【特別企画】元ブルキナファソ在住者にインタビューしてみた

【特別企画】元ブルキナファソ在住者にインタビューしてみた

おはようございます、チェ・ブンブンです。

昨日は、Twitterスペース企画「ブルキナファソの映画祭FESPACO特集」お越しいただきありがとうございます。いかがでしたでしょうか?

今回のスペースでは最近までブルキナファソに住んでいた、てんやわんやママさん( @aiko_in_africa )から生のブルキナファソ情報を伺うことができました。実は、事前に質問リストをお送りして様々なブルキナファソ情報を教えていただいきました。掲載許可を頂いたので、アーカイブとしてこちらにブルキナファソ情報を載せていきます。少しでもブルキナファソへの興味、そしてアフリカの映画に興味持っていただけると光栄です。

それでは行ってみましょう!

てんやわんやママさんのnote
てんやわんやママさんのnote記事「アフリカ在住9年めのアフリカ駐在妻です」

もくじ

Q1.てんやわんやママさんがブルキナファソに住むきっかけについて教えてください。


夫の転勤がきっかけです。2017年5月〜2021年7月までの4年ほど、首都のワガドゥーグーに暮らしていました。
 

Q2.ブルキナファソは日本からだとどのようにして行けるのでしょうか?


現地在住の日本人が多く利用するのは、エールフランスとエチオピア航空の2つです。

①エールフランス:東京→パリ→(アクラ→)ワガドゥグ


パリ経由ですが、ブルキナファソの治安が悪化して、クルーをワガドゥグにステイさせないようにするために、ガーナのアクラを経由してパリへ飛ぶことが多いです。パリでの乗り継ぎがあまりよくなく、乗り継ぎで12時間ほど待つため、所要時間は26時間程度。
 

②エチオピア航空:成田→(仁川→)アディスアベバ→ワガドゥグ

 
エチオピア・アディスアベバ、韓国ともに乗り継ぎ時間少なくスムーズ。ただ遅延が多い印象で、我が家も乗り継ぎが間に合わず、アディスアベバで一泊したことがあります。スムーズに乗り継ぎできれば、所要時間は23時間程度。
 

Q3.ブルキナファソに来て驚いたことを教えてください (日本との違い、現地人の雰囲気など)

 

①過酷な生活環境

 

〈過酷な気候〉

 
もっとも暑いのが3、4月で、最高気温が46℃になることも。サハラ砂漠の南に位置していて、乾期はとても乾燥し、湿度が5%という日もありました。11〜2月は「ハルマッタン」と呼ばれるサハラ砂漠の砂塵をまとった季節風が吹き、砂ボコリがひどいです。太陽が隠れ、昼間でも暗く、20m先は見えません。
 

〈不安定な生活インフラ〉

停電・断水が頻発。
 
多いと1日に10回以上も停電したり、断水が数日続くことも。雨が降ると停電したり、電話が繋がらなくなったり、インターネットが繋がらなくなったりと、不安定な生活インフラによく苦労していました。

②子どもにあったかい社会

長女(1〜5歳)、次女(生後4カ月〜3歳)とブルキナファソで育った子どもたちがいます。子どもたちをどこへ連れていっても、みんな温かく接してくれます。私が子どもを連れて買い物すると、重い荷物か子どもを運ぶのを必ず誰かが手伝ってくれました。レストランに連れていっても、店員さんが遊んでくれたり、子どもを連れていることで肩身のせまい思いをしたことはありません。

4.ブルキナファソの公用語はフランス語ですが、 方言やブルキナファソならではの言い回しがあれば教えてください。 


ブルキナファソの公用語はフランス語です。

ブルキナファソには、モシ族、グルマンチェ族、ヤルセ族、グルーシ族、ボボ族などの民族がいて、それぞれにモレ語、ディウラ語、グルマンチェ語といった言語があります。首都のあるワガドゥグに暮らす多くの人はモシ族で、モレ語を話します。

外国人である私と話す時には公用語であるフランス語を話すけれど、すぐ横にいる現地の人同士の会話になると、突然モレ語が飛び交うといった場面にも頻繁に遭遇します。

学校に通っていないなどの理由で、フランス語がわからず、現地語しか話せない人もいます。ローカル市場などで買い物をすると、フランス語が通じないこともしばしばありました。

ブルキナファソ特有のフランス語の言い回しを3つを紹介します。

① 「Vous êtes invites」


食事をしている人が、近くを通りかかった人や目が合った人にかける言葉です。知人、他人を問わず、見ず知らずの外国人である私にも同様に声をかけてくれます。1杯のお茶やコーヒーを飲んでいる時でも「一緒にどうぞ」と声をかけるのが習慣です。

