オールタイムベスト

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1位:痛ましき謎への子守唄(2016)
Hele sa hiwagang hapis

監督:ラヴ・ディアス
出演: Piolo Pascual, John Lloyd Cruz etc

天国に1本だけ映画を持ち込めるのであれば、間違いなく本作を選ぶであろう。鬼才は映画史映画を撮りたくなるものだが、リュミエール兄弟からベルイマン、驚いたことに『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』の要素まで盛り込み、尚且つフィリピン現代史を描く、それも8時間1秒たりとも無駄で汚いショットがない。完璧、そして本作にはブンブンの好きなものしかなかった。

2位:オルエットの方へ(1971)
Du côté d’Orouët

監督:ジャック・ロジエ
出演:フランソワーズ・ゲガン、ダニエル・クロワジ、
キャロリーヌ・カルチエ、ベルナール・メネズetc

何もないがある。本作は映画なのか疑問を抱くほどに、起承転結がない。ただただ3人のイケイケOLがバカンスを過ごすだけ。それも日本のバカンスとは違い、1日中干物のように過ごす。なんだけれども、圧倒的に面白い。ストーカーキモ上司との死闘、何故か10分近く尺があるウナギとの死闘シーン、そしてあまりに美しいビーチと女性、マッチョとのコントラスト。永遠に観ていたい。決して完璧な旅はない。うまくいかないこともある。しかし、旅の終わりに振り返ると、その旅が抱きしめたいほどに愛らしいものに見えてくる。その旅の終わりまでジャック・ロジエ監督は味わせてくれた。最高級のデザート映画である。

3位:早春(1970)
DEEP END

監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:ジェーン・アッシャー、
ジョン・モルダー・ブラウン、
ディアナ・ドースetc

最強の童貞映画!男の必修科目だ!男というのは、好きな女の子に自分の理想を押し付けてしまいがち。本作で映し出される、少年の狂気を観ると、ブンブンの痛い恋愛体験が思い出される。それだけなら、オールタイムベストに入らないのだが、本作はキャット・スティーヴンスの”But I Might Die Tonight”で観客の胸ぐらを掴んだ状態で始まり、プールの異様な空間、看板、ホットドッグ屋、ポルノ映画館といった魅力魅力魅力、斬新斬新斬新な塊を投げつけてくる。ブンブンの心はすっかりスコリモフスキ監督にオーバーキルされました。ちなみに、ブンブンがウサギを飼うとしたら、《スコリモフスキ》と命名したい。

4位:フード(1993)
Jídlo

監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:Ludvík Sváb, Bedrich Glaser

チェコ・アニメーションはレベルが高い。その中でもヤン・シュヴァンクマイエルの本作はダントツに素晴らしい。彼の作品はクラウドファンディングに参加する程好きなのだが、本作は彼の作品の中でもマスター・ピースだ。大学時代に短編映画を作った際にも本作の影響をもろに受けた。朝食、昼食、夕食にまつわる3つの話。予想もつかない、飯の登場、「何食っているんだ!」と叫びたくなる狂気。愛らしい傑作である。ちなみに、ブンブンがこのオムニバスで一番好きなのは「朝食」。こんな独創的な朝食場面観たことがない!!こんなファストフードがあっていいものなのか?こんなファストフード店は嫌だ!と思いたくなる狂った風景しかありませんでした…

5位:仮面/ペルソナ(1967)
PERSONA

監督:イングマール・ベルイマン
出演:ビビ・アンデショーン、リヴ・ウルマンetc

多くの作品に影響を与えたベルイマンのカルト映画。自問自答を、分身でもって描き、心の中の葛藤トラウマを、恐怖のヴィジュアルで紡ぎ出す。映画自体は難解で、未だにこれといった解を見つけられていないのだが、この圧倒的真似したいヴィジュアルの連続にノックアウトされました。それにしても、『リズと青い鳥』や『未来のミライ』と最近アニメ映画で本作の残像を感じるのだが、気のせいだろうか?

