『クヴェヴリ(ქვევრი)』おいら、壺から出られなくなった

クヴェヴリ(1970)
原題:ქვევრი
英題:The Jug

監督:イラクリ・クヴィリカーゼ
出演:Bukhuti Zakariadze,Henrieta Lejava,Vakhtang Sulakvelidze etc

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ジョージア旅行中、現地の方からオススメされた『クヴェヴリ』を入手したので観た。本作は『ルナ・パパ』の脚本を手がけたイラクリ・クヴィリカーゼのデビュー作である。30分ぐらいの短編とのこと。これが面白かった。

『クヴェヴリ』あらすじ

Gogia buys a new jug in anticipation of the wine harvest, but his daughter accidentally breaks it, leading to comic complications.
訳:ゴーギャンはワインの収穫を前に新しい水差しを購入するが、娘が誤って壊してしまい、コミカルな展開になる。

IMDbより引用

おいら、壺から出られなくなった

大きなクヴェヴリ(壺)が村へ運ばれてくる。おじさんが一休みしていると、青年が敷地に侵入し、クヴェヴリを割ってしまう。業者のおじさんが現れ、割れ目から中へ入り、修理する。職人の仕事は早い。しかし出ようとすると、わがままボディがつっかえてしまい出られなくなってしまう。引っ張っても出られない業者のおっさん。次々と人々が集まり、彼を憐れむようにお茶をご馳走したり、音楽を奏でたりする。これが心地よくて、彼はクヴェヴリ暮らしを満喫しはじめる。それに憤りを感じた、主人は壺を坂から突き落として破壊する。

クヴェヴリの奇妙な形を活かしたコメディ作品となっており、めちゃくちゃ大きいくせに壺の入り口が狭い様子が良いギミックとなっている。この特徴を活かしたショットもある。警察官が壺穴を覗き込む場面では、アイリスのような効果を生み出しているのだ。ラストはドリフのコントかと思うほど大味、ギャグ漫画風の壺破壊オチとなっており、気軽に観られるコメディ映画に仕上がっていた。

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