誕生のゆくえ(2016)
英語題:Being Born
原題:Be Donya Amadann
監督:モーセン・アブドルワハブ
出演:ヘダヤト・ハシェミ,
エルハム・コルダ,
セパーラド・ファルザミetc
評価:50点
第29回東京国際映画祭
コンペティション部門に
選ばれたイラン映画
「誕生のゆくえ」を
少し早く観させて
頂きました。
イラン映画というと、
抑圧された社会故にか、
外れ作がほとんどなく、
海外映画祭で賞を獲り
まくっている印象が強い。
そんなイラン映画の
一本だが果たして…
「誕生のゆくえ」あらすじ
演劇の仕事をするパリと
映画の仕事をするファルハード。
二人には息子がおり、
順風満帆な生活を送っていた。
しかし、ある日妻のパリが
妊娠していることが発覚。
金銭面や子育て面から、
一度は中絶すると決めたのだが…
平凡な作品
男は楽である。
なぜなら妊娠の痛みや苦しみを
知らずに人生を全うできるからだ。
しかし、女にとって妊娠は
生命を生み出すことであり、
それには想像を超えた苦痛が伴う。
本作は、男と女の「中絶」に対する
認識の齟齬による悲劇を
ドキュメンタリータッチで極めて
リアリズムに描いた作品だ。
そう考えると、誰もが認める
傑作の予感がする。
社会に蔓延る問題にフォーカスを
当てるとなると一般人はもちろん、
評論家は高評価を出しがちになる。
確かに、この「誕生のゆくえ」は
悪くない作品だ。
女にとって「中絶」は、
生命の命を絶つ、ある種の
殺人なので、いくら
愛する夫の言うことなら…
と思っていてもやはり
赤ちゃんを捨てる訳にはいかない。
そこにフォーカスを当てて、
夫がその感覚を理解するまでを
カメラが追っている点、
非常に面白い。
しかしながら、平凡なのである。
別になくても映画としては成り立つのだが、
イラン特有の文化が見えてこない点もある。
それ以上に、モーセン・アブドルワハブが
撮るからこそ見えてくるものが
ない点が非常に問題だ。
折角、「妻は演劇、夫は映画の仕事をしている」
という設定があるにも関わらず、
その仕事が原因で子供を養う体力と
経済力が無いという説得力のある
描写が薄いのだ。
なので、
別に演劇の仕事、映画の仕事で
ある必要がないじゃん!
と思ってしまう。
別に酷評する程、酷い作品では
ないのだが、最近あまり観ないタイプの
可も無く不可もなさ過ぎる地味な
作品と言えよう。
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