【ネタバレ】『映画 おかあさんといっしょ はじめての大冒険』独身男性単身、日本最古のシネコンで観てみた

映画 おかあさんといっしょ はじめての大冒険(2018)

プロデューサー(本作には監督が存在しない):古屋光昭、高橋信一
出演:花田ゆういちろう、小野あつこ、小林よしひさ、
上原りさ、満島真之介、西川貴教、
関根麻里etc

評価:80点

あの誰しもが幼少期に通過したであろう、親になって通過したであろう教育番組『おかあさんといっしょ』がまさかの映画化!

もう一度言う。『おかあさんといっしょ』が映画化した。『おげんさんといっしょ』ではない。

多分、多くの映画ファンは気になっているだろう。しかし、ただならぬ抵抗感から劇場に足が向かないであろう。

そこで、私チェ・ブンブン単身で観てきた。サクリファイスとして挑戦して来た。舞台は日本最古のシネコンだと言われているイオンシネマ海老名。それもルーカスフィルム(厳密にはルーカスフィルムの一部門から派生した会社THX)公認のスクリーンで観てきた。

映画ファン歴10年だが、タイトル通りはじめての大冒険。予告編すら観ていないので、何が起こるか予想もつかない。ひょっとしたら、脳が溶けるかもしれないが、このFantastic Voyageに身を任せてみました。

そしてこれが傑作だった。そして、大人である私も絶叫したくなる程の絶叫推奨映画でした。ってことで、Filmarksにはネタバレなしでガッツリ書いたので、ここではネタバレありで、本作で起きた衝撃的体験を書いていく。

『映画 おかあさんといっしょ はじめての大冒険』あらすじ

1959年から放送されているNHK教育番組『おかあさんといっしょ』待望(?)の初映画化!スタジオを飛び出したおにいさん、おねえさんは荒野を彷徨う。そこにバスが到着。彼らは誘われるようにしてバスに乗った。そのバスは、各停留所で乗り物に乗れる、ぶらり途中下車の旅推奨のバスで…一方ガラピコぷ~の一味は、とある星に降り立ち、戦争に巻き込まれる…

衝撃ポイント1:劇場内が明るい

幼児向けの映画は『アンパンマン』もそうなんだけれども、劇場内が比較的明るく、音量も下げて上映される。しかし、今回行ったイオンシネマ海老名では、もはや幕間の時よりも明るかった。まるで野外上映のような雰囲気で上映される本編。それを想定してなのか、本編では基本的に暗い場面はなく、非常に明るいシーンしかない。先日観た『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』では割と暗いシーンがあったので、劇場内は割と暗めだったことがよく分かる。

また、予告編の時は、「幾ら何でも音が小さすぎるのでは?映画泥棒のメロディすらほとんど聞こえないぞ」と思っていたのだが、本編の音はしっかり調整されている。うるさくない程度に、でも子どもたちが和気藹々と歌って踊って楽しめるようにチューニングされています。

衝撃ポイント2:前説が素晴らしい!


本作では、導入として歌のおにいさん、おねえさんの前説から始まります。「こんにちわー」と劇場内の子ども達に話しかける。1才にして第四の壁を意識させる。それにしても、このおにいさん、おねえさんの盛り上げ方、どこかで観たことがある。なんだろうなと思ったら、『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』や『バーフバリ』の絶叫・応援上映の運営でお馴染みV8J絶叫上映企画チーム(@V8Japan)の前説そのものだった。観客が、臆することなく映画の世界に没入できるよう。周りの今日初めて出会う人とのシンクロ率をあげるようにガソリンを注入する感じが非常に似ていた。まさに1才からの絶叫上映なんじゃないのか?

衝撃ポイント3:おにいさんのフィジカルに思わずどよめき

これはお母さん、お父さんが驚いていたことなのだが、花田ゆういちろう、小野あつこ、小林よしひさ、上原りさのフィジカルが凄まじいのだ。笑顔で歌いながら、いきなり人間跳び箱をしたり、身体をグニャングニャン動かす。その様子にデヴィッド・バーンの面影を感じる。運動音痴なブンブンも、この思わぬ不意打ち、意外にもハードな身体の動きに思わず「おー」と唸らされてしまった。
しかも、さりげなくゲストおにいさんとして満島真之介が参戦しているのだ!おいおい、今年の彼のキャリアおかしいぞ!『クソ野郎と美しき世界(ピアニストを撃つな!)』、『君が君で君だ』、『止められるか、俺たちを』そして本作…どうかしていますwそして彼も意気揚々とスクリーンを跳ね回っている。

衝撃ポイント4:NON STOP!失速しない展開!

キッズは、集中力がない。フランスの哲学者ポール・ジャネによると、人間の体感時間はy=1/xで求められるとのこと。xには年齢が入り、年を取れば取るほど1日が短く感じるのだ。つまり、幼児にとって数分は数十倍永い時間なのだ。故に、この手の映画はNON STOPで子ども達が飽きないような工夫をする必要がある。ってことで、本作では前半の実写パートで、徹底的に音楽を挿入している。キャッチーな音楽をラーメン二郎のようにマシマシで載せていく。まさに『マンマ・ミーア!』方式だ。ストーリー性は、後半のアニメ『ガラピコぷ〜』に託す。目まぐるしく変わる音楽と、展開にキッズは興奮していました。

衝撃ポイント5:JAL全面協力!パイロットの仕事を疑似体験できる!