声をかけられた側は、実際に一緒に食べたり飲んだりすることはせずに、「ありがとう、美味しく召し上がれ」とだけ返すのが一般的です。この言葉をかけられる度に、彼らに受け入れられているような温かい気持ちになります。

② 「Ça fait deux jours」

 
直訳すると「2日ぶりですね」という意味ですが、「久しぶり」という場面で使われます。実際には2日以上(数週間や数ヶ月)会っていなくても、「2日ぶりですね」と会話が始まります。たった2日間でも顔を見ないと「久しぶり」と表現されてしまう程、人と人とのつながりが深い文化的背景が感じられる心温まるフレーズです。

③「Bonne arrivée」


「いらっしゃい」、「おかえりなさい」という場面で使われます。
お客さんが家に来た時、家族が帰ってきた時など、毎日耳にする言葉で、コンゴに来てからは「Bonne arrivee」が使われていないと聞き、驚きました。
 

おまけ:「YAABA」

イドリッサ・ウエドラオゴ監督の『ヤーバ』はモシ語(モレ語)でおじいちゃん、おばあちゃんを示す言葉です。映画は魔女狩りの話なので、「老婆」と説明されることがありますが、男性にも使用することができます。

Q5.ブルキナファソの物価について教えてください。


現地産の野菜や肉は、日本と比べてとても安いです。マンゴーは特に安くて、5つで100円ほど。

しかしスーパーマーケットで売られている商品の多くはフランスからの輸入品で、日本よりも高いものがほとんどです。例えば、牛乳1本300円、オレンジジュースは1リットル300〜400円。醤油は、1リットル入りが1200円もします。


外食は、選ぶお店次第。現地の人がよく行くローカルレストランでは、100円でお腹いっぱい食べられます。高級フレンチのお店もあって、ワインを飲むと、2人で1万円を超えるレストランもあります。
 
とはいえ、現地の人と同じ生活を送ることは難しく、生活費は日本よりも高かったと思います。電気代が特に高くて、1カ月6万円を超えたこともありました。

Q6.新型コロナウイルスが蔓延してからのブルキナファソ事情について教えてください。 


ブルキナファソでは、2020年3月8日に初めての感染者が確認されました。

2020年3月当時のブルキナファソ政府の対策


① 3月16日より、全ての教育機関が休校
② 3月20日に大統領の発表により、以下の対策が強化
・50名以上での集会禁止
・飲料店、映画館、遊技場、劇場、市場、レストランに対する所轄当局による営業制限
・夜間(19~5時)外出禁止
・軍用、貨物を除く商用旅客機便の停止

・貨物を除く陸上及び鉄道の国境封鎖
③ 3月25日より、大規模市場の営業が禁止
④ 3月27日より、感染者が確認された都市の出入りが禁止されました(首都ワガドゥーグーを含む)

3月から発令されていた夜間外出禁止令は、6月に入り解除されました。
大型市場の営業制限も徐々に緩和され、6月には多くの市場が営業を再開。


学校は6月に入ってから、受験生のみを対象に授業が再開されました。
その他の学年については、9月までの休校。

9月以降は、マスク着用義務化されているにもかかわらず、2〜3割程度の人しかマスクをつけていない状況でした。
Our World in Dataで南アフリカ、エジプト、コンゴ民主共和国、マダガスカル、ブルキナファソの累積新型コロナウイルス死傷者確認数(2021/9/23まで)を比較すると確かにブルキナファソは周辺のアフリカ諸国と比べて少ないようです。(統計学に疎いのでざっくりとした抽出ですみません。)

ブルキナファソは他のアフリカ諸国と比べて、感染者数が少なく(最新の感染者数はWorldometerから確認できます)、2021年に入ってからは、大きなスーパーや学校で体温チェック、大人のマスク着用が求められる以外は、これまでの生活と大きな変化は感じられませんでした。
 
コロナ以前からレストランなどには簡易手洗いがありましたが、今では多くのお店の前に簡易手洗い場が設けられています。
 

Q7.東京五輪でワガドゥグ出身のユーグ・ファブリス・ザンゴ選手が三段跳びで 銅メダルを獲りましたが、現地の反応はどんな感じだったのでしょうか?


