『Taste』ナイジェリア 人、YOUは何しにヴェトナムへ?

Taste(2021)
Vị

監督:Bao Le
出演:Olegunleko Ezekiel Gbenga,Khuong Thi Minh NgaLe Thi Dung,Nguyen Thi Cam Xuan,Vu Thi Tham Thin etc

評価:40点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第71回ベルリン国際映画祭エンカウンター部門で審査員賞を受賞したヴェトナム映画『Taste』を観た。事前にペドロ・コスタとツァイ・ミンリャン映画を足し合わせたような作品だと聞いていたのだが、そのまんますぎて驚かされました。

『Taste』あらすじ

Bassley, a Nigerian footballer living in Vietnam, has been unable to make a living since he broke his leg. He and four middle-aged women he sometimes works for decide to escape to an old house, where together they create a special world for themselves. But this intimate utopia cannot last forever.
訳:ベトナムに住むナイジェリア人サッカー選手のバスリーは、足を骨折して以来、生計を立てることができなくなってしまった。彼は、時々働く中年女性4人とともに古い家に逃げ込むことにし、そこで2人だけの特別な世界を作り上げる。しかし、この親密なユートピアは永遠に続くことはない。

MUBIより引用

ナイジェリア 人、YOUは何しにヴェトナムへ?

仄暗いヴェトナムのある集落。足を骨折し、サッカー選手の夢が断たれたナイジェリア人は故郷に帰れないのかスラムで停滞した暮らしを送っている。床屋で日銭を稼いでいる。この集落には女性もいて、広い空間で裁縫をしている。その様子を序盤はほとんどセリフなしで描く。廃墟に近い空間での微かな営みを画として刻み込む。やがて、ナイジェリア人の男が監獄のような暗く閉鎖的な空間で裸になり、生活を始める。同じような男たちと一緒に、クルクル部屋を走り回ったりする。やがて、男はイチモツを掴みながら独白を始める。

撮影に関して、全ショット絵画を意識した構図となっており、陰影を活かした強調が上手い。一方で安易に裸から内なる自己を結びつけている気がして、作劇はそこまで上手くないなと感じた。とはいえ、巨大な空間に風船のように布に空気を送り込み、それが萎んでいく場面は圧巻であった。

上映されるとしたら恵比寿映像祭あたりになるだろう。

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※MUBIより画像引用