6位:ひかり(1987)
YEELEN

監督:スレイマン・シセ
出演:イシアカ・カネ、
アワ・サンガレ、
ニャマント・サノゴetc

ブルーレイ化、4Kデジタルリマスターしてほしい、なんならIMAXで観たいアフリカ映画。カンヌで賞を獲ったアフリカアート映画と聞くと堅苦しいイメージが湧くかもしれないが、やっていることは勇者ヨシヒコだ。暗黒魔王を倒すため、伝説のアイテムを探す少年の物語、道中で敵が現れ、それこそ本当に勇者ヨシヒコのようなゆるいバトルが展開されます。このシュールさがたまらない。そしてタイトル通り《ひかり》の使い方が素晴らしすぎて鼻血が出ます。ラース・フォン・トリアーの『メランコリア』の終焉級に、この世の終わりを感じるクライマックスは必見!

7位:ストップ・メイキング・センス(1984)
STOP MAKING SENSE

監督:ジョナサン・デミ
出演:トーキング・ヘッズ

本能に抗えない…正直に白状しよう。本作が好きだ!ブログ記事頑張りたい時は必ずといっていいほど流している。もう10回以上、今までで一番観た映画だ。正直、本作は映画ではない。音楽ドキュメンタリーにしてはTalking Headsのライブを映しているだけなのでこれはただのライブ映像でしかない。しかしながら、Talking Headsの神過ぎるライブを、ライブ会場の歓声に頼らず、120%魅力を引き出した!繊細なカメラワークに、音を完全にコントロールしたジョナサン・デミの統治力、技量に惚れ込んだ。もちろん、『メルヴィンとハワード』や『羊たちの沈黙』も好きだが、本作を前にこれらは無となる。

8位:ドゥ・ザ・ライト・シング(1989)
DO THE RIGHT THING

監督:スパイク・リー
出演:スパイク・リー、
ダニー・アイエロ、
サミュエル・L・ジャクソン

一番真似したいオープニング。ボンキュボンのセクシーねぇちゃんの腰振りで始まるオープニングに心奪われ、ポップでドープ、Public Enemyの”Fight The Power “が響き渡るヒップホップの世界の中で繰り広げられる白人、黒人、プエルトリコ人に韓国人のバトル。社会派なんだけれども、なんでこんなにポップなんだ!真面目な社会派映画は沢山あるが、数日経つと忘れてしまう。しかし、本作はポップさが刺激となり、いつまでも心の奥に止まる。そして、憎しみが全てを奪う様子をこの上なくクールにブンブンの心に突き刺した。このバランス感覚、誰にも真似できません。

9位:フィツカラルド(1982)
FITZCARRALDO

監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
出演:クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ

船頭一人でも船山に登ることがあるんだと、高校時代イメージフォーラムで観てびっくり仰天しました。もはや、正気の沙汰ではないヴェルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーのブラジル奥地にオペラハウスを作ろう計画は、忘れがたき圧倒的興奮を得る。そして、巨船を一生懸命山の反対側まで運ぶ原住民を応援したくなる。ドキュメンタリータッチというと今や陳腐なものとなっているが、本作の今にも沈没しそうな巨船の激流下りを観ると、心奪われる。ドキュメンタリータッチ史上最高の描写しかない。

10位:美しき仕事(1999)
BEAU TRAVAIL

監督:クレール・ドゥニ
出演:ドゥニ・ラヴァン、
ミシェル・サブボールetc

同性愛者として社会に抑圧された者。その抑圧からの解放を、ドゥニ・ラヴァンの独特な舞い、身体性で表現する。抑圧からの解放を肉体の鼓動と詩的台詞で描いている。シンプルながらも、沼のように深い奥深さ、映画を観ている最中はDon’t think, feel.なのだが、鑑賞後噛みしめるようにして思い出すと、肉汁たっぷりの旨味が染み出してくる。本当に美しい作品であった。ラストは言えないが、観た人だけが味わえる究極のご褒美があります。

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