A SUMMER TRIP~僕とじいじ、1300キロの旅(2021)
川流不熄
監督:フォン・クーユー
出演:ヤン・シンミン、フー・チャンリン、トゥ・ソンイェンetc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第16回大阪アジアン映画祭は東京オリンピックに併せてスポーツ映画に力を入れている。『ナディア、バタフライ』はなんと東京オリンピック2020が行われている世界での物語である。『中国女子バレー』は1981年の日本ワールドカップでの中国代表の活躍を描いた作品である。さて、本作はスポーツ映画ではないのですが2008年の北京オリンピックが背景にあるロードムービーである。正直、中国事情に詳しくない為、オリンピックとの兼ね合いはよく分からなかったのですが、そこそこ面白いロードムービーでした。
『A SUMMER TRIP~僕とじいじ、1300キロの旅』あらすじ
2008年夏。北京オリンピック開幕まであとわずか。かつて朝鮮戦争に従軍したチャン・ダーチュアンは、長男家族と共に中国南部の小さな町に住んでいる。仕事に忙しい息子たちとのコミュニケーションはわずかで、同居しているのに家族はバラバラ。
ある日、かつての戦友の死を知らせる一本の電話に、一人で北京まで行きお葬式に参列しようと決心したダーチュアン。ところがそれを密かに察した思春期のやんちゃな孫シャオソンに連れて行けと懇願され、初めて二人は旅に出ることになる。
アナログじいじとイマどき孫の、時にぶつかり、時に知恵を出し合う、笑いと涙、1300キロの珍道中! そして遂に北京に到着したのだが…。旅の終わりに待っていた、家族の思いがけない交流と巡り合い。
オリンピック開幕と時を同じくして、一つ夢を実現させる孫を通して、ダーチュアンは自分の夢と希望が次世代に受け継がれていくのを感じるのだった
※第16回大阪アジアン映画祭サイトより引用
エクストリーム菊次郎の夏
公式サイトのヴィジュアルを見て、『菊次郎の夏』っぽい映画かなと思っていたら、音楽を久石譲が手がけていたので確信犯であった。戦友の葬式に行こうとするおじいさんと、やんちゃな孫が北京を目指す。美しく諍いを感じさせない陽気の中で旅をするのだが、これがジャック・ロジエ映画さながらのエクストリームの牙をむく。
警察に無免許運転がばれて、バスで北京を目指すが途中で故障する。車事情に詳しいおじいさんが、「俺に見せろ!」といいところを魅せようとするもサッパリ分からず、何時間も待つことにしびれを切らして息子と20km以上歩いて北京を目指そうとするが、大雨に振られるは、バスは直って彼らより早く北京に行ってしまうわで踏んだり蹴ったりだ。諍いだらけなんだけれども最後には仲良くなるあたり王道のロードムービーで面白い。
しかしながら、時折、おじいさんが戦時中頑張ったことを警察官やヒッチハイクで乗せてくれた人が豪語する部分にプロパガンダを感じてしまい、癖が強かったのが正直な感想。
映画祭中の箸休め映画という感じでした。
※第16回大阪アジアン映画祭サイトより画像引用
第16回大阪アジアン映画祭レビュー
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