ÎNTREGALDE(2021)
監督:ラドゥ・ムンテアン
出演:Maria Popistasu,Ilona Brezoianu,Alex Bogdan etc
評価:60点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
上半期ベストの追い込みにルーマニア映画『ÎNTREGALDE』を観ました。ラドゥ・ムンテアン監督作はてっきり日本公開されていないと思っていたのですが、『不倫期限』が恐らくビデオスルーですが日本に来ていたようです。よくある官能映画として買われてスルーしたパターンだろうか。さて、ルーマニア映画といえば社会問題の鋭い考察が特徴的だが果たして。
『ÎNTREGALDE』あらすじ
A group of people on a humanitarian mission arrive in a remote area of Transylvania to offer the inhabitants various goods. Apart from a few quarrels and conflicts between the group members, everything seems to be going well for Maria and Dan. But soon after they stumble upon a disoriented local and try to help him, things go wrong.
訳:トランシルヴァニアの辺境に、人道的使命を帯びた一団がやってきて、住民にさまざまな物資を提供する。メンバー同士のいさかいや衝突を除けば、マリアとダンはすべてがうまくいっているように見えた。しかし、ある日、混乱した住民に遭遇し、彼を助けようとしたところ、事態は一変する。
一方通行の善意、どん詰まり中
フードバンクでボランティアをしている3人が車を走らせていると老人が現れる。助けを求めているが、3人はそこまで乗り気ではない。しかし、しょうがなく老人の言われた道に道を走らせると、車が泥沼にハマってしまい、彼らの善意が試されることとなる。本作は3部構成となっており、森で泥にハマってしまうパート。暗闇で車に籠城するパート。そして雪景色の中ドラマが進行するパートに分かれている。そして第1部が非常に面白い。構図がよくできており、まず泥に覆われたオンボロ車のヴィジュアルが魅力的だ。ボランティアとして車を動かしているけれども、その善意の車は汚れている。これは主人公たちの心の荒みを象徴しているようだ。閉塞感ある社会で、かろうじて善意を持ち合わせている者が貧しき者に支援しているのだ。ただでさえ、精神が荒んでいる中、修羅場がやってきたらどうなるのか?本能が炙り出されるだろう。老人のせいで、車が泥沼にハマってしまい、それを脱しようとする中で話がこじれていく。全員、人助けをするベクトルは同じであるが微妙に思想や哲学が異なる。修羅場を前にし対立せざる得なくなるのだ。光が差し込んでいるのに、画面の向こうにいるこの映画を観る者にまで腐敗臭が漂ってくるような不快感の中、どんどん関係性がこじれていく痛ましさ。その導入としての第1部が面白かった。一方、第2部があまりに暗すぎてよく分からなかったのが残念なところでもあった。
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