CHE BUNBUNの第92回アカデミー賞受賞予想

第92回アカデミー賞受賞予想

いよいよ明日、第92回アカデミー賞授賞式ですね。とはいっても、今年はどうもあまりアカデミー賞には興味が持てず、どちらかといえばベルリン国際映画祭や、東京で開催されるトーキョーノーザンライツフェスティバル、イスラーム映画祭、アンスティチュフランセ特集上映群に恵比寿映像祭のことで頭いっぱいなのであります。でも折角の祭。今年も有給をとって映画仲間とアカデミー賞授賞式を観戦する予定です。

というわけで、例年以上にテンション低めの受賞予想をしていきます。尚、今年も大抵の映画は事前に鑑賞済みなので、下線の引いてある作品はブンブンのレビューに飛べます。さて、備忘録がわりに書いていくとしよう。

作品賞 予想:『1917 命をかけた伝令』

本作はIMAXで観たいので未見なのですが、作品のクオリティで言えば明らかに『パラサイト 半地下の家族』の方が上なはず。しかし、ただでさえ韓国映画が国際映画賞(旧外国語映画賞)にノミネートしたのが史上初なのに、それが作品賞を獲るのは考えにくい。今までも国際映画賞ノミネート作品が作品賞にもノミネートするケースはありましたがいずれも、受賞には至らなかったことを考えると『1917 命をかけた伝令』が受賞することでしょう。また、ブンブンの作品賞予想は毎年二択で悩んで外すのが定番なので、『パラサイト 半地下の家族』に獲って欲しい想いも込めて『1917 命をかけた伝令』にベットしました。

ノミネートは下記
フォードvsフェラーリ
アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
ジョーカー
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
マリッジ・ストーリー
『1917 命をかけた伝令』
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
パラサイト 半地下の家族

監督賞 予想:サム・メンデス

『パラサイト 半地下の家族』は確かにアメリカでも大絶賛されているのですが、今まで韓国映画を露骨に毛嫌いしてきたハリウッドがそう易々と監督賞をポン・ジュノに渡すとは考えにくい。だとしたら、『バードマン(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と同じ展開。ズバリ擬似ワンカット映画が作品賞と監督賞を掻っ攫う展開になってくると考えることができる。ワンカットは例え、擬似であっても製作の苦労が見えるので業界人は評価したくなるものなのです。

ノミネートは下記
マーティン・スコセッシ(『アイリッシュマン』)
トッド・フィリップス(『ジョーカー』)
サム・メンデス(『1917 命をかけた伝令』)
クエンティン・タランティーノ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
ポン・ジュノ(『パラサイト 半地下の家族』)

主演男優賞 予想:ホアキン・フェニックス

ハリウッドの問題児ホアキン・フェニックスは『ザ・マスター』から復活して、狂人を演じまくってきた。もはや誰にも真似できない狂人っぷりとジョーカーが悪魔合体し、笑っているのか泣いているのか分からない見事なクラウンを演じきった彼の演技、流石に評価されるべきでしょう。他の候補者、そこまで強くないですしね。

ノミネートは下記
アントニオ・バンデラス(『ペイン・アンド・グローリー』)
レオナルド・ディカプリオ(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
アダム・ドライヴァー(『マリッジ・ストーリー』)
ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』)
ジョナサン・プライス(『2人のローマ教皇』 )

主演女優賞 予想:レネー・ゼルウィガー

正直、よく分からない。実在する人物を演じるとアカデミー賞は受賞しやすい。ジュディ・ガーランドの悲哀を演じきったレネー・ゼルウィガーは2010年以降ハリウッドから離れていた経験をジュディ・ガーランドに投影し味わい深いものにしていった。この技術が評価されるのではないでしょうか。

ノミネートは下記
シンシア・エリヴォ(『ハリエット』)
スカーレット・ヨハンソン(『マリッジ・ストーリー』)
シアーシャ・ローナン(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)
シャーリーズ・セロン(『スキャンダル』)
レネー・ゼルウィガー(『ジュディ 虹の彼方に』)

助演男優賞 予想:ブラッド・ピット

立っているだけで様になる、レオナルド・ディカプリオ演じるスランプ俳優の分身を演じきったブラッド・ピットが受賞することでしょう。

ノミネートは下記
トム・ハンクス(『A Beautiful Day in the Neighborhood』)
アンソニー・ホプキンス(『2人のローマ教皇』)
アル・パチーノ(『アイリッシュマン』)
ジョー・ペシ(『アイリッシュマン』)
ブラッド・ピット(『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)

