オールタイムベスト

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81位:ジャズ大名(1986)

監督:岡本喜八
出演:古谷一行、財津一郎、神崎愛、タモリ

『幕末太陽傳』の幻のラスト、佐平次が舞台を飛び出し、駆け抜けて行くうちに現代になっていたあのラストの面影を85分かけて描くお祭り映画だ。ジパングに流れ着いた黒人は殿様と意気投合、戊辰戦争なんか糞食らえとセッションしまくる。メロディはワンパターンぐらいしかないのだが、徐々にボルテージが上がっていき、いつの間にかエレキギターが登場し、タモリが思わぬ姿でセッションに参画していく様の面白さに取り憑かれた。こんなミュージカル後にも先にも作れねぇ。

82位:ホーリー・マウンテン(1973)
THE HOLY MOUNTAIN

監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー、ホラシオ・サリナス、ラモナ・サンダースetc

アレハンドロ・ホドロフスキーというと『エル・トポ』が有名だが、実はブンブンが好きなのは『ホーリー・マウンテン』だ。ホドロフスキーのサイコマジックによって、心が浄化されていく(気がします)。ストーリーはあったような気がするし、なかったような気がする。ただ身体に残っているのは、強烈な造形のみ。前代未聞の○○○の錬金術師や、特殊銃、燃ゆるマネキンに、自分の中に眠る何かが呼び覚まされる気がした。言語化しづらい面白さがここにはある。

83位:トラスト・ミー(1990)
TRUST

監督:ハル・ハートリー
出演:エイドリアン・シェリー,
マーティン・ドノヴァンetc

ハル・ハートリーの作品は毎回空気のようにふわふわして捉えどころがないのだが、本作はそんなハル・ハートリーの作品の中で強固なドラマがあった。ゆるふわオデュッセイア物語。親の怒りを買い、行き場を失った少女の前にボスラッシュのごとく押し寄せてくるハプニング。それが、組紐のように形作る。そして、ある《破壊》を象徴するものを使うことで、この珍道中で育まれる恋が強く美しいものとなった。

84位:子連れ狼 三途の川の乳母車(1972)

監督:三隅研次
出演:若山富三郎(城健三朗)、富川晶宏、松尾嘉代etc

これぞ三隅研次の斬る美学!若山富三郎が壁に刀を投げつけ、敵をやっつける。そこから怒涛の斬る斬るKILL!!林から、はたまた砂丘のそこから徐に現れる悪党を、圧倒的手数で調理していく若山富三郎こと子連れ狼の美しき殺法。これを観てしまうと、『キル・ビル』なんか甘っちょろく見える。

85位:震える舌(1980)

監督:野村芳太郎
出演:渡瀬恒彦、十朱幸代、中野良子etc

この和製『エクソシスト』恐るべし。破傷風に冒された少女が、痛みによって痛みを制すかの如く自分の体を傷つけていく。そして看護師だろうと家族だろうと制止できないほどに凶暴化していく少女の痛々しさに背筋が凍った。正直『エクソシスト』よりこちらの方が凄いと思う。

86位:ロープ(1948)
ROPE

監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームズ・スチュワート、ファーリー・グレンジャーetc

世界初のワンカット長回し風映画。《風》と言ったのは、当時のフィルムは10分程度しか撮影できなかったので、壁を使って暗闇のシーンを作ることで、フィルムを繋げたワンカット風の映画を作り上げた。ただ、本作が凄いのはそこではない。ヒッチコックは観客に神の視点を与えたことにある。犯人が死体をチェストにしまう。観客はチェストに何が入っているのかを知っている。その中で起きるバレるかバレないかサスペンス。ヒッチコックは、徹底的に焦らすことで観客を終始ハラハラドキドキさせることに成功した。

87位:ザ・トライブ(2014)
Plemya/The Tribe

監督:ミロスラブ・スラボシュピツキー
出演:グレゴリー・フェセンコ、ヤナ・ノビコバetc

全編手話映画。そう聞くとお涙頂戴の作品に見えるが、別の意味で4回泣かされます。本作は、聾唖者による、ギャングスタ栄枯盛衰ものだ。組織の頂点に上り詰め破滅していく様子を強烈な暴力描写とエロ描写で描く、あまりの不意打ちに背筋が凍る。お涙頂戴だけが、聾唖者の生き様を伝える技法出ないことを、描き切ったトンデモ映画だ。セリフはない。字幕もない。故に、手話を知らないブンブンにとって彼らがどういう会話をしているか分からないが、しっかり物語がわかる。これぞ新時代のサイレント映画だ!

88位:尼僧ヨアンナ(1961)
MATKA JOANNA OD ANIOLOW

監督:イェジー・カヴァレロヴィチ
出演:ルチーナ・ウィンニッカ、ミエチスワフ・ウォイトetc

究極の顔芸映画。悪魔に取り憑かれた尼さんの顔がとにかく怖くて、怖くてちびりそうだ。スタイリッシュでかっこいいカメラワークが、より一層不気味さを掻き立て、心にトラウマを植え付ける。これが後に『エクソシスト』や『サスペリア』さらには『汚れなき祈り』になったんだと思うと、エクソシストものを萌芽させた非常に重要な作品であることが分かる。

89位:SOMEWHERE(2010)

監督:ソフィア・コッポラ
出演:スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング、クリス・ポンティアスetc

そして、僕は恋をする…高校生の時、エル・ファニングと邂逅し、一目惚れした。ズッキューーーーン! と恋の弾丸がブンブンの心を貫いた。

Elle Fanning,
Elle est fantastique!

本作は、ブルジョワ家庭の少女が富も自由もあるのに、どこか寂しいデカダンスの世界を魅力的に描いている。なんたって、少女はソフィア・コッポラの分身故、Based on a true storyなのだから。何もないのに美しい、退廃的なのにキラキラしている。いつまでも観ていたい景色がそこにはあった。

90位:日陽はしづかに発酵し…(1988)
DNI ZATMENIYA

監督:アレクサンドル・ソクーロフ
出演:アレクセイ・アナニシノフ、エスカンデル・ウマーロフetc

ソクーロフ監督が尊敬するタルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』の空撮オマージュから本作は始まる。暑苦しいオレンジ色の空をカメラが墜落していく、『アンドレイ・ルブリョフ』を超越する魅惑のショットで開幕する本作は、トルクメニスタンに派遣された、ロシア人医師に巻き起こるカフカ的不条理の世界をヴィジュアルヴィジュアルヴィジュアルで肉付けする。原作はストルガツキー。正直、ストルガツキーがどういう皮肉を入れたのか、どういう社会批判を入れたのか分からないので、映画版も当然ながら謎だらけだ。しかし、地球上の景色とは思えない異様な光景の中ただひたすらに漂う死の薫りは、鑑賞当時大学生だったブンブンを熱く興奮させた。

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