【東京国際映画祭特集】「フロッキング」閉鎖された町の陰惨さを暴くスウェーデン産スリラー

フロッキング(2015)
英題:Flocking
スウェーデン題:Flocken

フロッキング

監督:ベアータ・ゴーデーレル
出演:ファティーメ・アゼミ,
ヨン・リスト,
エヴァ・メランデルetc

評価:70点

今月末から始まる第29回
東京国際映画祭(通称:TIFF)

そこのTIFFティーンズ
枠で上映される
スウェーデン産スリラー
「フロッキング」
を事前に観ていたので
今日はその話をします。

「フロッキング」あらすじ

スウェーデンの田舎町。
ある日女子高生が、
「レイプされた!」
と親友である青年を訴える。

しかし、その青年は
「俺はやっていない」と言う。

かくして裁判が始まるのだが、
女子高生は学校でイジメに
遭い、青年の方も
心身共に疲弊していき…

実話をベースにしたドラマ。

とにかく陰惨さが半端ない!

学校や村といった閉鎖された場所では、
イジメが起きやすい。
それは、狭いコミュニティの中では
面白い話題が起きにくいからだ。
先日紹介した「サウダーヂ

」でも、
山梨のギャルたちは厭らしいほど
ゴシップに飢えていた。
人は、他人の幸福よりも実は
不幸の方が好きな生き物なのだが、
それが閉鎖された場所になればなるほど
陰惨になっていくのだ。

さて、本作は実話ベース
ってこともあり、とっても
いや~な映画だ。

女子高生と青年の間に起きた
レイプ事件。その真相を学校の先生や
地方裁判所の人が調査していくのだが、
町中様々な憶測がまあ飛び交うこと飛び交うこと。

「実は女の方が誘ったんじゃね?」
「ゲスの極みっしょ!」
と陰口が嫌でも耳に入る環境。

そして、段々その陰惨さが
エスカレートしていき、
町中の人が女子高生の家に
やってきて、勝手に煽りの
バースデーパーティーを
開いたりするようになる。

青年よりも女子高生の方が
精神どんどん蝕まれていき、
散弾銃(?)を取り出して、
「クズどもぶっ殺してやる」
と連呼するようになる。

色使いにも注目

スウェーデンと聞くと、
IKEAとかのオシャレ家具や
明るい家の
イメージが強いが、
それはスウェーデンの気候に
合わせた工夫である。

スウェーデンは、北国であるため
日照時間がとても短く、
雨もよく降るとのこと。
だからイギリスに近い
薄暗いどよんだ日が多い国である。
それを家具や照明で通常なら
誤魔化すのだが、
本作は最大限その
どよんだ空気感を見せつけているので
終始居心地が悪い。

故に、物語にリアリティが出て、
マジで怖い村社会物語となった。

実際本作は、
ベルリン国際映画祭で
クリスタルベア賞

受賞している。
是非、時間があれば
東京国際映画祭で
挑戦して頂きたい作品である。

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