【必見】ユーリー・ノルシュテイン監督特集上映@イメージフォーラム レイヤー、奥行き、歴史!

ユーリー・ノルシュテイン監督
特集上映
「アニメーションの神様、
その美しき世界」

ユーリー・ノルシュテイン

先日から、イメージフォーラム<
始まったソ連の名アニメーター、
ユーリー・ノルシュテインの
デジタル・リストア版特集
上映が始まった。

ユーリー・ノルシュテインは
あのスタジオジブリの
高畑勲監督
とも
親好が深いことで有名だ。

今回ブンブン6本連続
初挑戦してみたぞ~

「25日・最初の日(1968)」

ショスタコーヴィチのSymphony
No. 12: The Year 1917
に合わせ、
赤と灰色のキュビズム様式
イメージが洪水のように
観客に押し寄せてくる作品。

1917年といえば、
十月革命が起き、
社会主義国家が誕生する
きっかけとなった激動の
年である。

資本主義の灰色の男を、
真っ赤な市民が撃退する、
プロパガンダ溢れる作品だ。

キュビズムを踏襲しながらも、
映画的「動き」を魅せてくれる
ところがポイントである。

「ケルジェネツの戦い(1971)」

リムスキー・コルサコフの
「ケルジェネツの戦い」を
フレスコ画で演出した意欲作。

2本目を観る頃には、
ノルシュテイン監督の
奥行きの使い方の巧さに
気づかされる。

チェコアニメーションさながら、
切り絵、挿絵を重ね合わせる
「層」を意識した緻密な
画を創り上げる。
時に、多重露光で
層同士のアクションを魅せる。

それでもって、
従来のフレスコ画に対する
リスペクトに溢れる
忠実さを魅せる。
凄い!

「キツネとウサギ(1973)」

「グランド・ブダペスト・ホテル」
エンディング曲にも使われている
「ムーンシャイン」をウサギが
民族楽器で引き鳴らす陽気さから
始まる。

三匹の子豚ばりに、
邪悪なキツネがウサギの家を乗っ取る。
ウサギがしょんぼりしていると、
オオカミやクマ、ウシ、
ニワトリが励まし、
戦いに挑むが、なかなか勝てないという話。

コミカルな童話だけに、
かわいらしい動物と
ポップな絵の掛け合いが素敵。

ニワトリがキツネと戦っている際、
フレームの外で、
他の動物たちが見守っている様子など、
「画面の外」を意識させる高等な
演出もあり、ブンブンは一番好きだった。

「アオサギとツル(1974)」

ツンデレなアオサギと、
告白しようとするツルの掛け合い。

他の作品が凄すぎて、
地味に見える作品。

でも、アオサギとツルの
人間味、いや鳥味溢れる
掛け合いは落語のようで
面白かった。

「霧の中のハリネズミ(1975)」

「不思議の国のアリス」等、
ディズニーがアニメ界で残した
技術的功績として、
「レイヤーを使った奥行き表現」
というものがある。

絵を重ねていって、
手前の絵と中間の絵の
動かし幅を若干変えていくことで、
アニメの2次元世界により一層
奥行きを与えることが出来る技術だ

「霧の中のハリネズミ」はその技術
を最大限に活かしていると言えよう。
例えば、ハリネズミが大木を
見上げ、回転するシーンがある。

手前の枝は早く右回りに動いているのに、
大木上部の枝は遅ーく右回りに回る。
人間が当たり前のように見ている景色を
アニメで完全に表現しているといえる。

また、本作は霧の中から動物が
登場する描写がとても上手く、
アニメなのに、「霧」の質感を
感じることが出来る。

「話の話(1979)」

ノルシュテインの中で
一番難解な作品。

タイトル通り、いくつもの
物語が多層構造で描かれている。
犬が扉の向こうへ行くと、
フレデリック・バック調の
色彩で、ウシと少女の縄跳び
が展開され
(ひょっとして、
フレデリック・バックの
「木を植えた男」に影響与えたか?)、
かと思うと、
戦争で亡くなった人の魂の
メッセージが展開、
そしてリンゴを食べる少年と
鳥との掛け合いが始まる。

これこそDon’t Feelな作品でした。

最後に…

イメージフォーラム上映だけあって、
朝から長蛇の列が出来ておりました。
並んででも見る価値がある。
イマジカが、ノルシュテイン
観ずしてアニメは語れない

言っていたのも間違ってない
ので、是非足を運んでみてください!

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