助演女優賞 予想:ローラ・ダーン

前哨戦の流れからすると、ローラ・ダーンの模様。ただ、正直『マリッジ・ストーリー』でそこまで印象なかったんですよね…

ノミネートは下記
キャシー・ベイツ(『リチャード・ジュエル』)
ローラ・ダーン(『マリッジ・ストーリー』)
スカーレット・ヨハンソン(『ジョジョ・ラビット』)
フローレンス・ピュー(『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』)
マーゴット・ロビー(『スキャンダル』)

脚本賞 予想:『パラサイト 半地下の家族』

超絶技巧の『パラサイト 半地下の家族』の脚本に勝てる作品はあるのか?一応、作品賞は脚本/脚色賞と連動していると言われているが、今回は不一致になるのではと予想。

ノミネートは下記
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
『マリッジ・ストーリー』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『パラサイト 半地下の家族』

脚色賞 予想:『アイリッシュマン』

正直、小粒が多いイメージ。強いて言えば『アイリッシュマン』か『ジョーカー』かといったところだ。

ノミネートは下記
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『2人のローマ教皇』

長編アニメ映画賞 予想:『トイ・ストーリー4』

この部門ほど信頼できないものはない。どうせディズニーでしょ、ピクサーでしょ。でも、たまには『クロース』とか『失くした体』にあげたっていいじゃないですか!

ノミネートは下記
ヒックとドラゴン 聖地への冒険
失くした体
クロース
ミッシング・リンク
トイ・ストーリー4

国際長編映画賞 予想:『パラサイト 半地下の家族』

もし、作品賞が『パラサイト 半地下の家族』になるのなら、この賞は『レ・ミゼラブル』に譲られるでしょう。ただ、99%『パラサイト 半地下の家族』で決まりです。

ノミネートは下記
『Corpus Christi』
ハニーランド 永遠の谷
『レ・ミゼラブル』
『ペイン・アンド・グローリー』
『パラサイト 半地下の家族』

長編ドキュメンタリー映画賞 予想:『娘は戦場で生まれた』

今年の長編ドキュメンタリー賞は異様にレベルが高い。どれも面白い作品となっている。実はオバマ前米国大統領がミシェル・オバマと共に立ち上げた製作会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションズが製作した現代資本主義の恐怖を描いた『アメリカン・ファクトリー』。女性監督ペトラ・コスタがブラジルの汚職を暴いた骨太ドキュメンタリー『ブラジル -消えゆく民主主義-』にシリアものが2本、そして北マケドニアの奥地の文化と移民の関係を描いた『ハニーランド 永遠の谷』と役者は揃った。雰囲気『アメリカン・ファクトリー』優勢だが、見た目のインパクトが強く、今のイランと緊張関係にあるアメリカの今を考えると急遽『娘は戦場で生まれた』が逆転優勝する可能性があるのではと考え始めた。個人的には『The Cave』派なのですが、シリア系で選ばれるのなら『娘は戦場で生まれた』だろう。

ノミネートは下記
アメリカン・ファクトリー
The Cave
ブラジル -消えゆく民主主義-
娘は戦場で生まれた
『ハニーランド 永遠の谷』

短編ドキュメンタリー映画賞 予想:『Learning to Skateboard in a Warzone』

セウォル号事件を描いたもう一つの韓国映画ノミニー『In the Absence』かアフガニスタンの女性に読み書き、そしてスケートボードを教える非営利団体Skateistanを追ったドキュメンタリー『Learning to Skateboard in a Warzone』かでしょう。そして明らかに後者が強い。アフガニスタンは、女性が自転車に乗るのをタブーとしてきた国。男尊女卑が激しいアフガニスタンにおいてスケートボードを教えることとはどういうことなのか?知的好奇心と社会問題への関心を掻き立ててくれる作品だ。

ノミネートは下記
『In the Absence』
『Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl)』
『眠りに生きる子供たち』
『St. Louis Superman』
『Walk Run Cha-Cha』

短編映画賞 予想:『Saria』

『A Sister』しか観ていないのでなんとも言えない。『A Sister』は男に連れられた女性が彼の真横で緊急ダイヤルを繋ぎ、助けを求める内容。とても面白かったが、『THE GUILTY/ギルティ』が存在する今、あまりユニークさを感じられないのかもしれない。そう考えると、もっともパワフルな予告編だった『Saria』が最有力かなー

