アクエリアス(2016)
AQUARIUS(2016)
監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ
出演:ソニア・ブラガ、
メイヴ・ジンキングス、
イランジール・サントスetc
もくじ
評価:80点
本年度カンヌ国際映画祭で、
「シエラネバダ」同様批評家評判がメチャクチャ高かったにも関わらず無冠に終わったブラジル映画。
「アクエリアス」あらすじ
ブラジルの湾岸都市レシフェ。1940年代に建てられ、愛する夫と人生の大半を過ごしてきたアパート・アクエリアス。夫に先立たれた妻は、想い出の詰まったアクエリアスで優雅に暮らしていた。しかし、レシフェは観光都市へと変わりつつあり建築会社による高級マンション建設プロジェクトが始まっていた。その波はアクエリアスにも押し寄せる。他の住民は、皆退去するが、その未亡人は自分の大切な場所を失うまいと居座る…
ラテンの明るさが厭らしさ倍増!
上野でも、本作のような建築会社がマンションを建てるために古屋を壊そうと住民と交渉することが多々行われていて、近所の至る所にぽつりと一軒家が建っている周りが
更地になっているケースが多々ある。そして、その一軒家によく建築会社の人がぺこぺこ頭を下げに入っているのを観ているので、本作の主人公の気持ちはよく分かる。そして、本作は極めてよくあるような平凡な物語なのだが、ブラジル特有の陽気さを巧みに使った演出でブラジルにしか作れない作品が爆誕した。
ロシア映画「裁かれるは善人のみ」は冒頭からけんか腰で市長と市民のバトルが勃発するのだが、この「アクエリアス」は建設会社の人も主人公の女性もニコニコしている。
そしてリゾート地の美しい海と青い空が画面にバンと打ち出されるので、観客は油断する。しかしながら、建設会社のねっとりとした嫌がらせは正直「裁かれるは善人のみ」の10倍立ちが悪い。
そんな建築会社に孤独に立ち向かう主人公を演じたソニア・ブラガの演技が本当に上手くて、表情一つで画面に引き込まれる。カンヌ国際映画祭で女優賞を獲れなかったのが疑問なぐらいである。
カメラワークに注目
本作は、カメラワークが特徴的である。無骨なほど雑な感じでズームをしていく、歪なカメラワークが多用されている。しかし、どれも効果的に使われている。例えば、建築会社の人とアクエリアスの管理人が主人公と話し合うシーンで、急に管理人の鍵にカメラが寄るシーンがある。
これにより、「もうアクエリアスの住人は主人公だけ」というのが語らずとも表現することができる。
ネタバレ厳禁!ラストに衝撃
そんな本作は思わぬ形でグランドフィナーレを迎えるのだが、これが年間500本以上観るシネフィル・ブンブンでも驚く、そしてスカッとするものでした。
実際に劇場では拍手喝采が巻き起こりました。これはユーロスペースとかで劇場公開できるのではと思っているのでここでは結末について伏せますが、機会があれば是非劇場で観てください(*^_^*)
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