『ハズバンズ』あの頃の青春はなく、ただ見窄らしいだけ

ハズバンズ(1970)
HUSBANDS

監督:ジョン・カサヴェテス
出演:ベン・ギャザラ、ピーター・フォーク、ジョン・カサヴェテス、ジェニー・リー・ライト、ノエル・カオetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ジョン・カサヴェテスは苦手な監督なのだが、代表作の『ハズバンズ』を観る機会があったから観た。どうやら濱口竜介監督のオールタイムベストらしい。確かに、本作を観ると彼が好きそうな作品といえる。何よりも、今再評価の流れにある作品なのではと感じた。

『ハズバンズ』あらすじ

それぞれ仕事もあり、家庭も持っている3人の中年男、ハリー、ガス、そしてアーチーは親友の死という事件に直面する。ショックを受けた彼らはさんざんバカ騒ぎをするが、悲しみは癒えない。やがて3人はロンドンへ行き、そこで女性を誘惑する。しかし事はうまく運ばない……。そんな騒動の果てに、再び生きる気力を取り戻していく男たちの物語。幾度か編集し直され、サンフランシスコ映画祭で上映されたのは、153分版だった。

映画.comより引用

あの頃の青春はなく、ただ見窄らしいだけ

陰りひとつない晴天下で男たちがマッチョさを魅せつける写真がスライドショーのように捲られていく。そしてそうした日々は終わりを迎えたかのように友人の葬式となる。葬式を前に仲間の3人が集まる。同窓会ともいえる心地よさがあり、街中を駆け巡る。だが、例えばバスケットボールをする場面。ここにどこか退廃的なものがある。運動を始めてはすぐに止まってしまう。あの頃の勢いが失われた気配が垣間見える。これは飲み会の場になっても続き、退廃的な空気が流れる。自分のマッチョさを確かめるように女とセックスしようとする。足掻くのだが、モヤモヤは決して払拭されることなく、男たちはトボトボと家路に着く。この物語の終着点を踏まえると、冒頭がなぜ写真であったのかが分かる。つまり輝ける青春の1ページ、もう手にすることができない固定された過去、それが静止画によって強調されているのである。そして、人生はたとえどん底でも前に進むことしかできない。それが曇天の中動こうとしながら醜態を晒していく男たちによって表現されているのだ。そこまで刺さらなかった作品であるが、即興的でありながら強固な作劇になっている『ハズバンズ』の凄さは心に残るものあった。

※映画.comより画像引用