【NETFLIX】『JJ+E』スウェーデンのロミオとジュリエット

JJ+E(2021)
Vinterviken

監督:アレクシス・アルムストロム
出演:マグヌス・クレッペル、マーリカ・ラーゲルクランツ、ロリーン、エルサ・オーン、ムスタファ・アーラブ、ヨナイ・ピネダ・スカラックetc

評価:70点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

NETFLIXのマイナー作品に力を入れている。調べていたら『JJ+E』という不思議なタイトルの作品を見つけました。これは登場人物ヨンヨンとエリザベスの名前から取ったタイトルで二人の恋愛物語となっています。ラブストーリーはあまり観ないので、刺激を入れるべく観てみました。

『JJ+E』あらすじ

同じ街に住みながら、まったく異なる世界に生きるエリザベスとヨンヨン。初めての恋に胸を焦がす若い2人は、社会階級や文化の壁を乗り越えられるのか?

※Netflixより引用

スウェーデンのロミオとジュリエット

スウェーデンは移民や難民受け入れ反対の動きが強いデンマークに対して、寛容的にシリア、イラク、アフガニスタンなどの難民を受け入れてきた。しかし財政負担と治安悪化に伴い、苦境に立たされている。実際にスウェーデン初の女性首相マグダレナ・アンデションが2021年の演説で難民・移民に対して働くか進学するよう呼びかけ、スウェーデン語を勉強するよう訴えていることからも分かる。そんなスウェーデンにおいて、市民の断絶の空気を捉えたのが『JJ+E』である。主人公ヨンヨン(ムスタファ・アーラブ)は移民コミュニティの中で生活していた。ボートに乗って遊ぶと、スウェーデン人の生活が見える。崖の上で優雅に暮らすスウェーデン人に羨望の眼差しを向けていると、崖から飛び降りた女の子がなかなか海から出てこないことに気づく。海に飛び込み彼女を救助するヨンヨン。彼女の父に感謝され家に招かれる。家族のエリザベス(エルサ・オーン)は不信な顔でヨンヨンを見つめる。そこから徐々に親密になっていくが、生活圏の異なる二人は引き裂かれそうになる。映画を観ると、露骨に移民に対して嫌な顔をするスウェーデン人と、居心地の悪さから移民同士固まって停滞する人生が交差する。スウェーデンは移民に寛容で、教育水準も高く上手く政策が運用されているのかと思うと、実際には断絶が生じている。映画は異国の文化を知るきっかけになるが、今のスウェーデンの温度感を知ることができる作品と言えよう。

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※Netflixより画像引用