echoes(エコーズ)(2000)
ECHOES
監督:舩橋淳
出演:エデン・ラウントゥリー、パオロ・パグリアコロ、アリソン・ライト、ボビー・ソベル、ジョー・マリーノetc
評価:40点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
サンクスシアターで先日、舩橋淳監督の『ポルトの恋人たち〜時の記憶』を観たのですが、マノエル・ド・オリヴェイラを意識している癖に録音が壊滅的で、屋外のシーンにもかかわらず室内のこもった音が立ち込めておりガッカリした。海外被れのイキリ監督なのかなと思ってしまった。さて、そんな彼がニューヨークの映画学校で作った卒業制作『echoes(エコーズ)』を観ました。
『echoes(エコーズ)』あらすじ
ニューヨークで生活する映像作家・舩橋淳の初の長編作品。ニューヨークの若者たちの孤独とさまよいを繊細に描写している。
※映画.comより引用
ジャームッシュ被れ
私が悪かった。完全に観るタイミングが悪かった。これが高校時代、大学時代に観たら、モラトリアムな青春をモノトーンな世界に凝縮された本作を「カッコいい」という一言で片付けられたのかもしれない。だが、私は知り過ぎてしまった。映画好き若手監督がカッコつけたシーンを作る時、意識的/無意識的問わず、オマージュしている映画が透けて見えてしまうようになった今、あまりに露骨に映し出される『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『ママと娼婦』、フィリップ・ガレルの作品群のイメージが私を辛くさせた。
アート映画のカッコいいシーンをパッチワークのように切り貼りしているようにしか見えず、この映画のカッコよさは舩橋淳がモノにしたカッコよさというよりも往年の監督の作るカッコよさをそのまま流用したようにしか見えなかった。
とはいっても痺れる場面は少しはある。車に乗る男たち、フロントガラスからチャリンコに乗った女性が手をかけ動きながら話す。この場面だけは、舩橋淳の個性が見えた。
それ以外は、「日本人監督がアメリカで撮ったインディーズ映画」というアイデンティティがなければ簡単に埋れてしまうであろう凡庸な作品でありました。
※MovieWalkerより画像引用
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