【アマプラ】『ずっと独身でいるつもり?』消費される女性の人生

ずっと独身でいるつもり?(2021)

監督:ふくだももこ
出演:田中みな実、市川実和子、松村沙友理、徳永えり、稲葉友、松澤匠、山口紗弥、加藤井隆、橋爪淳、筒井真理子etc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

20代後半になってくると、学生時代の同級生が結婚してくる。久しぶりに友人に会えば、恋愛や結婚の話になる。会社や美容室など、行くところで恋愛の進捗を訊かれる。それが私は嫌いだ。つまんねぇし、どうでもいいと思っているからだ。映画や世界遺産、趣味にひたむきになっている人の話を聞きたいと思っている私はうんざりする。そもそも恋愛の話になった途端、土足で足を踏み入れる点に無頓着なのはどうかしている。そして年配の人に「最近の人は恋愛しないし、恋愛の話をするとハラスメントにつながるよ」と話しても、ドン引きされたり少子化を憂いたりと面倒なことになる。だから私は適当に流している。さて、昨年興味深い映画が公開された。『ずっと独身でいるつもり?』である。残念ながら劇場観賞は叶わなかったが、Amazon Prime Videoで配信されていたので観てみました。これは確かに粗はあれども、今の世に必要な作品であった。

『ずっと独身でいるつもり?』あらすじ

フリーアナウンサーでドラマやCMなど多方面で話題をふりまく田中みな実が映画初主演を果たし、おかざき真里の同名コミックを実写映画化。10年前に執筆したエッセイが異例のヒットを記録し、一躍有名作家となった36歳の本田まみ。女性の人生における幸せの価値を赤裸々につづって読者の支持を得てきたが、続くヒット作を出すことができずにいる。世間から求められるままに配信番組のコメンテーターを務めるなど作家として迷走する一方で、周囲からは事あるごとに独身であることを心配されている。年下の恋人とは結婚に向けて交際を続けているが、価値観の違いから不安と怒りが募っていく。周囲の雑音に傷つき、揺れながらも、自分にとっての幸せの形を見つけ出そうとする彼女だったが……。監督は「おいしい家族」「君が世界のはじまり」のふくだももこ。

※映画.comより引用

消費される女性の人生


本田まみ(田中みな実)36歳。エッセイ「都会というサバンナで、一人で咲く花になろう」を出版しヒットした。ライターとして活動するものの、これといった代表作が生まれていない。冒頭のバラエティ番組「ずっと独身でいるつもり?」。MCは「都会というサバンナで、一人で咲く花になろう」を出しに「もう10年ですね」とこする。擦り倒されているせいか、本田まみはぎこちない笑みを浮かべながら言葉を絞り出す。パパ活女子に対してコメントを求められ困惑気味に答える。それを、スポーツジムで見る女性・由紀乃(市川実和子)と、家事に明け暮れながら見る女性・彩佳(徳永えり)がいる。これだけで、ふくだももこの社会に対する強い表象を感じる。特に、食器を洗う女性の目線の先にいる子どもと戯れる夫との距離感。どこか『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン』を彷彿とさせるドライさがある。そして後に、子どもと戯れるだけが育児と勘違いしているイクメンにぼやく場面がある。すでに冒頭数分から不穏だ。

本田まみに戻すと、いつの間にか30代となり周りは結婚している。親からは、「いつ結婚するの?」と干渉受けたりするがやんわり回避している。だがある日、年下の男性から「結婚しよう」と言われたことでそれに乗ってみることにする。結婚したら干渉の呪縛から解放されるのか?しかし、結婚の準備を進める中で、病院での検査に付き合ってくれなかったり、パーティーでの彼の態度を見るに勲章として扱われていることに少しずつ疑問を抱いていく。

本作は、確かに日本閉塞感ものにありがちな叫ぶタイプの作品だ。そして、日本のバラエティ番組やテレビドラマに対する毒を、過度に誇張した演出で描いている。ただでさえバラエティ番組やテレビドラマでの演技は大袈裟になりがちなのがヒートアップしてしまっているため、観ていてキツいものがある。また、本田まみ意外のエピソードが、女性の辛さを並べているだけで深くまで掘り下げられていないような気もしたりする。今の時代に合わせるなら、合コンよりもマッチングアプリでのエピソードが必要な気もする。改善点が多い映画であることは間違いない。しかし、そうした欠点含めて本作は重要であると思う。男である私ですら、周囲の醜悪な恋愛至上主義、結婚至上主義に嫌悪と苦しみを感じている。女性になると、その痛みは更に強いだろう。そのような辛さを表象する。特に本田まみの人生の停滞、不快な絡みからやんわり逃げるように結婚を選び、さらなる痛みを感じるも自ら抑圧し表面化しない辛さを描いた点非常に良かったと思う。本作を観ると、女性がいかに恋愛や結婚において他者から干渉され、エンターテイメントとして消費されてしまっているかがよく分かる。これは社会で変えていかないといけない部分だと感じました。

雨宮まみの原作にも興味が出てきました。

※映画.comより画像引用