オールタイムベスト

21位:ゆきゆきて、神軍(1987)

監督:原一男

この映画には脚本があった…原一男監督が体当たりで奥崎謙三に迫る。警察?呼べば?と言いながら迫る奥崎謙三の狂気に恐怖慄く。しかし、もっと怖かったのは原一男だった。彼は全てを知っていた。映画としての面白さを引き出すために、奥崎謙三を操り人形のように使っていたのだ。その事実を知った時、再び恐怖慄いた。彼の「映画は面白くなきゃ!」という精神好きです。

22位:イントゥ・ザ・ワイルド(2007)
INTO THE WILD

監督:ショーン・ペン
出演:エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン

ブンブンが海外旅行に惹かれたのはこの映画。レールに乗せられた人生から逃げるように外れ、雪山でサバイバルする中で、人生を見つめ直す。この主人公の生き様に惚れ込んだ。冷たく、孤独な雪山。明らかに過酷なんだけれども、抜群のカメラワークでこれ以上にない美しさがある。旅人は、過酷さの中にある美しさに惹かれ、旅を続ける。自分を見つめ直す旅に出る。本作で映し出される景色は、このような旅人の心情を描くのに説得力がある。ちなみに、原作があまりにつまらなくて衝撃を受けた。

23位:スパニッシュ・アパートメント(2002)
L’AUBERGE ESPAGNOLE

監督:セドリック・クラピシュ
出演:ロマン・デュリス、ジュディット・ゴドレーシュ

本作には本物の留学体験が眠っている。様々な国の学生が集まるスパニッシュ・アパートメントにやってきたフランス人学生の留学生活。そこにある友情、恋、そして留学の終わりに感じる切なさ、これは実際にブンブン留学してみてホンモノだと感じた。そして、この映画を観るとあの切なさが幾らでも蘇ってくる。内容云々というよりかは自分の人生にとって大切な作品だ。

24位:ホース・マネー(2014)
Cavalo Dinheiro

監督:ペドロ・コスタ
出演:ヴェントゥーラ、ビタリナ・バレラ、
ティト・フルタド、アントニオ・サントスetc

土地と人間が織りなす歴史を、写真のように撮る。それはあまりにも美しく、怖く悲しい。写真が映画という《動》のメディアとして、蠢くことで、廃墟に微かに息づく者たちの慟哭が聞こえてくる…ペドロ・コスタのドキュメンタリーは王兵と比べるとキツくて見辛いのだが、本作はそんな苦手意識を吹き飛ばす。永遠に観ていたい。ブンブンは、コスタの時の牢に閉じ込められてしまった。

25位:さようならCP(1972)

監督:原一男

原一男デビュー作。大学時代、AVライブラリにVHSがあって観てみたら、あまりの地獄絵図に動けなくなった。道路の真ん中で脳性麻痺の男が暴れている。障がい者は陰日向で生活しないといけないのか!健常者は俺たちの姿から目をそらしている!と暴れまわる。感情が揺れ動かされる。それこそ24時間テレビの裏で観たい作品だ。デビュー作から、原一男監督はバケモノだった。

26位:サヴァイヴィング・ライフ-夢は第二の人生-(2010)
PREZIT SVUJ ZIVOT

監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:ヴァーツラフ・ヘルシュス、クラーラ・イソヴァー、
ズザナ・クロネロヴァーetc

ヤン・シュヴァンクマイエルが贈るフロイトの夢分析の世界。女の亡霊、巨大な卵やリンゴが飛び交い、ただひたすら訪れる悪夢に惹かれ、悦楽に溺れていく様をコラージュで演出。このヴィジュアルの圧倒的格好良さと説得力に打ちのめされた。実は本作が公開された時、ブンブンは高校1年生。18禁映画故に映画館で観ることができなかった。しかもTSUTAYAでは一切レンタルされておらず、大学生になりDVDを買うまで喉から手が出るほど観たかった作品。その渇望を窒息するまで癒してくれた作品である。

27位:横道世之介(2013)

監督:沖田修一
出演:高良健吾、吉高由里子、池松壮亮etc

ブンブンが法政大学出身だけに、そしてブンブンの入学直前に公開されて観ただけに本作に囚われている。本作は輝ける青春の最高傑作だ。就活等で人間関係が崩れ始める前の大学1年~2年の、前のめりで、時間だけがあって有り余る力をどこにぶつけていいのか分からぬ学生が、2時間40分スクリーンを駆け回る。そして、とてつもなく衝撃的で切ない。でも何故か底抜けに明るい展開に涙した。この作品は卒業式間際に観て、すっかり骨の髄までこの作品に溶かされてしまった。

28位:ブリュッセル1080、コメルス湖畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン(1975)
Jeanne Dielman,23 quai du Commerce,1080 Bruxelles

監督:シャンタル・アケルマン
出演:デルフィーヌ・セイリグ

ながーいタイトル。ハードコアシネフィル、厨二病にとってこれほど魅力的なタイトルはない。しかし、映画もとっても長くて魅力的だと言いたい。3時間以上、主婦の淡々とした家事ライフを見せつけられる。ジャガイモをつまらなそうに剥く、冷めきった家族との食事場面。退屈そうなのに、何故か気になってしまう。まるでレアンドロ・エルリッヒの作品を観ているかのように、観る視られる関係性を突きつけられます。

29位:ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間(1970)
WOODSTOCK: 3 DAYS OF PEACE MUSIC…AND LOVE(1970)

監督:マイケル・ウォドレー

怒れる若者は、大人に、社会を相手に闘った!それはカウンターカルチャーとして文化となった!そして1969年!その絶頂に開催されたウッドストック・フェスティバル。想定外の動員で、会場はゴミと汚物と、雨により被災地となった!もはやどろどろぐちゃぐちゃ廃墟となった会場でジミ・ヘンドリックスはアメリカ合衆国の国歌《星条旗》を壊れたように弾き鳴らす…。高校時代、この狂った様子に熱狂した。そして社会科の自由発表で熱く語った。音楽ドキュメンタリーとして最強クラスにソウルを感じた。

30位:㊙︎色情めす市場(1974)

監督:田中登
出演:芹明香、花柳幻舟、夢村四郎、岡本彰etc

たかがロマンポルノだと侮るなかれ!大阪のドヤ街で、障がい者の弟を養いながら身体を売る女が映し出される。こんなのを観てしまっているから、『万引き家族』があまっちょろく見えてしまう。白黒の世界で、ただひたすらに凄惨な人生が描かれ、これがカラーになった時、そこには時間に取り残された者の哀愁しか残らない。胸が締め付けられるほど苦しんだ。

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