オールタイムベスト

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61位:見出された時-「失われた時を求めて」より-(1999)
LE TEMPS RETROUVÉ

監督:ラウル・ルイス
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、
エマニュエル・ベアール、
ジョン・マルコビッチetc

プルーストの『失われた時を求めて』の、昔のオフ会であるサロンと文化的教養から自問自答し、自分の流れ行く気持ちを文章として捉えようとする技法に痺れてしまったブンブンにとってこれほど完璧な映画化はないだろう。フォルカー・シュレンドルフの『スワンの恋』と比べると圧倒的に面白い。老体、死ぬ間際のプルーストをハブに、ダイジェストでエピソードを紡いでいく。そこにはきちんとシャルリュスがマゾの道に堕ちるめちゃくちゃ面白い第4篇『ソドムとゴモラ』もしっかり描写されている。シャルリュス推しなブンブンにとってこれはご褒美のような映画であった。

62位:炎628(1985)
Иди и смотри

監督:エレム・クリモフ
出演:リューボミラス・ラウセビチャスetc

実写版『進撃の巨人』でオマージュされたことで有名な戦争映画。戦場に憧れる少年は、あまりの凄惨な戦場に絶望する…もはや人が死んでいるのでは?本物の戦争にカメラが紛れ込んでしまったのではと思う程の恐ろしい戦争描写の数々に胸が締め付けられる。こんなのを前にしたら『プライベート・ライアン』は甘口カレーだ!ソ連最強の戦争映画だ!

63位:オール・ザット・ジャズ(1979)
ALL THAT JAZZ

監督:ボブ・フォッシー
出演:ロイ・シャイダー、ジェシカ・ラング、アン・ラインキングetc

I think I’m gonna die…監督のスランプものと言えば、『8 1/2』や『バートン・フィンク』などあるが、ブンブンが一番好きなのはボブ・フォッシーの苦悩。舞台演出に悩む男は、薬と妄想に溺れていく。”Bye Bye Life”の豪華絢爛、これ以上にない眩しいステージで踊り狂うロイ・シャイダー、しかし歌われるのは死と虚無の世界このギャップに心がざわついた。”Bye Bye Life”は定期的に聴きたくなるのだが、これを聴き始めたら精神疲労が溜まっている証拠。ある種、自分の健康を調べるリトマス紙的役割を担っている。

64位:MOMMY/マミー(2014)
MOMMY

監督:グザヴィエ・ドラン
出演:アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、
アントワン=オリヴィエ・ピロンetc

グザヴィエ・ドランの溢れんばかりの感情!インスタグラムサイズのスクリーンが形成する閉塞感、そこからの解放が最高に美しくエモーショナル!そして本作で登場する、ADHDの少年の破天荒さは、ブンブンが小学校時代にいた苛めっ子とよく似ていて、彼を最後まで赦さなかった自分が許せなくなった。女手一人で、感情と感情をぶつけ合いながら互いに成長する姿を通じて、ブンブンは懺悔したい気持ちになった。

65位:シリコンバレーを抜け駆けろ!(2002)
THE FIRST $20 MILLION IS ALWAYS THE HARDEST

監督:ミック・ジャクソン
出演:アダム・ガルシア、ロザリオ・ドーソン、
ジェイク・ビューシイetc

あの『ボディガード』『否定と肯定』のミック・ジャクソン監督作。99ドルのパソコンを作るというミッションに、天才プログラマーたちが集まり、ホログラムPCを開発するという胸熱な作品。本作を観ていなければ、こうしてブログも続けていないだろうし、エンジニアとして働いていることもなかったであろう。天才同士が、邪魔にめげず、高みに挑戦していく姿は熱い!そして、彼の開発したPCは近い将来我々の周りで普通に見かけるものになっているだろうと思うとワクワクする。

66位:メーヌ・オセアン(1986)
Maine-Océan

監督:ジャック・ロジエ
出演:ベルナール・メネズ、ルイス・レゴ、
イヴ・アフォンソ、リディア・フェルドetc

リヨン駅を黒人女性が走る。急いで切符を買って、待て待て〜と列車を追いかける。このシークエンスだけで5億点。ジャック・ロジエのバカンス映画はサイコーだ。案の定グダグダで無軌道な旅、そんな旅に巻き込まれる男。いつの間にか主役が男にシフトしていき、これ以上にない情けなさを魅せる。ベルナール・メネズの見栄っ張りだが、困り顔でショボイ感じが堪らない。ラストの、めちゃくちゃカッコよく観たことのない絶景シュールすぎるラストに拍手喝采だ!

67位:召使(1963)
THE SERVANT

監督:ジョセフ・ロージー
出演:ジェームズ・フォックス、ダーク・ボガード、
サラ・マイルズetc

ジョゼフ・ロージーは食指が動きにくいタイトルの作品が多いが、実は多くがカルト映画級の変な作品だ。本作は、家庭乗っ取り系映画の中でも最高レベルに面白い。ブルジョワ気取りな男が、召使に依存することによって家庭が乗っ取られていく様子を上質に描いていく。この姿から、人々の心に持つ見栄と実際の姿の差異が浮き彫りにされ、それを強調するかのように使われる鏡が非常に効果的だ。

68位:The Forbidden Room(2015)

監督:エヴァン・ジョンソン、ガイ・マディン
出演:マシュー・アマルリック、ウド・キアetc

『死霊のはらわた』に出てくる秘密の書のような作品。ガイ・マディンはただただレトロな映像を作ろうとしたのではない。まるで地獄の底から出てきたような映像を作り出した。潜水艦からどこでもドアのように雪山、火山、エロい女が暴れる空間へと転送されていく様子を走馬灯のようにして展開される。ストーリーはあってないようなもの。なので、初めて観た時は、そこまで高評価を出していなかったのだが、鑑賞後尾を引いて本作の面白さが身体全体に染み渡り、今じゃ本作のファンだ。ただ、体調が悪くなる映画なので要注意。ましてや『KUSO』なんかと二本立てはしないほうがいいぞ…

69位:アルフィー(1966)
ALFIE

監督:ルイス・ギルバート
出演:マイケル・ケイン、シェリー・ウィンタース、
ミリセント・マーティンetc

ただひたすらにクズ男の自惚れた人生が描かれる。本当に酷いのだが、そこには男が密かに感じている気持ちの本質がある。その気持ちからいかに成長し、本物の恋を育むのかというプロセスが非常に熱い。女性には到底おすすめできない映画だがこれは大切な作品である。

70位:コヤニスカッツィ(1982)
KOYAANISQATSI

監督:ゴッドフリー・レジオ
出演:ロン・フリック、ゴッドフリー・レジオ、マイケル・ホーニッグetc

常軌を逸し、混乱した生活。平衡を失った世界…アメリカ原住民ホピ族の言葉がタイトルになった本作は、早回しで展開される都会の喧騒から、文明の息苦しさが伝わってくる。そして、フィリップ・グラスの心をスクリーンに吸い込み閉じ込めようとする魅惑の音楽が、これまた本作に対する興味、好奇心を掻き立てる。実験映画として最強クラスの作品。ある種観るアーユルヴェーダだ。

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