【東京国際映画祭】『This Is What I Remember』神の施しには及びません

This Is What I Remember(2022)

監督:アクタン・アリム・クバト
出演:アクタン・アリム・クバト、ミルラン・アブディカリコフ、タアライカン・アバゾバetc

評価:40点


おはようございます、チェ・ブンブンです。

第35回東京国際映画祭コンペティション部門で上映されたキルギス映画『This Is What I Remember』を観た。オープニングクレジットで「ビターズエンド」と表記されており、どうやら制作に日本もかかわっている作品のようだ。『馬を放つ』が結構面白かったので期待していたのだが、そこまで爆発力はなかった。

『This Is What I Remember』あらすじ

『馬を放つ』(17)で知られるキルギスを代表する映画作家アクタン・アリム・クバトの最新作。ロシアに出稼ぎに行っている間に記憶を失い、20年ぶりにキルギスに戻ってきた男とその家族を描くドラマ。

※第35回東京国際映画祭より引用

神の施しには及びません

20年も行方知らずだった男が記憶を失った状態で帰ってくる。家族や村人が彼の面倒をみる内容となっている。『馬を放つ』に引き続き、広大な大地を背にユニークな会話を魅せていくのが特徴的だ。例えば、寄附を募っている男が出資者に対して「神の施しには及びません」と煽り始めてキレられるようなシーンがある。また、記憶を失うも、かつての習慣は覚えているらしく、ゴミをトラックに次々と詰め込もうとし、それを阻止しようとする攻防といった運動的面白さもある。しかし、全体としてキルギスを舞台に撮ったホームビデオの印象が強い。見所ある画は多いし笑える場面もあるのだが、全体的に点を並べただけで、その並べ方に魅力を感じなかった。

ひょっとしたら映画祭疲れで退屈さを覚えただけかもしれない。

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※第35回東京国際映画祭より画像引用