【毎週インド映画1】『ダンガル きっと、つよくなる』最凶毒親映画

ダンガル きっと、つよくなる(2016)
DANGAL(2016)

監督:ニテッシュ・ティワリ
出演:アーミル・カーン、サークシー・タンワル、
ファーティマー・サナーetc

評価:75点

バーフバリ

』旋風で日本にインド映画ブームが到来したことを受けて、今週から毎週金曜日にインド映画を紹介していきます。今日は第一弾『ダンガル きっと、つよくなる』について語っていきます。

『ダンガル きっと、つよくなる』あらすじ

レスリングに思い入れのある男は、子どもをオリンピックで金メダル獲らせることを夢見ていた。しかし、生まれてくる子どもは皆女ばかり。男は哀しみ、村人は哀れんだ。しかし、ある日、娘のギータとバビータが男の子をフルボッコにしたことから、彼女たちにレスリングの才能を見出し、、、

服従するは我にあり

日本最強のワンダーウーマン吉田沙保里とも闘ったことがある、インド女子レスリング選手ギータの実話を基にしたスポ根映画。

しかし、予想していたのと全く違う作品だった。本作は最凶の毒親映画だ。あまりにも倫理観ぶっ壊れた世界なので、もし毒親家庭で育った人がこの作品に興味示していたら全力で止めたい。2時間半フラストレーションしかたまらないだろう。

しかし、本作は毒親映画として上手い。インド映画侮るなかれだ!

まず、レスリングに情熱を捧げる親父から生み出された2人の女の子ギータとバビータが父から死刑宣告される。子どもをオリンピックで金メダル獲らせるというエゴの塊を子どもに押し付けるのだ。

髪はばっさり切られ、お菓子もゲームも学校行事も禁じられる。姉妹は、父から繋がれたレスリングという名の鎖に苦しむ中、その鎖でもって自由を得ようとする。

そして、ギータはオリンピック選手を輩出している国立スポーツ・アカデミーに行く。ようやく父から釈放されたと思ったら、今度はコーチという名の鎖に繋がれ、しかもスランプに陥ってしまう。

その地獄の中で彼女が、《服従するは我にあり》と自分の哲学を見つけていく様子が可哀想で、切なくてたまらなかった。

もちろん、試合シーンはサイコーだ。この手の作品は結末がわかっているだけに、魅せ方が重要となる。時計のチラ見せ、息もつかせね攻防にヒヤヒヤ、そしてがんばれギータ!と燃え上がるような気持ちで惹きこまれました。

2時間半あっという間、笑いあり、戦慄ありのスポ根映画是非劇場でお楽しみあれ!

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2 件のコメント

  • 興味深く拝読いたしましたが、大変好きな映画なのでいくつか気になった点を。
    まず「レスリング道場を営む男」と書かれていますが、父のマハヴィルはレスリング道場を営んでいません。それと「プロレスリング選手」だったわけでもありません。
    また「プロとしてギータは体育学校に行く」とありますが、彼女もその時点でプロになったわけではありません。さらに彼女が向かったのは体育学校というよりも、国立スポーツ・アカデミーと呼ばれている国の選手育成組織です。

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