セブン・サイコパス(2012)
Seven Psychopaths(2012)
監督:マーティン・マクドナー
出演:コリン・ファレル、
サム・ロックウェル、
ウディ・ハレルソン、
クリストファー・ウォーケンetc
もくじ
評価:20点
今月から始まる第30回東京国際映画祭。本祭では、毎年アカデミー賞関係作品も上映されます。今年はヴェネチア国際映画祭でまさかの金獅子賞を受賞したギレルモ・デル・トロの「シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)」とマーティン・マクドナー監督作「スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)」が上映されます。後者は監督も役者もよっぽどの映画通でないとピンとこない。しかしながら、ヴェネチア国際映画祭で脚本賞を受賞し、且つアカデミー賞の前哨戦とも言われるトロント国際映画祭でも観客賞を受賞している作品だ。実は、この作品の監督マーティン・マクドナーはたった4本しか作品を撮っていない新鋭ながらも、デビュー作「ヒットマン・レクイエム」でアカデミー賞脚本賞にノミネート(受賞作は「ミルク」)され、今回紹介する「セブン・サイコパス」ではトロント国際映画祭の観客賞を受賞する強者だ。
ってことで、これからアカデミー賞シーズンになり大きく注目されるであろうマーティン・マクドナー監督作「セブン・サイコパス」を観てみました。尚、Netflixにアップされているので、「スリー・ビルボード」観る予定の方は予習にウォッチしてみてはいかがでしょうか。
「セブン・サイコパス」あらすじ
新作映画「セブン・サイコパス」の脚本を執筆している男マーティは、なかなかペンが進まず悩んでいた。そんな彼を見かねたビリーは「サイコパス探しています」と新聞広告を無断で出してしまう。やがて、自称サイコパスが現れるのだが…タランティーノの二番煎じ
監督のスランプを描いた作品はコーエン兄弟の「バートン・フィンク」等面白い作品が多い。監督自身の苦しい体験を、そこから出てきた悪夢を映画に投影しているだけに観たこともないようなビックリ展開や画がそこにあるから観客を惹きつける。ただ、マーティン・マクドナー監督は地の底まで脚本書きに苦労したことがなかったのだろう。そして恐らく、マーティン・マクドナーはタランティーノのような映画を作りたかったのだろう。
それ故に、二番煎じでつまらなくチープな作品に感じてしまった。
タランティーノは「デス・プルーフ」で、70年代以前のB~Z級映画、ポルノ映画を映像と音楽が織りなす独自の「雰囲気」で新しいファッションを作り出した。話はどうしようもないし冗長なのだが、それも許せてしまう圧倒的存在感が良かった。
しかし、「セブン・サイコパス」はB~Z級映画ということにあぐらを搔いているようにしか見えない。脚本家の苦悩から出てくる脚本を、劇中劇形式で演出していく。確かにカッコイイのだが、いかんせん手数が少ない。ただ銃を撃てばいいと思い込んでいる。そして、まるで内輪でカメラを片手に盛り上がっている自己満足映画を、「セブン・サイコパス」はしょうもない映画だからねと言い訳しているようにしか見えない作りが非常に鼻につきました。
「バートン・フィンク」が何故面白いか?それは、狂気と格好良さを兼ね揃えた映像に「逃げ」の姿勢がないからだ。自分の葛藤から生み出されたモンスター的ビジュアルを観客に「おら!楽しめよ!これが映画だ!」と威勢良く迫ってくるから、観客の心に残るのだ。
ただ、「セブン・サイコパス」は闇雲に、物語を引っかき回し、銃を撃つしかのうがなかった。個人的には非常に残念な作品でしたが、「スリー・ビルボード」は果たして肌に合うのだろうか?ちょっと心配だ…
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