『ねむの木の詩がきこえる』溢れんばかりの愛情

ねむの木の詩がきこえる(1977)

監督:宮城まり子
出演:宮城まり子、平田安彦、ねむの木学園のこどもたちetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

国立映画アーカイブの特集「日本の女性映画人(2)――1970-1980年代」でずっと観たかった『ねむの木の詩がきこえる』が上映されるということなので足を運んでみた。最近、ニコラ・フィリベールのドキュメンタリーを観ていたので同じようなテイストかと思っていたら、異様な空気が流れる代物であった。

『ねむの木の詩がきこえる』概要

歌手や女優としての活躍を経て、肢体不自由児などの養護施設「ねむの木学園」を設立した宮城まり子が監督したドキュメンタリーの2作目。自閉症を持つ少年の成長を主軸に学園の日常を見つめ、ソフトフォーカスを基調に詩情豊かな映像詩として表現している。

※国立映画アーカイブより引用

溢れんばかりの愛情

砂丘の中、女性が去っていくと、ソフトフォーカスによる回想のような空間の中「ねむの木学園」の一年を捉えていく。『窓ぎわのトットちゃん』に出てきた電車型の校舎みたいなのがある。先生たちは、障がいを抱えた子どもたちにありったけの愛情を注ぐ。それがもはや狂気のように思えてくる。脳裏に焼きつくコロッケの詩。犬になりきり過剰なスキンシップを取る。挙げ句の果てには舌を言葉が話せない子どもの口に入れ始める。今の時代じゃコンプライアンス的にアウトな程、異常な間合いでスキンシップを撮ってくるのだが、そうでもしないと子どもたちが幸せにならないという強い意志を感じさせられる。それゆえに宗教映画を観ているかのような異質さが本作にはあった。

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