまった。無論、あまりフィルム・ノワール/ファム・ファタールみたいな物語が得意ではないので相性が悪かっただけなのかもしれない。第75回カンヌ国際映画祭コンペティション作品を大分観て来たが、火力の高い作品は少ない微妙回だったのかもしれないなと思った。

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※映画.comより画像引用