オリンピック開催時は、すでにコンゴ民主共和国にいたので、現地にいる友人にワガドゥグの様子を聞いてみました。

国営放送でも三段跳びが放送され、  現地の人たちも大盛り上がりだったようです。大統領や閣僚、銀行や企業がお祝いで封筒をあげる合戦のようになっていた」と聞きました。

Q8.ブルキナファソ、ワガドゥグの名物、オススメスポットあったら教えてください。 

①ブルキナファソの名物:バラエティに富んだ現地食

 

オクラソースのごはん
 
ブルキナファソの食の魅力は、なんといっても現地食の種類の多さ。主食だけでもお米、パン、とうもろこし、ヒエ、バナナ、ヤム芋、フォニオ、豆類など、多くの食材が使われています。バラエティに富んだ主食には、旬の野菜やお肉、魚を用いたおかずやソースが添えられます。
 
 
鶏と魚の串焼き屋台。ブルキナファソの原始焼き、インパクト大ですね。
 
 
果物も豊富で、ブルキナファソのマンゴーは濃厚な甘みにほどよい酸味があり、なんともクセになる味わいです。また、イチゴも栽培されています。
 

②おすすめスポット:(ワガの名物!?)ワガタワー

ワガドゥグ=ビュルキナ・ファソ国際空港から車で約20分のところにあるMémorial aux Héros nationaux(国民的記念碑)。独立、共和国、革命、民主主義を象徴する4つの柱を軸とするこの記念碑はブルキナファソの団結を象徴しているそうです。高さ55mで、夜にはライトアップもされているので、勝手にワガのエッフェル塔」だと思っています。

9.ブルキナファソの映画館事情について教えてください。

 
※チケット売り場。簡素な感じですね。
 
 
空調が効きすぎて寒かったのと、開始時間を遅れて上映したり、エンドロールの途中でブツッと切れて終了したりすることもありました。
 
スクリーンはひとつで、スクリーンのある建物から一歩出ると外なので、暗いスクリーンの部屋からトイレに行ったり、上映後に出るときは、とてもまぶしく、サングラス必須です。

価格は一律です。
 
・通常作品:300円
・3D作品:400円(別途3Dメガネが300円)
 
 
上映作品はハリウッド大作やディズニー映画(『ラーヤと龍の王国』等)とフランスで流行している作品がメインですが、アフリカ映画もちらほら見かけます。価格と上映作品もサイトでチェックできます。
 
 
 
実際に当ブログの編集長che bunbunが調査したところ、2021/9/25時点で上映されている作品は2本。アレクサンドル・デュマ・ペールの「三銃士」と「ダルタニャン物語」を基にしたスペインのアニメーション『Dogtanian and the Three Muskehounds(原題:D’Artacán y los Tres Mosqueperros)、スタジオカナルのBoîte noireはドバイ-パリ便の墜落事故をきっかけに陰謀が渦巻くサスペンスだった。後者はフランスでは批評家評判が高いようで、Allocinéでは31媒体平均3.9/5.0の記録(2021/9/25時点)を出している。Télérama誌によれば「息を呑むようなパラノイド・スリラー(Un thriller paranoïaque haletant.)」とのこと。こちらは日本では2022年キノフィルムズ配給で日本でも公開されるようです。
 

Q10.FESPACOの盛り上がりについて ワガドゥグで大規模に行われていると聞いたのですが、会期中の町の盛り上がりについて伺いたいです。

私がブルキナファソに住んでいたときに一度開催されていたのですが、正直、現地の人たちの盛り上がりは「そこまで……」といった印象を受けました。私のブルキナべの友人もFESPACOをやっているのは知っているけど、行ったことはない」という人が意外と多かったです。期間中は町の中心部に看板などが出されていました。
 

おまけ:コンゴ民主共和国の交通事情

コンゴのドキュメンタリー『KINSHASA MAKAMBO』観て、交通事情が気になったので、てんやわんやママさんに質問してみたところ、渋滞が激しいようで、数十分の遅延はよくあるとのことでした。なので、会議を含め予定通りに行くことは少ないようです。

最後に

いかがでしたでしょうか?

少しでもブルキナファソに興味持っていただけると光栄です。ブルキナファソは2017年にW・アルリ・パンジャリ自然公園群(旧:W国立公園 登録拡大で名称変更、登録国にブルキナファソ追加) 、2019年にはブルキナファソの古代製鉄遺跡群が世界遺産に登録される快挙を成し遂げています。

映画界においても、大衆娯楽映画監督としてBoubakar Dialloが台頭してきている。ブルキナファソからアフリカ文化を見つめてみると新しい発見があるかもしれませんね。

今回、インタビューに答えていただいたてんやわんやママさんありがとうございます!現在はコンゴ民主共和国で活動されているとのことなので、コンゴ情報を知りたい方は是非彼女のTwitter等をチェックしてみましょう。

・てんやわんやママさんのTwitter
・てんやわんやママさんのnote
・てんやわんやママさんのnote記事「アフリカ在住9年めのアフリカ駐在妻です」

※画像はてんやわんやママさんより提供

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