ノミネートは下記
『Brotherhood』
『Nefta Football Club』
『The Neighbor’s Window』
『Saria』
『A Sister』

短編アニメ映画賞 予想:『Kitbull』

まあ、ここはピクサーが獲るでしょう。(ストップモーションアニメの『Dcera (Daughter)』が狂ったカメラワークでブンブン好みです。)

ノミネートは下記
『Dcera (Daughter)』
『Hair Love』
『Kitbull』
『Memorable』
『Sister』

作曲賞 予想:ヒドゥル・グドナドッティル

ヨハン・ヨハンソンの意志を継ぐアイスランドの作曲家ヒドゥル・グドナドッティルが現在最有力。ゴールデングローブ賞も受賞済みです。

ノミネートは下記
『ジョーカー』(ヒドゥル・グドナドッティル)
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(アレクサンドル・デスプラ)
『マリッジ・ストーリー』(ランディ・ニューマン)
『1917 命をかけた伝令』(トーマス・ニューマン)
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(ジョン・ウィリアムズ)

歌曲賞 予想:『イントゥ・ジ・アンノウン』

松たか子がアカデミー賞授賞式の宴に参加するんだって。この力の入れようは、受賞確実なのでは?

ノミネートは下記
「君のため」(『トイ・ストーリー4』)
「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」(『ロケットマン』)
「I’m Standing with You」(『Breakthrough』)
「イントゥ・ジ・アンノウン」(『アナと雪の女王2』)
「Stand Up」(『ハリエット』)

音響編集賞 予想:『フォードvsフェラーリ』

録音した音を巧みに組み合わせて映画を盛り上げる…そんな音響編集賞の名にふさわしいのは、『フォードvsフェラーリ』のはず。

ノミネートは下記
『フォードvsフェラーリ』
『ジョーカー』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

録音賞 予想:『1917 命をかけた伝令』

録音の大変さでいったら、擬似ワンカット映画『1917 命をかけた伝令』の出番でしょう。

ノミネートは下記
アド・アストラ
『フォードvsフェラーリ』
『ジョーカー』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

美術賞 予想:『パラサイト 半地下の家族』

韓国映画はマーケティングが凄い!そしてアカデミー賞攻略のための宣伝活動もなかなか鋭い。メイキングで、本作の家や街の多くがセットであることを積極的にアピールしているのでこれは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を倒して受賞できるのでは?

ノミネートは下記
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
『パラサイト 半地下の家族』

撮影賞 予想:ロジャー・ディーキンス

まあ、擬似ワンカットだよねー

ノミネートは下記
『アイリッシュマン』
『ジョーカー』
The Lighthouse
『1917 命をかけた伝令』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

メイクアップ&ヘアスタイリング賞 予想:『スキャンダル』

今年は珍しくノミネート作品数が多いメイクアップ&ヘアスタイリング賞ですが、『ウィンストン・チャーチル』で同賞を受賞し、『シェイプ・オブ・ウォーター』のクリーチャー造形を手がけたカズ・ヒロ(辻一弘)が携わっている『スキャンダル』が優勢だと思われる。

ノミネートは下記
『スキャンダル』
『ジョーカー』
『ジュディ 虹の彼方に』
『マレフィセント2』
『1917 命をかけた伝令』

衣装デザイン賞 予想:『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

『キングスマン』シリーズやトム・フォードの映画でビシッと決まったファッションを手がけたアリアンヌ・フィリップスが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のファッションで初受賞すると見た。

ノミネートは下記
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

編集賞 予想:『フォードvsフェラーリ』

2時間半、レースシーンと池井戸潤的サラリーマン物語をまとめきった『フォードvsフェラーリ』 が強いでしょう。

ノミネートは下記
『フォードvsフェラーリ』
『アイリッシュマン』
『ジョジョ・ラビット』
『ジョーカー』
『パラサイト 半地下の家族』

視覚効果賞 予想:『ライオン・キング』

VRの世界で映画を撮るといった今風の撮影を行った『ライオン・キング』に軍配が上がりそうだ。

ノミネートは下記
アベンジャーズ/エンドゲーム
『アイリッシュマン』
ライオン・キング
『1917 命をかけた伝令』
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』

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