『もう雪は降らない』ポーランドの異色家侵入もの

もう雪は降らない(2020)
原題:Sniegu juz nigdy nie bedzie
英題:Never Gonna Snow Again

監督:マウゴジャタ・シュモフスカ
出演:Alec Utgoff、アガタ・クレシャ、ヴェロニカ・ロサティ、カタジーナ・フィグラ、マヤ・オスタシェフスカetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

東欧映画スペースでよく話題に上がるマウゴジャタ・シュモフスカ。このGWに挑戦してみようと『もう雪は降らない』を観てみた。これが噂通り、変な映画であった。

『もう雪は降らない』あらすじ

Zhenia, a Russian-speaking immigrant from the East works as a masseur in Poland and becomes a guru-like figure in a wealthy gated community of his clients.
訳:東洋から移住してきたロシア語を話すゼニアは、ポーランドでマッサージ師として働き、顧客である富裕層のゲーテッド・コミュニティで教祖のような存在になります。

IMDbより引用

ポーランドの異色家侵入もの

いわゆる家侵入もので、ポーランドの閑静な住宅街にウクライナから来た出稼ぎマッサージ師が現れ仕事をする。その過程で、催眠術を使い始めるといった内容だ。一般的に家侵入ものは、侵入者が家庭を破壊していく展開が多いのだが、本作では催眠術で対象者に夢を与えるぐらいで、ただ家の中を徘徊するだけだったりする。また、マッサージ中も時たまニヤッと笑う程度だ。だが、そんな彼の行動により、この閑静な住宅街にどことなく閉塞感やギスギスした人間関係があることが明らかとなる。

最近、「サバービアの憂鬱」を読んだ。本書はアメリカ映画における郊外描写を分析したものだが、このポーランド映画にも適用されているものがあった。都市部の猥雑喧騒から逃れるように郊外へと移り住んだ者は異物に対して監視の目を張り巡らしている、『ハロウィン』では仮装により近隣住民が「見知らぬ存在」へと豹変し、郊外と都市との境界線が曖昧になる。それにより怖さが引き立てられるといった論が書かれていた。郊外におけるハロウィンコスプレに近いことを『もう雪は降らない』でもやっていて、これが興味深かった。

※IMDbより画像引用