【アカデミー賞】『Haulout』人はひとり、しかし、そこには、、、※ネタバレ

Haulout(2022)

監督:マキシム・アルブガエフ、エフゲニア・アルブゲヴァ
出演:Maxim Chakilev

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

年々、アカデミー賞に対する興味がなくなってきている。特に第95回アカデミー賞はノミネート発表されても全くピンと来ず、他の有識者にお任せしようと思っている。Twitterの集合知を観察しているとどうやら短編ドキュメンタリー賞にノミネートされている『Haulout』がネタバレ厳禁の凄い作品とのこと。実際に観てみると、凄かった。しかし、短編映画ということもあり、ネタバレなしで語るのが不可能に近い作品であった。なので当記事はネタバレありとする。

『Haulout』あらすじ

Follows a man waiting in his hut in the desolate expanse of the Russian Arctic. He is holding out in order to observe a natural event that occurs here, every year, but ocean warming is taking its toll.
訳:ロシア北極圏の荒涼とした大地で、小屋の中で待ち続ける男を追った作品。彼は毎年この地で起こる自然現象を観測するために我慢しているが、海洋温暖化の影響を受けている。

IMDbより引用

人はひとり、しかし、そこには、、、

ロシア北極圏の荒涼とした地を男は移動する。男はどうやら調査でこの地にいるようだ。朝になるとある異変が起こる。外に無数のセイウチがいたのだ。その数9万5千頭。セイウチはある時期になると、陸地に上がってくる。しかし、地球温暖化の影響らしく、セイウチが滞在できる場所が小さくなってしまい、激密な状態に陥っているのだ。セイウチ同士が踏みつけあい、死亡する個体もいる。まるで『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のように、男のいる小屋に雪崩れ込もうとする。彼は、セイウチを小屋から追い出しながら、この異様な状況をまとめるのだ。

地球温暖化の影響で我々の知らないところでは、セイウチが地獄のような密集を強いられている状況を強烈な画で叩きつける。短編映画ならではのワンテーマ一点集中な作品であるが、その力強い画は一度観たら忘れられないものであった。

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※IMDbより画像引用