牯嶺街[クーリンチェ]少年殺人事件(1991)
A Brighter Summer Day(1991)
監督:エドワード・ヤン
出演チャン・チェン、
リサ・ヤンetc
もくじ
評価:65点
世の中にはVHSしか存在しない、
未DVD化の作品が山とある。
その多くが、B級、
ゲテモノ映画が多いのだが、
たまに「えっ」って作品が
未DVD化な場合がある。
今回は
TSUTAYA渋谷店に置いてある
エドワード・ヤン監督作
「牯嶺街少年殺人事件」を
紹介します。
エドワード・ヤンと言えば、
キネマ旬報派な人なら
知っている台湾を代表とする
監督。「恐怖分子」や
「ヤンヤン 夏の想い出」の
監督である。
そんな彼の代表作
「牯嶺街少年殺人事件」は
現在VHSしか存在せず、
また本作を配給した
ヒーロー・コミュニケーションズ
が倒産したため、権利関係が
ぐちゃぐちゃになり、
DVD化も上映も困難な作品に
なっている。
今回、観てみて、
是非ともデジタルリマスターを
かけて欲しい。ブルーレイ化
してほしいとのことで書くに至った。
映画好きの中には、昔のざらざら感が
好きでデジタルリマスターを嫌う方も
いるだろう。しかし、本作は
観たら分かるが、画面をキレイに
しないといけない作品である。
「牯嶺街少年殺人事件」あらすじ
台湾ニューウェーブの旗手エドワード・ヤンが衝撃を
受けた同級生女子殺傷事件を
元に描く青春ドラマ。
中国から台湾に移住した
中学生のスーは、
周りの不良から
苛められるものの、
音楽を通じて友人を
作ったりして、
不良グループとも
仲良くなり自ら
道を切り開いていった。
そんな彼は
不良グループのボスの
カノジョであるミンに
恋心を抱くが…
切なく普遍的な愛
どの国もニューウェーブ時の
作品はドキュメンタリータッチ
に傾倒するので、本作も例外なく
リアリズムを強調している。
サントラなんてものは挿入せず、
淡々とスーの日常を紡ぎ出す。
もう、ほとんどホームビデオ
といって良いほどカメラワークは
荒く、シーンとシーンの
つなぎも断片的だ。
それが上手く、主人公スーの
ミンに対する純愛を
表現している。
言わば、本作は
「グレート・ギャツビー」
ものである。
好きな女の子がいるのだが、
身分が上なので、
努力して自分を成長させて
カノジョに見合う男に
なろうとするのだけれども、
それが悲劇に繋がるというもの。
主人公スーは中国から台湾に
渡ってきた移民だ。
家族は貧しく、また
周囲からは苛められる。
スーは不良グループに入り、
勉強面でも挫折を味わう。
言わばコンプレックスの塊だ。
そんな彼はミンに惚れて、
野原で遊んだりするが、
ミンとの関係は一向に
「友だち以上恋人未満」のまま。
スーの心は段々荒んでいく。
決して飾らない演出だからこそ、
人生が見えてくる。
「6才のボクが、大人になるまで。
」
以上に青春を切り取っているなと感じた。
それ故に、後半の殺人が
非常に切なくたまりません。
ただ…画面が暗い
本作が残念なところは、
夜のシーンが多いのに、
照明を使ってない為、
何が起こっているのか
分からないシーンが多すぎる点だ。
徹底的なリアリズム追求のために
照明を使わないのは面白い
手法だが、いかにも重要な
シーンでそれをやられると、
非常に困ったものだ。
何が起こっているのかは
しっかり魅せて欲しかった。
それ故に、キングレコード
かポニーキャニオンどこでもいい、
デジタルリマスターを作ってください!
以上チェ・ブンブンからの
お願いでした。
9/21更新:TIFFで公開決定!
[blogcard url=”http://www.cinra.net/news/20160921-edwardyang”] 10月末に行われる東京国際映画祭で先行上映、2017年に角川シネマ有楽町で
「牯嶺街少年殺人事件」のデジタルリマスター
版が上映することが決定しました!!
良かった良かった♪
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