サラーム・ボンベイ!(1988)
SALAAM BOMBAY!(1988)
監督:ミーラー・ナーイル
出演:シャフィーク・サイイド、
ナーナー・パーテーカルetc
評価:85点
今年は『バーフバリ 王の凱旋』をきっかけにインド映画に力を入れようと思いました。先日、TSUTAYAで『サラーム・ボンベイ!』という作品を借りてみて、これが傑作だったので紹介します。
『サラーム・ボンベイ!』あらすじ
カンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞したインド映画。ボンベイのストリート・チルドレンの生き様を描いたドラマ。サーカスで働いていた少年クリシュナは、移動の際に迷子になり、今やボンベイでチャイ売りとして暮らしている。恐喝、盗み、強奪が日常茶飯事のボンベイ。500ルピー集めて故郷に帰りたいクリシュナはある日、娼婦としてアパートに引っ越してきた女に恋をする…踊らぬインド映画の傑作
インド映画というと、「どうせ歌って踊るんでしょ?」と皮肉交じりに言う人がいる。確かにその通りだ。
沢木耕太郎が『深夜特急』インド編で、インドは貧富の格差が激しく、貧しいインド人は現実逃避の為に豪華絢爛で長く、歌と踊りに満ちた映画を観に映画館へ行くとレポートしていた。
つまり、大衆映画なのだ。だから、歌って踊って何が悪い?と思ったりする。
そんなインド映画にだって踊りがほとんどない作品がある。カンヌ国際映画祭を獲る作品がある。えっサタジット・レイ?いやいや、今回紹介するのは『サラーム・ボンベイ!』だ。如何にも踊りだしそうなタイトルだがこれが全く踊らないのだ。
ボンベイのストリート・チルドレンを徹底的にリサーチし、役者も実際のストリート・チルドレンを起用して描いた社会派ドラマだ。
故郷に帰るため、毎日バイトをして暮らす少年。しかし、ボンベイは無法地帯。おつかいを頼まれ、タバコを買うと、そこら中のホームレスやストリート・チルドレンが全力で奪いにくる。
恐喝、強奪は日常茶飯事。警察だって汚職まみれなので、路上で小便しただけで懲役5年の刑をくらう恐れがあるのだ。
ストリート・チルドレンは銀行口座なんか作れるはずがないので、得た金は隠さないといけない。しかし、すぐさま奪われるので、全く故郷に帰る資金が貯まる兆しが見えない。
平和ボケしまくっている日本に住んでいる私はこの地獄絵図に、生きていける自信ねぇと背筋が凍る。マッドマックスなんか、天国だとさえ思えてくる。
インドに興味ある人必見の映画です。
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