↑これの100倍の臨場感があります。

これは大人も、特に男も惹かれるであろう。本作は、乗り物に乗る為にぶらり途中下車の旅をする話となっている。田園地帯なのに、飛行機を見て、「あれに乗りたい!」と言い始め、猛ダッシュで空港へ。そして、何が繰り広げられるかというと…JAL全面バックアップの仕事紹介ムービーだ。JALの研修施設内にあるフライトシュミレーターに、おにいさんとおねえさんが挑戦する。大画面で観る、フライトシュミレーターは、本当に飛行機を操縦しているような高揚感がある。この魅力的なシーンを観てしまったら、「パイロットになりたい」ということ間違いなしだ。このまま『トップ・ガン』なんか続けて魅せたら、確実にパイロットに目覚めてしまうであろう。

衝撃ポイント6:6分のインターミッション

本作は幼児の体感時間を計算して作られているので、劇中にインターミッションがあります。基本的にこの手の映画は上映時間を1時間以内にすることで、インターミッションを設けていないのだが、『映画 おかあさんといっしょ』は80分上映時間があるので、劇中6分間の途中休憩があります。この6分休憩の映像がこれまた惹き込まれる。田舎風景を走る電車が走るのだが飽きることのない美しさがあった。

衝撃ポイント7:映才教育!戦争のメカニズムを教えてくれる

そして、休憩後には『ガラピコぷ〜』のアニメが始まる。『ガラピコぷ〜』とは、我々ブンブンの世代における『ぐ〜チョコランタン』にあたるもの。いつの間にか代替わりしていました。さりげなく、イケメンカモメ・グースー急便のスキッパーの声をT.M.Revolutionの西川貴教がノリノリで演じていて大草原不可避だ(今にも、YO!SAY夏が 胸を刺激する ナマ足魅惑のマーメイド〜と歌い出しそうだ)。今回は、アニメ映画として、とある惑星のテーマパークに遊びに来たガラピコぷ〜が、廃墟となった村に流れ着き、そこで憎悪と戦争のメカニズムを知るという内容になっている。意外と、この手の映画のドラマはアンパンマン然りハードだったりする。赦しを与えなかったが故に、血で血を洗うロボットと部族間での戦争が勃発してしまう様子がシリアスに描かれる。あまりの悲しさに、泣き出す子どももいるが、ここは抜群のバランス感覚で盛り上げる。

余談だが、このアニメのゲストヒロイン・イオの声は関根麻里が、ヴィラン・ゴムリの声を横山だいすけが演じている。

衝撃ポイント8:手数の多いHELP ME

キッズが絶望したまま劇場を出ないように、またハードな内容に飽きてしまわないように劇中のバトルシーンでガラピコぷ〜一味が、キッズに助けを求めてくる。敵が仕掛けるナゾナゾに対して「答えを教えて〜」と言って来たり(コナンのナゾナゾと比べると簡単です)、「大きな声で『こんにちわー』っと叫んで!」と言ってくる。しんみり展開に落ち込んでいたキッズは、一気にテンションが上がる。まだスクリーンの中におにいさんと、おねえさんがいるのではと思っている。映画が舞台とは違って一回性のものではないことを知らぬキッズは、全力で応援する。そして、自分が物語の一部になったかのように、各々想い想いに自分の物語を作り始める。

やっぱり、本作は1才からの絶叫上映映画だった。

衝撃ポイント9:神曲『ブンバ・ボーン!』は神曲だった!

そして、映画のクライマックスでは、本作に登場したキャラクターが全員集合して『ブンバ・ボーン!』を歌い踊る。妹から、『ブンバ・ボーン!』は神曲だと教えられていたが、実際に聴いてみると、本当に素晴らしい曲だった。

ブンバボンボンボ ブンバボン!

という語感の良さもあり、心がウズウズしまう。そして、驚くべきことが起こった。別に映画は何も指示を出していないのに、キッズが中央通路、最前列の空間に集まり、「ブンバボン!」と歌い、踊り狂うのだ!完全にマサラスタイルではありませんか!ブンブンが『ストップ・メイキング・センス』や『ストリート・オブ・ファイヤー』の絶叫上映で歌い、踊ったのと全く同じ現象がここで起きていた。今回映画館デビューだという1才の少女も、中央に集まり初めて会う子と仲良く踊り狂っていました。

キッズよ、いいノリだ!

10年後、20年後、絶叫上映でお会いしよう♬

衝撃ポイント10:衝撃!映画上映中に記念撮影が撮れる!

さて、本作は最後の最後で衝撃的場面が目の前で繰り広げられた。それは、「わたしたちと記念撮影しましょう!普通は、映画館で写真を撮っちゃダメなんだけれど、今回は特別。全部で3回撮影ポイントがあるよ!」と語り始めるではありませんか!しかもサービス精神旺盛で、3回どころではない。4,5回撮影ポイントがあるではありませんか!ブンブン上映中にスマホの電源をつけるのは、映画館に通いすぎて心が「ダメだ!」と静止したため、できなかった。撮影することはできなかったが、おかあさん、おとうさんは、しっかりとおにいさん、おねえさんの決めポーズを、映画を楽しむ我が子を写真に収めていました。びっくりです。

最後に…

正直、ブンブンが観るような映画ではなかったのだが、映画館と観客の向き合い方について非常にインスピレーション掻き立てられる作品でした。決して客入りは良くないが、この映画を必要としている人がいる。我が子に映画館デビューさせたいのだが、暴れてしまわないか不安という悩める親御さんに対するソリューションとして見事だと感じた。

THXについては、本作はそもそも音量下げての上映だったので、他のスクリーンとの違いが分からなかったので、またまたいつか挑戦しようと思うが、とにかく大満足な作品でした。

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