【カンヌ国際映画祭特集】『Whatever Lola Wants』これがわたしのAnother Sky-ローラ・ラムジー、エジプト・カイロ編

Whatever Lola Wants(2007)

監督:ナビル・アユチ
出演:ローラ・ラムジー、Assaad Bouab、Mariam Fakhr Eddine、Carmen Lebbos etc 

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第74回カンヌ国際映画祭コンペティションに仏系モロッコ人監督ナビル・アユチ監督作『Casablanca Beats』が選出された。本作は伝統による抑圧から解放されるためにラップを武器に闘う女性を描いた青春映画だ。パルムドールを獲るにはカンヌキャリアが足りない気もするが、審査員賞や女優賞を獲りそうな作品だ。ナビル・アユチ監督といえば、「死ぬまでに観たい映画1001本」マニアからすると『アリ・ザウア』が有名なのですが、入手できなかったので代替案としてAnother Sky映画『Whatever Lola Wants』を観ました。

『Whatever Lola Wants』あらすじ

A New York postal worker travels to Egypt to take belly dancing lessons from a legendary instructor.
訳:ニューヨークの郵便局員が、伝説のインストラクターからベリーダンスのレッスンを受けるために、エジプトに旅立つ。

imdbより引用

これがわたしのAnother Sky
-ローラ・ラムジー、エジプト・カイロ編

本作はオリエンタリズム問題に敏感な人にとってはキツい内容かもしれない。夢見るニューヨーカー・ローラ(ローラ・ラムジー)が行きつけのバーのマスターの誘いで、店でダンスを披露したら、色男ザック(Assaad Bouab)が現れ恋仲になる。しかし、失恋をきっかけにエジプト・カイロでダンス修行するという内容。

意識高い系の留学ではないので、エジプトにいるにもかかわらず終始英語で会話をし、劇中で発せられるアラビア語はせいぜい「シュクラン(ありがとう)」レベルという舐め腐った姿に衝撃を受けるでしょう。ただここまでライトな夢見る女性映画物語は『プリティ・ウーマン』とか『ノッティングヒルの恋人』とかの時代を彷彿とさせる。

普段観ない、遭遇しないノーテンキ映画なのでこれはこれで新鮮だったりする。オリエンタリズムとして消費されるエジプト像をアフリカ系監督が意気揚々と描いていて不安になるものの、どこか憎めない本作最大の魅力はローラ・ラムジーの可憐さによるものだろう。

『アメリカン・ピーチパイ』のチャラい女性のイメージが強い彼女がパワーアップしており、ドジっ子で恋とダンスに夢中、イケイケドンドンな姿を観るとあとはどうにでもなれと思ってしまう。どこか、自分の海外留学していた頃のモラトリアムさと重なるから嫌いになれないのだ。

ナビル・アユチ監督は他の作品の予告編を観ると、アート系というよりかは大衆娯楽映画監督らしい。彼の新作『Casablanca Beats』楽しみだ。

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