『ザ・ビースト』村社会は怖いよ

ザ・ビースト(2022)
英題:The Beasts
原題:As Bestas

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第35回東京国際映画祭で上映される『ザ・ビースト』を観ました。

『ザ・ビースト』あらすじ

スペイン、ガリシア地方の人里離れた山間の村を舞台に、移住して農耕生活を始めたフランス人の中年夫婦が直面する、地元の有力者の一家との軋轢をパワフルな演出で描いた重厚な心理スリラー。

※第35回東京国際映画祭より引用

村社会は怖いよ


時折、都会に住む者が地方に移り住むも、村人たちに受け入れてもらえず、嫌がらせを受け、警察も相手してくれないという話を聞く。

『おもかげ』のロドリゴ・ソロゴイェン監督が放つ新作は、その陰鬱さに迫る作品である。フランス人の初老と思しき夫婦がガリシア州の片田舎に引っ越してきて、農業を始める。しかし、近所に住む男たちが嫌がらせをしてくる。「フランス野郎」と罵声を浴びせ、敷地内に瓶を不法投棄する。常にレベル75~90の嫌がらせをしてくるのだ。

夫婦は警察に助けを求める。しかし、彼らの力が強く相手にしてくれない。「そんなに嫌ならふるさとに帰れば」とまで言われてしまうのだ。

この地味な嫌がらせにより、ストレスが溜まり、常に「あいつがいる」と警戒しなければいけないフラストレーションを2時間以上に渡って描いている。その生々しさはホラー映画級に怖いものがあり、逃げ場のなさに居た堪れなくなっていく。

本作で注目すべきポイントは、この夫婦がフランス人にもかかわらず、周囲の人との会話はスペイン語で行うのだ。フランス人といえば、フランス語に誇りを持っていて、あまり他の言語に歩み寄らないイメージがあるが、そのイメージから降りてもなお嫌がらせを受ける世界を描いているので凶悪度が高い。

一方で、地方の人をあまりに露悪的に描いているので好き嫌いはかなり分かれることでしょう。私は、リアルな心理サスペンスとして楽しんだ。

第35回東京国際映画祭ではどのように受け入れられるのか楽しみである。

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※第35回東京国際映画祭サイトより画像引用

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