【悲報】ココマルシアター初回「マイ・ビューティフル・ガーデン」が客4人&上映中止になった件

ココマルシアターの惨劇は他人事ではない?
イクゾ気合から学ぶ10の教訓

こうも既に8000字も凄惨なココマルシアター及び夢追い人イクゾ気合の末路を紹介してきたブンブンですが、妙にこの事件が他人事じゃない。誰しも起こりゆることなんじゃないかと思った。そこで、この事件から学んだ10の教訓を語っていきます。

教訓1:やるべきことを後回しにしない

まず、イクゾ気合だけではなく、多くの人がやってしまいがちな問題が、「やるべきこと」と「やりたいこと」の線引きが出来ていないことにあります。確かに、「やるべきこと」の多くが面倒臭かったり、工数が掛かるものだったりする。しかしながら、結構な人が「やるべきこと」よりも「やりたいこと」を優先し欲望のままに動いてしまう。ココマルシアターの場合、映画館として成立させるために最低限必要なハード面がしっかり出来ていないのに、メニュー開発やはな子の像を作っていた。そしてSNSやクラウドファンディングサイトMakuakeではなかなかハード面での進捗を語ろうとしなかった。ただでさえ、ボランティア主体で造っている映画館なのだからしっかりと工数管理をし、「やるべきこと」と「やりたいこと」の線引きを引くべきであった。これが出来なかったから、10月までオープン長引いたのでしょう。

教訓2:ネガティブに目を背けない

SNS等でココマルシアターは毎日のように炎上していた。しかしながらイクゾ気合はポジティブな話ばかりコメントを返したりしていた。確かにネット上で炎上するのは豆腐メンタルのブンブンだって辛い。実際、社会人1年目で失敗ばかり続いて先輩社員に迷惑を掛けた際、相当辛かったし、上手くいかないことに目を背けたくなった。だが、もうブンブンもイクゾ気合も社会人。逃げることは出来ない。火が出たところは全力で対処しなければならないのだ。これは口先ではなく行動で示さないと信頼が失墜する一方です。

教訓3:プライドは害悪と知るべし

イクゾ気合は幼少期の夢である映画業界で働く事に相当な執着を抱いているのだろう。そして上手くいかないコンプレックスにより自分の心にロックを掛けたくなったのだろう。話し口調やSNSでの言動は優しいが、彼はプライドという鎧で身を固め、外の声を全く聞こうとしていない、もとい聞いたフリをしているのではないだろうか。

一人で何でもできるのは大学生まで。社会に出ると、どうしても自分一人で解決できない問題が出る。炎上しているとは言え、火炎瓶を投げつけている人の多くは映画館運営のヒントを教えてくれています。映画館の興業に関する法律を調べてきたり、プロの映写技師がコメントを残してくれます。プライドを捨てて彼らに歩み寄れば、こんな大惨事にはならなかっただろう。

教訓4:プロを頼る勇気

恐らく、何ヶ月も地価が高い吉祥寺で興業すらせずに工事をしていた為、予算が底を尽きかけていたのでしょう。もう既に、クラウドファンディングで集まった約650万円はメルトダウンし尽くしたとも言える。ただ、映画館運営が全く初めてなのであれば、予算をけちらずに法律の専門家やプロの建築家、映写技師に頼るべきだ。

結局、本日の上映中止の様子を見ると、映写機のことを分かっていないように見えた。ブンブンが映画館でアルバイトしていた頃、映写室は結構経験を積んだ人が管理していた。それこそ上映作品の管理はマネージャーが行っていた。それだけ、映画を上映するのは家で映画を上映するのとは違います。また、Twitterを見ると、ココマルシアターの興業スタイルは法律的にグレーだということが分かります。下手すると、警察お縄沙汰になるので、しっかりと法律の専門家を雇った方が良い。こればかりはコストをケチってはいけません。

教訓5:納期よりもクオリティ

ブンブン、入社して間もない頃に外部研修に行かされたのだが、そこで講師が非常に良い言葉を残してくれました。

それは「QCDってあるだろ、どれが一番重要だと思う?昔会社の上司がDeliveryを優先する奴で対立したことがあるんだよ。お客様目線を考えると品質を優先すべきだよね。納期よりも品質を優先する人に皆さんはなってください。」という言葉です。

