【東京国際映画祭】『リンボ』辺獄の果てまでどこまでも

リンボ(2021)
原題:智齒
英題:Limbo

監督:ソイ・チェン
出演:ラム・カートン、リウ・シン、メイソン・リー、池内博之、Shovon Ahmed etc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第34回東京国際映画祭にて香港ノワール『リンボ』を観賞した。ポスタービジュアルから漂う混沌が凄まじいのですが、知り合い曰く元々パートカラーの作品だったとのこと。ポストプロダクション時に、ワンシーンを白黒にしたところ全編に適用したらしい。果たしてどんな作品に仕上がっているのだろうか?

『リンボ』あらすじ

香港のスラム街で起こる猟奇的な連続殺人事件を追う刑事をモノクロ映像で描く。ラム・カートンと池内博之が共演。スラム街を再現した美術も素晴らしい。ベルリン映画祭で上映。

※第34回東京国際映画祭サイトより引用

辺獄の果てまでどこまでも

暴力マシンと化したチャム・ラウ(ラム・カートン)は執拗にストリートチルドレンであるウォン・トー(Cya Liu)を追い詰める。車で、トンネルに突っ込む。しかし、ウォンは逃げる。彼女はドンドンと狭い場所に入り込む。それをチャムは絶対に逃すまいと追い込み、縄梯子から彼女を突き落とし、坂を転げながら戦う。本作は、「辺獄(リンボ)」とついているだけに罪から解放されない世界を画にたたき込んでいる。本映画祭では『ザ・ドーター』、『アリサカ』と車内籠城戦がある作品が多く上映されているのだが、本作の壮絶さは群を抜く。

ウォンがヤクザに追われ、車の中に逃げ込むが、圧倒的暴力の物量によってガラスが割られ、中に入られてしまう。それを間一髪で抜け出す。この絶望感に観る者は開いた口が塞がらないだろう。

一方で、2020年代で女性に対するあの強姦シーンはいかがなものかとも思ってしまう。終盤、掃き溜めのような空間でウォンがひたすらレイプされ、そこから血で血を洗うアクションに発展していくのだが、これがあまりに凄惨でドン引きしてしまったとこがある。あのレイプシーンに対する物語の着地があまり後味良いものでもなかったので、警察修羅場映画としての面白さはあるけれども映画としてそこまで評価できないなと思ってしまった。

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※映画.comより画像引用