オールタイムベスト

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31位:泳ぐひと(1968)
THE SWIMMER

監督:フランク・ペリー
出演:バート・ランカスター、ジャニス・ルールetc

バート・ランカスターがパンツ一丁でプールとプールを渡り歩く。そんな奇天烈な作品の裏には、意識高い系の揶揄が込められていた。意識は高いが、何も成果を残せなかった者がプライド故に、盲目になる様子を象徴している。それをプールと裸体という二つの要素で描ききったこの唯一無二の独創性にノックアウト。映像もとても美しい。夏に観たい一本だ。

32位:不安と魂/不安は魂を食い尽くす(1974)
Angst essen Seele auf

監督:ライナーヴェルナーファスビンダー
出演:ブリジット・ミラ、
ライナーヴェルナーファスビンダー、
エル・エディ・ベン・サラムetc

お掃除おばちゃんとモロッコ移民のねっとりした純愛映画。にじり寄るかのようにおばちゃんと移民が惹かれ合う。地位の低さによる劣等感、移民故の差別を癒すかのように。しかし、おばちゃんは段々とモロッコ移民を束縛するようになる…美しきダグラス・サークの傑作『天はすべて許し給う』がファスビンダーの手によって、風変わりを極めた、彼にしかできないねっとりとした空間が作り出されており特定の人に刺さる作品となっている。ブンブンの心には刺さった!

33位:とらんぷ譚(1936)
Le Roman d’un Tricheur

監督:サッシャ・ギトリー
出演:サッシャ・ギトリー、セルジュ・グラーヴ、
ピエール・アッシィetc

ギトリーが語って語って語りまくる!本作がなければ、スコセッシ作品群やPTAの『マグノリア』のような軽妙な語り口は生まれなかったのかもしれない。カードを使ったカッコイイオープニングから始まり、家族を毒キノコで失った少年の人生が紡がれる。騙して、落ちぶれて、喜んで、悲しんでを失速することなく語り、最後には驚きすらある。これにローリング・ストーンズの曲なんか挿入したら、あっという間にスコセッシ映画の誕生だ!

34位:バルタザールどこへ行く(1964)
AU HASSARD BALTHAZAR

監督:ロベール・ブレッソン
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、フィリップ・アスラン、
ナタリー・ショワイヤーetc

高校3年生の時、アンスティチュ・フランセの図書館で借りて、初めてブレッソンと出会った。その初対面はディープインパクトであった。ロバと少女。表情でけで悲哀を魅せる。そして痛めつけられるロバに、観ている方も鞭打たれているような苦しさがあった。それでもってブレッソンは完璧な構図、完璧な美でそれを描写する容赦なさ。これはとてつもなく怖い、怖い映画だ。

35位:鉄西区(2003)

監督:王兵(ワン・ビン)

数々の映画祭で暴れている2000年代最もイケイケなドキュメンタリー作家・王兵の9時間の作品。今や寂れてしまった工業都市・鉄西区を3つのパートに分けて撮る。彼の作品は、基本長い。平気で2時間半を超えてくる。悪い意味で、編集が下手なのでは、そこまで超尺かけて描く必要ないのではと思うことも多いのだが、本作は9時間かけて描く価値があった。もはや人が住む場所ですらなくなった、廃墟、フッフッと降り積もる雪とグレーの壁のコントラストが、鉄西区から漂う哀愁を彩る。ペドロ・コスタの『ヴァンダの部屋』以上に、廃墟と人。失われていく時と空間最後の一瞬を捉えるのに成功している傑作だ。

36位:裸のランチ(1991)

監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ピーター・ウェラー、ジュディ・デイヴィス、イアン・ホルムetc

ウィリアム・バロウズのドラッグでラリった頭で書いた妄想のような世界。もはや物語がメルトダウンして到底映画化に向かない原作をクローネンバーグは見事に脱構築してみせた。バロウズの人生にクローネンバーグの怪物をブツけて!観る者を酔わせる世界を作り上げた!それにしてもクローネンバーグはコンピュータにVR、仮想通貨が社会にもたらす影響をさりげなく予言していたりするから凄い。本作は、さりげなくフリーランサー、ノマドワーカーの世界を予言していたりするから非常に面白い。

37位:皆殺しの天使(1962)
El ángel exterminador

監督:ルイス・ブニュエル
出演:シルヴィア・ピナル,
エンリケ・ランバルetc

家から出る概念を失ったブルジョワジーのリアル脱出ゲーム。脱出ゲーム系映画といえば、『SAW』とか『人狼ゲーム』とか様々あるのだが、これほど厄介なものはない。なんたって、外に出るという概念を失っており、ただ訳が分からず、家でのたうち回っているのだから。このシュールな光景から、階級に囚われた人のもがきが伺える。ルイス・ブニュエルは後に似たシチュエーションの『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』もあるが、こちらの方が圧倒的に面白い。

38位:Mishima: A LIFE IN FOUR CHAPTORS(1985)

監督:ポール・シュナイダー
出演:緒形拳,沢田研二etc

楯の会事件と『金閣寺』『鏡子の家』『豊饒の海』を2時間にまとめるという離れ業をポール・シュレイダーはやってのけた。決して、描写不足になることなく、三島由紀夫の耽美的文体を徹底的に映像にトレースした。この神業といえる演出に舌鼓を打った。大人の事情で未だに日本公開はもちろん、DVD化すらしていないが、いつか劇場公開してほしいなぁ

39位:ゴールド・ディガーズ(1933)
GOLD DIGGERS OF 1933

監督:マーヴィン・ルロイ
出演:ジョーン・ブロンデル、アリーン・マクマホン、
ルビー・キーラーetc

今や、安直なミュージカル描写程引用されるバズビー・バークレーの演出。彼の演出といえば、『四十二番街』の空中からマスゲームを撮るバークリー・ショットが有名だが、ブンブンは実は本作の方が好きだ。シルエットを使った演出、光るバイオリン、ぐにゃぐにゃ曲がった階段を使った演出。全てが素敵だ。ストーリー?そんなもんあったっけと思う程物語はどうでもいいが、バークレーの素敵な演出に酔いしれた。

40位:ザ・マスター(2012)
THE MASTER

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、
エイミー・アダムスetc

公開当時はよく分からなかった。ただただ、ホアキン・フェニックス扮する荒々しい男に自分が重なり、なんだか他人事に見えなかった。教祖というコントロールする者と制御不可能な男の綱引き、そこから滲み出る痛み辛さが、ブンブンの心に染みた。また、ジョニー・グリーンウッドの官能的サウンドと、ヒリヒリするような絶景が、より一層ブンブンの心をざわつかせた。ポール・トーマス・アンダーソンの作品はどれも好きだが、この映画には勝てない。例えば、『インヒアント・ヴァイス』だろうと、『ファントム・スレッド』だろうと…

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