QCDとは「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」とサービスにおける3つの肝の頭文字を取ったものだ。

イクゾ気合は延期する度に「2週間後に延期します」みたいに極端に短い締め切り設定をしていた。結構、皆の期待に応える為、納期を早めに設定してしまう人がいる。ブンブンもそうでした。しかし、結局それは信用を失うことである。特に今はネット社会なので悪い情報は直ぐに拡散されてしまいます。だからこそ、品質に拘りましょう。

教訓6:無意識の嘘を知る

フレンチアルプスで起きたこと

」でも辛辣に描かれていることだが、人は追い込まれると無意識に嘘をついてしまうことがある。そしてそのままその嘘をホンモノと思い込んでしまうことがある。ブンブンも、入社したての頃は、覚えていないのに瞬時に捏造してしまった嘘を先輩に話し迷惑をかけたことがあります。こればかりは、意識しないと直りません。

ブンブン心理学はよく分かりませんが、人には防衛本能が付いているようで、追い込まれるとそれが発動するらしい。それが「嘘」に繋がると、知らず知らずのうちに人を裏切っていき、信用を失うことでしょう。

決して悪気はないとは思うのだが、他者を不快にさせるので、まずは自分がどのタイミングで嘘をついてしまうかを認知し、意識してそのクセを治しましょう。

教訓7:やらない勇気

イクゾ気合は、ハード面で問題が山積みにも関わらず、突然Twitterでクイズ大会を開いたり、VRシャークの宣伝をしたりと次々とお店を広げていき、結局どれも中途半端になってしまった。ネット社会、いざSNSを見れば様々なインスピレーションがかき立てられ、新企画が沢山浮かぶだろう。ただ、そんなのは映画館が軌道に乗ってからやればいいこと。時には「やらない」ことも重要なのじゃないかな。

教訓8:90%からが長い

イクゾ気合は進捗報告で99%完成していますと述べていました。しかし、実は、社会人の仕事において90%を超えてからがキツイ。

ブンブンも社会人になって配属が決まり、業務に本格参画した6,7月は大変でした。文書作成をするのだが、90%を超えたあたりから全く進まない。上司からダメ出しをくらい40回近く書き直しをくらった。もちろんブンブンの会社はホワイト企業です。書き直し理由もぐうの音も出ないほど正論で思い悩みました。だから、今では安易に進捗90%超えたことを周りに言いません。必ず、「ここからが山場なので、時間がかかる可能性があります」と、個人的に実現可能な工数の1.5~2倍の工数を見積もって業務に挑みます。

教訓9:謝罪のバランスを知る

ブンブンの会社の上司面白いことを教えてくれました。「簡単に謝るな」。日本人はよく謝ってしまいます。ブンブンは謝らない国フランスに留学したのですが、すっかり日本人モードに戻ってしまい、よく謝ってしまいます。「謝るのは簡単だし、非を認めてしまうことになる。長期的な目線で見た際に良いことはあまりない。」と上司は教えてくれました。

ココマルシアターはアルバイトの方もイクゾ気合もよく謝ります。しかしながら、謝り慣れをしている感じがしていて、第三者からすると誠意がこもっていないようにみえます。謝るのも重要ではあるがに行動し結果を残すことの方が100倍重要です。

教訓10:カリスマになれるのはほんの一握り

イクゾ気合は映画界を俺が引っ張っていく!俺が日本のディズニーになるんだ!と所謂意識高い系だ。大学生なら分かる。校則に縛られた学園生活から解き放たれ、授業をサボるのも自由だし、アルバイトで金も稼げる。企業とタイアップし自分の意のままに組織を動かせるだろう。そして、「俺って最強なんじゃないか?」と思ってしまう。

しかし、本当に成功するのはほんの一握り。それも本当に波瀾万丈な道の末に最強、キングになれるのです。だからこそ、あまり「ディズニー」とかを振り回して夢を語らない方が身のためだ。確かに「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のジョーダン・ベルフォートや「ファウンダー」のレイ・クロックのように成功した者もいるが、まずは立ち返って、本当に業界のカリスマになれる道筋は整っているのかを確認して欲しい。

そして表面的ではない謙虚さを魅せて欲しい。それこそイクゾ気合はアップリンクの浅井隆や東京国際映画祭作品選定プロデューサーの矢田部吉彦の愚直さを見習って欲しい。

最後に…

いつの間にか1万2000字書いていました。それだけココマルシアターはブンブンのココロヲ動かした映画館として○だ。しかしながら、今日の感じを見ると、1年後、いや10年後ココマルシアターが存在し、第二のバウスシアター、いや吉祥寺の顔となるにはさぞかし厳しい。

だが、イクゾ気合の映画への情熱はしかと受け取ったので、是非これからも頑張って欲しい。

映画館は運営してからが大変なんだぞ!

以上ブンブンのココマルシアターレポートでした。

2019/10/16追記:書類送検されたようです…

朝日新聞によれば、ココマルシアター運営の2名が興行場法違反の疑いで2019/10/16書類送検されたようです。

結局、映画好きの、映画館好きの気持ちを最後まで踏みにじって終わってしまったのは残念です。どんな映画館も最初は問題あるのですが、ここまで改善せず閉館の末に書類送検とは悲し過ぎます。


東京・吉祥寺で飲食店を装って無許可で映画館を営んだとして、警視庁は、ゲーム関連会社社長(50)と元社員(42)の男2人を興行場法違反の疑いで16日にも書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった。

社長らは避難設備の不備を再三指摘されていたのに放置したまま営業を続けたという。不特定多数が利用し、高度な安全管理が求められる映画館で、同法などが定める最低限必要な対策を取っていなかった点を、同庁は重くみた。

捜査関係者によると、社長らは昨年7~12月、吉祥寺駅に近い東京都武蔵野市の「ココマルシアター」2階で、都の許可を得ずに映画館を営業した疑いが持たれている。1階32席、2階49席の許可を申請したものの、2階については、緊急時の避難に使う階段や出入り口が1カ所しかなかったことなどから認められなかった。このため、飲食店として改めて申請して許可を受け、実際は映画を上映して収入を得ていたという。
朝日新聞記事:飲食店を装い、映画館を営んだ疑いで書類送検へ 吉祥寺より引用

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4 件のコメント

  • デジタルワークスが初の自社制作と銘打った、2010年の東京ゲームショーで発表した「死神鬼」と「ZAOO」、樋口社長がイクゾ気合名義でプロデューサーを務め2015年には出す予定だった「ボコスカガールズ タツノコ学園クライマックス(仮)」、どちらも出ずじまいの人がやる映画館ということでゲーム業界内では前より評判でした。
    もちろん、あまりよくない方向でしたが。
    そして4月からのご存知のグダグダ具合は社内のゲーム開発とまるで同じ。本日のグランドオープンもこのていたらく。
    しかし、こんなでも応援してくださる人たちがいてぐださるのはありがたいことですね。
    出して終わりのゲームと違うのは、これからもココマルシアターは続くということ。少しずつ建て直していくことでみんな、ココマルウォッチメンと呼ばれる人たちも気持ちを変えて味方になっていってくれると思います。一番のアンチは一番のファンになるものですから。
    ただし、このままの運営だと味方だった人も離れていくでしょうね。
    そんなわけでココマルシアターの今後にも目が離せません。
    がんばれ、ココマルシアター。

    …とはいうものの、人ってそう変われないと思うんですよね。。。
    ちゃんとわかってないんじゃないかなぁ、あの社長…。

    • まとめ守りさん、熱いメッセージと解説ありがとうございます!映画業界でも評判が悪いとは聞いていましたが、そこまで凄惨なんですね…一度失った信頼を取り戻すのはえらく時間がかかるというのに…

  • 本当にオープンするのか不安な物件でしたが、大変詳細なレポートありがとうございました。
    ただ読んでいて気になるのですが「えっ」を「えっつ」と表記されるのは何故ですか?

    • shigeさん、読んでくれて有難う御座います!

      「えっ」の件は完全に誤字です。指摘していただき有難う御座います。今直しました!

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